揺れて目を覚ます





『・・・・ん』

眼を開けるとよく見知った天井が見えた
うん、なんか重いんだなぁ。なんだろなぁ?


『あれ?三郎?雷蔵?』

両方が私の両方の手をぎゅっと握っていて
ぐったりと横になって寝ているのを見た後に
よく見ると三郎?の隣に水桶と手ぬぐいを置いている
(恐らく私の額にあるものの交換用なのだろう)

処に壁にもたれて寝ている勘右衛門が、
その反対側には幾つかの豆腐を置いて
首だけ下に落ちて胡坐をかいて寝ている兵助が

そして三郎?雷蔵?もう良く分からないが
足元の方に八左ヱ門が噂のごめん寝の状態で寝てしまっている



チチと雀の音が聞こえて私はもう一寝入りしようにも
段々熱が入って来た手を恐る恐る除けようとしたのだが


三郎「んん・・・っ!?ーっ?!」

『あはは、お、おはよう。さ、三郎?(の方かな?)』

驚く顔に良い物見たと思いながらも
その後に都佑が起きたぞおおおおお!!!
と叫び出したのに煩くて半泣きになったのは言わずもがな






















































三郎「気分は悪くないか?頭痛くないか?
お腹は空いていないか?急に叫んですまない」

『気分は多分悪くないし、頭は少し痛いかな?
お腹はちょっと空いた。
急に叫ばれてびっくりしたけど別にいいよ。』

勘「ったく、三郎がいきなり叫んだから
頭に響いたんだよ。ほら、お水飲んで。」

伊作「お腹が空いたのは良い事だよ。
尾浜、出来れば水を飲ませた後に
都佑ちゃんのおかゆを食堂のおばちゃんに
言って作ってきてもらえないかな?」

勘「分かりました!行ってきます!」


あれから三郎の声に全員が起きて
八左ヱ門が善法寺先輩を呼び
勘右衛門は水の入れ替えと同時に
飲み水も汲んできてくれたのだ
更に食事まで持ってきてくれると言うので
嬉しい様な、申し訳ない様な
気持ちでいっぱいになる


因みにその頭痛は恐らく三郎の事以外にも
別に理由がある筈なのだが、何故か雷蔵様が
降臨なさっている隣で土下座してすまないと
念仏の様に唱えだしたのでちょっと笑いが引っ込む。
と言うか止めてあげてってば。



雷蔵「あれ程善法寺先輩が騒ぐなって言ったよね?ね?」

三郎「すいませんでしたぁああああ!!」

『っく、ふふふ』

三郎「へ?都佑?な、何か変な事したか?」

伊作「違うよ鉢屋。都佑は何時もの君らを見て
安心して気が抜けて笑ったんだよ」



そう、まさにその通りで私は今三郎達を見て
笑ってしまうのだ。勿論満面の笑みで、だ。

恐らく中々こんな顔をしないであろう私が
満面の笑みで大爆笑を起こしているから
嬉しいのか頭の事で反省していいのか
雷蔵並みに三郎が考え始めた処で雷蔵が
伊作先輩に「暫く安静ですか?」と聞いた


伊作「勿論授業は実習はまず暫く入れちゃいけないし
一週間は授業でない方が身体の為にもいいかもしれないね。
と言うかするべきなんだけど、都佑は分かっているもんね?」

『あはは、はい。出来れば
鉢屋君達と早く授業したいなっーーっ!?』


ぱっと本音が、と言うか低い声ではなく
少し高めのふんわりとした本来の
私の声+本音が出て
私は驚き眼を開きながら直ぐに手を口にあてた

それに「鉢屋君?」と兵助が首を傾げる


三郎「私の事は三郎と言って
くれていたじゃないか。何をいまさら」

伊作「いいよ都佑ちゃん。
鉢屋達は君の事をちゃんと見てくれるさ。
だから怖がらずに出て来ればいいじゃないか。」

雷蔵「え?出て来ればいいって、一体どういう・・」

葵「あーあ。私の都佑じゃなくなるのかぁ。
寂しいけど良い兆候だよねー」

『あ!あおちゃん!!やぐさんも!!』


よっ!と声を出しててを縦に上げて入って来た2人に
三郎達は何故来たと言う顔をする
それに八雲は「野生の勘で来た」と答える
いやいや、野生の勘おかしいでしょ。もっと
別の良い方あるでしょうに


八雲「都佑には幾つもの仮面があってな。
それは鉢屋みたいな眼で見る面以外の
心の面を持っているんだ」

兵助「心のお面ですか?」

八雲「そ。本来気が動転しても何をしても
出てくる筈のない、本当の都佑がこうして
素で出て来たと言うのは数えても私と秋月位だ。」

葵「都佑は何時も一瞬人を見て本音を言って
本当に素を出しても良い人にだけ出すんだけどねー。
確か素では鉢屋の事を"鉢屋君"って呼んでいたような・・」

『ちょ、ちょっと!?お二人さん!!
勝手にペラペラと私の事喋らにゃいでむぎゅっ!』

葵「相変わらずの舌足らずだねww
笑われるのが嫌で隠していたのに
それでは『黙れ小僧!』はいはい」

そう笑われながらも少しむくれてそっぽを向く都佑に
三郎達は唖然としていたが、伊作と葵、八雲は違った

伊作は勘で見抜いてしまって都佑は出さなかったんだが
三郎達の前で素が出てしまっては仕方がない
隠すにも隠せないのでこの際言ってしまおう


『あ、改めて、初めまして?えーと、
岡本都佑、です。えと、いい、一応
女の子、してます。はい』

雷蔵「あ、三郎達が言っていた事は間違いじゃなかったんだ」

『あ、う、うん・・??』


女とばらすなとは言っていなかったので
雷蔵に化けている三郎を見ると
ニヤニヤと喋りましたが言っていなかったよな?
私悪くないって顔をしていたので
今度何かで仕返しをさせてもらおう。

