足らないものが多すぎる
『・・・あれ?おかしいなあ』
動かないてか動けねぇ・・・
八左「そりゃそーだろ。がっちり抑え込んでいるからな」
三郎「でかした八!そのままがっちり抑え込んでいろよ」
『むぐぅ・・・』
前までは神経減らしてこれでもかと出来たのだが
元の状態に戻ってしまった今では気を良く抜いてしまうので
こうやって捕まったしまうのも忍びとしてはかなり
致命的な部分である。
『で、昨日在った事を話せばいいんでしょ?』
三郎「嘘偽りなくな」
それはちょっと友を減らせと言う事ですよね?
私これ以上傷つきたくも傷つかせる事も嫌なんですが
勘「心配なんだよ、ついこないだまで暗くて
困っている処を助けようとしていたのに
急に今日になって明るくなってさ
無理してるんじゃないかって話になって」
成程、こいつらは私がかなり無理をしている状態で
力づくでも元に戻さなくてはいけないと思ったのだろうか?
ふと元に戻すと言う結論の意味を
深く掘ろうとする自身に歯止めをかける
いけない、直ぐに自分を殺そうとするのは悪い癖だが
実際これをやってのけなくては恐らく
こいつらも直ぐには退いてくれない
と言うか話した方が早い気がしてきた
『・・・仕方がない、八左離せ』
八左「え?あ、嗚呼」
ぽっと赤らめている八左に対して私は
嗚呼、やはり鍛えてもすぐにバレるか
と思いながら三郎達をとある場所に連れて行くことに決意した
三郎「裏裏山まで来て何をするつもりだ」
『あと少しだよ、お!』
裏裏山のとある木の上に葵が居るのを発見した都佑は
おーい!と低い声で呼ぶと直ぐに葵が振り返りそのまま
地面に着地する
葵「こんな処に鉢屋達を連れて来たと言う事は
・・・見せるのか?」
勘「(見せる?何を)」
『嗚呼、そんな処だしこいつらが意識すると思ったら
鳥肌ものだがな、惚れるのは今の処天女の方に分があるし
今の方なら見せても問題ないだろうと思ってな』
そう言いながら都佑は葵の腕を掴み
グイグイと引っ張り嬉しそうに笑って話す
その姿は学園だけでなく何処でも見た事の無い顔で
少し八左はたじろいでしまう
その行動に三郎はどうしたと言ったが
八左はその、いや、ときちんと物を言ってこなかったのに
少し腹を立てて言おうとした時だった
葵「先に言っておくが、外部には愚か
忍術学園の内部の人間にも情報を漏らすなよ?」
そう言って葵は手を三回たたいた後
都佑が急に『アルプス』と言い出した
勘「え?」
『いちまんじゃーく、こやりのうーえで
アルペン踊りをさぁ踊りましょ♪』
三郎「あ?」
葵「らーんららんらんらんらんらんらん
らーららんらんらんらんらん
らーららんらんらんらんらんらん」
『らんらんらんらんらーんらん!』
歌と同時に手を叩き合い終わる手前で
足と手を木と石について推すと地面に穴が出来上がる
それには驚く三郎達
『これは私とあおちゃんの声と手形が決まりになるからね
変装名人でも最低二人は必要だから困るよねー』
そう笑いながら都佑は先に「おほー!」と言いながら
ジャンプをして下に降りる
直ぐに追いかけて葵が「まーってよー都佑ったらー(棒)」
と言って八左達を押しやり直ぐに周りを確認してから
扉を閉めるボタンを確認して飛び降り直ぐにボタンを押した
ボフンと音を立てて着地した八左達の前には
綺麗に整理されている学園の中でも一番広いであろう長屋の間を
丁寧に再現をしている場所にたどり着いた
そこにはありとあらゆる物が溢れかえっている
勘「秘密基地?」
『そんな処ー!お菓子もあるよ』
そう言って都佑は戸棚から煎餅を取り出してバリバリと食べだした
それに葵は軽くため息をつきながら勘右衛門達に進める
葵「眠り薬とかそんな変なものは一切入っていないから安心しろ」
『ふんふん』
ブンブンと頭を上下に上げ下げしながら
都佑も賛成と言っているようだ
まぁ何か入っていれば都佑が直ぐに言い出すだろうし
遠慮なくと言いながら勘右衛門が菓子に手を出した所で
都佑はもう良い?もう良いよね?と言って三郎と勘右衛門の間に入った
葵「嗚呼、いいぞ都佑。
もう此処に居るのは"身内"だ」
『ん*んんっ・・あーあー、あー!
