そのままで生きていく
対峙のゆくさき
その矛先は私にへと向いた
私はとてもじゃないけど笑えなかった
見てしまったのだ
私は別に上級生が恋路に走ろうがどうだろうが
別にいいと思った
本当だよ、幸せになれ馬鹿野郎と思ったさ。
でもさ、でもさ
「先輩、ごめんなさい、ごめんなさい」
確かに先輩が悪いのに彼は懺悔をする
その姿は確かに生きていた彼女を思い浮かべる事に
十分の存在で
『(幾らなんでもこれはあんまりじゃないのか)』
私は眉間に皺が寄ってギュッと右手を握って
痛みが無くなるまで力一杯握ってその場を見つめるだけしか出来なかった
私は一体何時になったら
本当に私として動けるのだろうか
食事の合間ずっと天女とわちゃわちゃする八左ヱ門達の姿を見るのが
嫌になる人が相次いで出始めた
私だって勿論嫌なのだが時々嫌と思われないような行動を取って
何とでもない様なフリをするように心掛けている
勿論その時は何にも考えずに楽にしている状態だ
だって彼らは私の楽な状態を見抜けないだろうから
"素"は昔からふとした時に出しているので
大概忍たまには見抜いた人間は1人もいないのだ
がやがやと煩い食事の中にきゃっきゃと高い音が響く
それが腹の中がうずうずと気持ち悪くなる感覚を
私はずっと前から覚えている
『(嗚呼、いやな事を思いだした忘れてしまおう)』
忘れる事など出来る筈もないのに
私はすぐに忘れた事にして食事を進め
食器を置きに行こうとした時だった
ガシャンと数馬が天女にぶつけてしまったのだ
不運だと思えば不運だが相手が悪い
小平太「天女様!大丈夫か?」
「いたぁい・・」
雷蔵「保健室行きましょう」
八左「おい謝りもしねぇのかよ」
数馬「あ、あの、すいーー」
険悪な雰囲気になった事に私は咄嗟に動いた
『すいません天女様、不運な保健委員会の子が
貴方の綺麗な身体に怪我でもさせていませんでしょうか?』
数馬「都佑先輩ーー」
かなり驚いた状態でぽかんとしているのを見て
矢羽音で直ぐに「早く謝り食器を片付けて逃げろ」
と三年生用の矢羽音を言うと直ぐに謝りそのまま
逃げ去ってくれた
八左「おい待てよ」
『・・なんだ八左ヱ門、
お前何時からそんなに弱くなっちまったんだ?』
嗚呼と眉が寄る八左ヱ門にびくりと心臓が震えるのを感じた
大丈夫だ、大丈夫。
私はそう言い聞かせながら何とでもない顔をした
勿論成功したのだろう、八左達から殺気が漏れ出してくる
嗚呼、一体何時から心と身体がかけ離れ出して行ったのか
否、きっと昔から
そうずっとずーっと昔から
八左「天女様に傷付けて」
『ほら付いてないってば・・天女様大丈夫ですよね?
保健室に行けば善法寺先輩だって見てくれる事ですし』
直ぐに行こうとする天女様に私は一応押して言うと
「そうだよ。大丈夫」と微笑んだ。
まぁ顔は悪くないのでこっちの気分は悪くならない
いやまぁそう思うと本当にお人好しなんだなぁ
と別の事を考えていると潮江先輩に「次あったらぶっ潰す」
とまで言われてしまった。私次死ぬのかなぁ
死ぬのは確かに怖いけど、この人達ならきっと
そんなことはしないと何故か言い切りたいと思った
まだこの人達は忍の任務であえて天女側に付いているのだと
私は正直本当に思っていたんだ
なのに八左ヱ門達は私をどんどん裏切る行為をする
否、きっと裏切っているのは私なのだろう。
私が一番イケナイ存在なのに何を言っているんだか
八左「でもあいつ直ぐに逃げやがったんですよ!」
『八左ヱ門』
だけど私でも言って良い事と思って良い事と
悪い事位は大体わかっているつもりだ
逃げやがった?
違う
私が逃がしてやったんだ
今の今迄何もかもが変わっているお前達を
何にも不安などないのだと言い聞かせる為の
守りとしての行動を
尻尾を巻いて逃げた馬鹿だといいのけた様な
声で言った八左ヱ門には流石の温厚な私も頭に来た
『竹谷』
八左「・・んだよ」
『一つ言っておきたいことがあるんだ
お前、"何時から世話をしていない?"』
私はそれだけだと言って直ぐに退散をする
おばちゃんに『ごめんね後で来るから』とだけ
言って置いてそのままギリっと殺気を込めて
八左ヱ門と後ろに居た五年生を睨みつけた
そうして矢羽音で言ってやったんだ
"お前らは私の好きだった"人間"から
今外してしまった。後悔するのはもう遅い"とな
その声を聞いたのか、八左と後ろに居た
兵助、勘右衛門、三郎が眉を寄せて首を傾げそうになった
矢羽音を取れる位は頭はあるのか、しくったなぁ
と思いながら私は直ぐに食堂から出て近くの茂みに隠れて
1人つい先程食べたものを全て嘔吐してしまった
この時察してしまったのだ
嗚呼、ストレスが限界まで来てしまっている。と
この先の事を考えるとゾッとするのに
私の顔は何故か笑っていた
『(嗚呼)』
全てが壊れていく
(顔も身体もどんどんと心を隠す様に仮面を覚えていく)
(このまま私は心さえも仮面を被ってしまうのだろうか)
(その前に全てが無かった事になればきっと私はきっと)
上手くいっていたのだろうか
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