うん、小さなこと位なら許してもらえるだろうし。
雷蔵達も言わないと信じてるね。




八左「え、いやでも、まてよ?
確か一年の時から半裸で一緒に走って・・」


そう言った後にカーッと顔が赤くなった八左に
都佑は男子に見えるようにと困った顔で説明をする


兵助「虫を捕まえたり、泥に入ったりもしてたよな?あれも演技か?」

『ううん?私素で虫さん好きだし
泥んこ好きだし、山で走り回って育ったからなぁ。
半裸で走ったりしたのはして見たかっただけ。
本当にバレなくて面白かったけどね?』


そう笑って言う都佑に勘右衛門は胡坐をかきだして
そのままうーんと考えた後
ハッと気づいた様な顔で言う


勘「てか今の今迄忍たまである俺達も
気付かなかったって言うのも駄目だよね?」

三郎「まさかこう知って半裸にはならんだろうな?」

『・・やってもいいかな?あおちゃん』

葵「俺は一度もいいとは言っていないがな?都佑ちゃん。」

あっれ?そうだってけ?えへへ・・・
あ、すいませんそうでしたね。ごめんってば


兵助「それにしても何で今の今迄
素顔も素も出さずに性別まで隠していたのだ?」

『それは、実家の事もあるし、素はまずうん。
何時も皆に迷惑かけちゃう様な事しかしてないから
自然と自分を押し殺しちゃうのが癖になって、それで』

三郎「今の今迄ずっと押し殺して余り気にせず
別の人格を作って私達と仲良くし通せると思っていたのか」


うう、そう言われると傷つくなぁ
そう思っていると雷蔵が言い過ぎだよ三郎
と言ってくれた。うん、なんか救われた


『それに私こう、なんだろう。直ぐに物事決めつけれないし
欲もあんまりないし、泣き虫で、寂しがり屋だし、直ぐに
顔にでちゃうし、素直じゃないと困るし、って忍に要らない物
ばかりついてるから・・なんか、御免ね?』

八左「いや、別に素直なのはいいと思うが・・」

雷蔵「うん、悪気があって隠していたって訳じゃないんでしょ?
三郎だって同室の僕でさえ素顔晒してくれない位だし、
別にいいんじゃないかな?」

『え?あ、うん』


余りのあっけなさに都佑は眼を開き首を少し右に傾けた
何だかしっくり来ないなぁと思っていると勘右衛門に
「別に素じゃなくても都佑だとみてるしね」と言ってくれる


八左「だな!都佑はこうやって都佑なんだし
別にどの性格が素がどうのこうのって
硬い事考えなくていいんだよ!
皆が皆好きになるのがおかしいんだし」

葵「そうだよねー俺も都佑にそう言い聞かせては居たんだけど
どうしてもこいつ頑固だからなぁー」

兵助「まさかお前も女だったり
葵「するかバカ私はれっきとした男じゃい」
そ、そうなのか」


いや兵助ならぬ久々知君、分かるぞ。気持ちは。
私が五年間ずっと女であることを隠していたし
風呂の付き合いもない葵に自然と眼が行くのは分かる
でもその子前世は女だっただけで今は男だからな?


葵「ったく、私は素でこれだから仕方がないだろうに」

『ま、まぁまぁ・・』

三郎「それで?私の事は三郎と呼んでくれないのか?
本当の都佑は」

ずいっと顔を近づけて来た三郎にドキッとした都佑は
ええ!?と高い声が上がり更にきょろきょろとしだした
ついでにモジモジとしながらも後ろに下がる姿は
まさに小動物


そう思ったのは都佑以外の人間で
更に八左ヱ門に至っては(兎か兎なのかこいつは)と思っていた位だ


『ええと、アレは確かに私だけど、えと、あのえと!』

八雲「あはは、仮面を被れば何とかなるが
いざ素で話せと言われても困るだろうに。
鉢屋、余り虐めていると本当に都佑が出てこなくなるぞ?」

そう言うとびくりと身体を震わせた後に直ぐに「分かった」
と言って距離を取ったのには驚く



『わ、私頑張るからね!?嫌われたくないし・・』

三郎「いや、別にいい。鉢屋でも三郎でも、
呼ばれて嬉しいのは三郎だがな」

何を言っているんだと小声で口に手を当ててぼそぼそと
言う三郎に都佑はくすくすと笑った後に分かったと言った




『なるべく呼んでみるね、ありがとう、鉢屋君』

三郎「あ、ああ(そう簡単には呼ばせないと言う事かな?)」





そうして都佑は女として忍たまに居る事が何故か広まってしまうのでした

まぁそれは都佑としても別に良い事だと思いながら割り切る事を決意したのでありますが






大好きなものを作るのが怖かった

(だって作るといつも何処かに消えてなくなってしまうから)
(この小さな身体を存在を守ろうと思った)
(でも君らは私をどぎまぎしながらも受け入れてくれた)
(優しい笑顔を守ろうと、此処で誓おう。)
(いいの、私はもう、きっと独りじゃない)



好きな物を作るといつもいつも直ぐに無くなってしまうから

だから作らなかっただけなのに、君らは泣きそうな顔をして

そんな事はないよ。と言ってくれてさ

その姿に私はそんな事ある筈なのになぁと思いながらも

その温かいソレを受け取り笑ったんだ




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