やっとだー!久しぶりに声出すー!』
三郎「なぁっ!?」
勘「・・・え?」
かなり高い声を発しながらいきなり半裸状態になりだした
都佑に三郎達は勿論葵もまさか半裸になるとは思わずに驚いた
男子なら確かに無い筈の物が少しきつめに
サラシをまかれている処に三郎と勘右衛門の眼が行く
『きついから後ろ向いててー私も後ろ向くから』
三郎「え?おい待て待て待て待て!!」
いきなりサラシに手を出そうとする都佑に
三郎は両手を取り直ぐに待ったを言い出すが
都佑は何だよーと困った声を出す
三郎「おま、女、だったのか」
『おうよ!』
勘「八が黙っているのは抱き付いた時に
女特有のやわっこいのが当たったから?」
八左「・・本当にビビったから勘弁してほしい」
正解の様で明後日の方向を向く八左に
三郎と勘右衛門も同感だと声を同時に発した
『・・それでなのですがねねねのね?』
三郎「いきなり人が変わったなおい」
そうかな?と都佑はぱっちりとした眼で
葵の方を向くと「そりゃあそうだろ」
と納得した様な形で上下に首をふる
『んー、あのね?私のこの姿は誰にも言わないでほしいの。
まぁ最終的には全員にばらすつもりではあるんだけど
多分そんなずっと居る訳には入れないからさ』
そう困った風に首を傾げながら話す都佑に
話しを流しかけた八左ヱ門が待てよ!と声を出す
八左「え?ずっと、居れないって・・・」
『私実はこの戦いが全て終わったらやりたいことがあるの。
それは君らにだってあおちゃんにだってまだ言えない。
でもきっと君らはこの戦いだけでなく今迄やってきたことを
必ず後悔して悔み続けるかもしれない。でも』
葵「なぁ、都佑。お前は女と男、どちらを生きるつもりだ?
此処の人間ならもう言っても大丈夫だ。話しておやり」
そう遠回しに話し出す都佑に葵はゆっくりと
声を紡ぎ都佑をあやす様に言うと都佑はそうかな?と
また首を傾げて困った顔をした
葵「そうだよ。どうして君がこうしているのか位は言っておやり」
勘「どうして?都佑は、え?」
『そう、私はこの世界の人間ではないのだよ。
五年い組尾浜勘右衛門、五年ろ組竹谷八左ヱ門
そして、五年ろ組鉢屋三郎・・・
君らを全て知っている天女と全く同じ世界から
私はこの世界に元の世界と同じ顔で産まれてしまった』
そう言って都佑は赤茶色の髪の毛の変装を解き
本来の姿に戻る
変装を解く事に三郎は目を開けて固まる
変装名人と呼ばれるほどの三郎が一目おいていた
あの都佑が忍が変装を解くのは二つの理由がある
一つはどうしても隠し切れなくなってしまったバヤイ
そしてもう一つはーーーー
『これが本来の私。これが"前の世界の私"
これが"昔"に囚われてまだ離れない"今"の私
これが"私"で居たい痛い私だよ。』
真っ直ぐな眼で鉢屋達を見る
その色は酷く哀しそうにしていて
此方も胸が痛みだすのを悟ったのか直ぐに変装をして笑って言った
忘れてもいいんだよと
八左「そんな」
『私は知られたい感情と忘れてほしい感情が交互に定期的に来てね
私という私が分からなくなってしまっているんだ。』
三郎「それは、お前、もしかして・・・」
忍びを辞めるつもりか?
それには勘右衛門も眼を開けて都佑を見て嘘だと言った
勘「だって都佑は何時も笑って・・・」
ずっと笑って誰かかれ構わず八方美人を演じた彼は少女だった。
別世界の人間の記憶が戻り彼、否彼女は今どんな気分なのだろうか
勘右衛門は自分の愚かさと今迄どうして見てやれなかったのだろうかと
自分の中の気温が三℃位下がった事を実感した
『ほぅら、やっぱり。想った通りだ。
君らだって泣きそうな顔をしちゃうじゃないか』
三郎「・・お前がそんな顔をするからだ」
『そんな顔?僕は僕だよ。』
前ページ - return - 次ページ