冷める醒める夢の中




現実に戻ってしまった都佑はそのまま言われるように
紙の通りに回っていく
城や町の中のお店屋さん、神社や森の中、ホールに競技場

そうして最後は自分の家に帰ってくる
其処には誰も居なくて
それに都佑は疑問を浮かべる
はて、この紙は一体誰が書いたのだろうかと
前を見ると涙をぽろぽろと落としながら
此方を見て来る幼い頃の私が居た
そうして頭の中から湧き上がる様に出てくる

城の中に入って町を一望した母との記憶
お店屋さんで父と買い物をしたこと
両親と決まりの様に和服を着て神社に行った事
両親が居ない独りぼっちのまま森で遊んだ事
寂しい気持ちを想いに変えてホールで
母の事を想いながら楽器を持って演奏した事
寂しい気持ちを抑えながら父の事を考えて
楽しい筈だった陸上が色を失った事

そうして、確かに生きていた
両親が離縁した時の気持ちを


そこで私は涙を流す
嗚呼、死んでなんか居なかったと
生きて生きて来世まで生きてしまったこの願いは
何処に行けばいいのか分からなくなったんだと

『ずっと寂しかったね。』

そんなことないよ

『君を突き放したら幸せになると思っていたんだ』

そうなったよね。よかったじゃないか。

『でも心は何時もぽっかりと空いていて』

僕らは2人になっても独りで



それならば


『もう、いいよね』

そう言って都佑は少女の手を取る
その手は温かく確かに生きていた事に
更に涙がこぼれ落ちる

『一つになろうよ。』

もう、傷ついても怖くない為にも
もう、誰にも心配させない為にも


『僕らは元々、一つだったんだからさ』


うん

そう言って嬉しそうに笑う私に
私は涙が一つ落ちてそのまま抱き付いた


辺りは綺麗な四葉のクローバー畑になり
向こうには確かに両親が手を振っていた
私はゆっくりと其方に身体を向けて言い放った

『そっちにはいけないよ』

まだ私はやる事があるから。
そう言うと何処か安心した気持ちが押し寄せて来た


嗚呼、生きていきたい
貴方方が愛してくれていた
本当に優しい記憶で


『さぁ、行こうか』


僕らの大事にしていた唯一無二の存在を奪い返してもらう為に



『反撃だ』



大丈夫大丈夫

もう一人じゃないよ

私はもう、大丈夫になったんだ



それでもまだ


まだ2人の顔も君の顔も
黒いクレヨンがぐちゃぐちゃに
顔の周りを隠していて

私はまだ

顔が見れないんだ



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