この夜を歩くため





『おはよー!』

三郎「ああ、おは・・・誰だ?お前」


其処に居たのは何時もの赤茶色みたいな別の髪の毛ではなく
真っ黒に染まったセミロング程の細長い髪の毛を一つに結わえている
ぱっちりした眼の

『都佑だよ!因みに、これが"素顔"でーす!』


五年「ええええええええええええええええええええええ」






一話鮮やかな視界







『いやぁーそれにしても本性で喋ると本当に楽でいいねぇー』

三郎「その、この私が言うのもなんだが・・何か無理していないか?」

『およ?そう見えちゃうかぁーそうなんだよねー。実際かなり無理してる。』

八左「なら!」

そう八左ヱ門が入ろうとする前に都佑は一歩前に出る
それに八左は後ろに下がる
今日の都佑は何時もと全く違う

その立ち振る舞いは正に正反対


『だって私自分を隠すために正反対を演じていたからね。
こっち楽なんだけどさぁー幾つか問題点があってね・・』

雷蔵「問題?」

『それが葵「都佑ー?私に内緒で何素顔晒してんの?」
こいつも含めて問題なのです。おっらぁ!お前いい加減にしいや!!』


そう笑いながら叩く都佑に葵はいい加減にするのはお前やろうが!
と調子に乗り出す
うん、此処はいい。


兵助「それにしても何で急に素顔を晒しているんだ?
あの鉢屋三郎でも素顔晒さないから晒さないって言っていたのに」

『嗚呼、それ嘘。』

勘「嘘!?」

『私九割方嘘で出来てるからね?
しかも君らが言ったんだよ?
"どんな都佑でも絶対見てあげる"ってさ
それにかけようと思ってね』


そうニコニコと笑顔の都佑は逆に恐怖を覚える
ってそんな事を考えているバヤイじゃなくて!


三郎「かけるって何の話だ?」



葵「都佑はこの通り素はとんでもないおてんば娘。
ちょっと眼を離したすきに・・」

『とんぼおおおおおおおおお』

葵「ああやってそこらを駆け回る」

雷蔵&三郎「だああああっ!!」


たったかと走り回る都佑の袖はちゃんと通しているのだが
如何せん女の子。股歩き等はご法度なんだが・・

『いやっ!』

葵「と、この様に馬鹿みたいに10歳児と同じ頭しているので
躾は一応しているしこの子もそれ位出来るらしいけど
妙に勘が良いと言うか鋭いと言うかねぇ・・・」


そう辺りをきょろきょろする都佑に八左ヱ門が
蛇を腹から取り出したのに勘右衛門がぎょっとする

八左「こいつは毒蛇じゃない方の蛇でな
一年とか初心者に慣らす為に飼っているんだ
都佑って確か無類の動物好きだよな?触るか?」

『おほ!?触る!!うわぁー!凄い!可愛い!』

おほおほ、と八左のなきごゲフンゲフン
叫び声を真似しながら都佑は八左ヱ門から
手渡しで蛇を受け取る

『かわいい・・・私このまま永眠していいかな?』

葵「駄目だって」

『おやまぁー』

雷蔵「何か都佑ちゃんが前に"素は晒せない"
って言ってた意味が分かった気がするよ・・」



そう、余りにも忍たまの人間だけではないのだが
人に感情移入が多く働いて終いには個々の性格が
自分の性格になってしまうのだ


『まぁ素は雷蔵並みに迷い癖が発動したりするからね。
後面倒になったらいけどんに走り出す。』

三郎「七松小平太先輩と雷蔵のコラボレーションか」

葵「だけじゃないぞ?僕が見た限りでは恐らく上から
小平太先輩、伊作先輩、雷蔵、兵助、八左ヱ門
ちょっと綾部に作兵衛、左門、孫平、四郎兵衛
がごっちゃになって入ってる」

勘「え?まって、なんて?もっかい言って?」


三郎「要するに、それぞれの個性が混じっているのが
岡本都佑その本人だって事か?」

『そゆことー。あ、因みに
優しくて困っている人を放っておけない、悩み癖がある
細かい事は気にしない、豆腐はそれなりに好き
虫というか生物が好き、穴掘りはそこそこ好き
決断力のあるある意味色んな方向での迷子
罪悪感を抱いて妄想が激しくなる
ぼけーっとしたりする
以上が忍たまとダブっている処ですね!』

葵「強いて言うなら被っていない性格が
笑顔が絶えなくて純粋って処かな?
あ、それは皆か。」


『まぁ悪いのか良いのかわかんない面倒な人間だけど
これを素で認めて友情を深められないわけが』


勘「あるとおもうけどねー」

『!?』

兵助「何だかんだ言って素だからな。」

『絶対兵助達は私を裏切るよ!』

それに全員がこっちを見た
そりゃそうか、うん。

雷蔵「何を根拠にそんな・・」

葵「都佑の意見に賛成」

勘「え!?俺達そんなに裏切りそうなの!?」

葵「じゃなくて、勘」

勘「勘かよ!!」



そう泣きそうな笑顔で突っ込む勘右衛門に
葵は半笑


『(君らは絶対に私を捨てて何処かに行く
そう想わないと私はきっとこの素を外に出せない)』


呪いの様に背中からつるの様な想いが出てくる
それは確かに生きていた筈の過去で
転生してしまったこの身体に記憶が染みついて
まさかの元の身体とほぼ同じ体質になっている


それには私も驚いたが、今は殆ど気にしていない

でもきっと


三郎「仮に裏切る事があったとして、
お前はどうして素を出したんだ?
出さなければ傷つかないだろうが。」

『それ私も思ったんだよね。
君らと関わった直後に』

あの時はうっとおしかった
非常にうっとおしかった。


『でも心の中で確かに
"皆と笑って話したい。皆に悪いし、
これ以上嘘をついても良い事ないし
それに笑って前を向いて行きたい
どんな私でも臆病でも見てくれる人が
少しの時間でも居てくれるなら"

って思ったから。だから私は外に出たんだ。
でも傷ついたら直ぐに逃げるよ?』




先に宣言しておかねばならない

きっとそうなるから

ならないと思ってもね





そう言った後私はすぐに何時もの昔の自分を取り出して
彼らと一緒に笑いあった



嘘の私も全部全部見てね!

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