空想の缶詰
『(最近人に対して淡泊なキャラを
演じれていない気がする。
もっともっと遠ざけないと)』
何時もなら「勝手にすればいいだろ」的な
感じで居るのだが、今日の夢がいけないと感じる
うん、もうそうだね。厄日だね?
今日は裏山に、自分が作った場所に行くのもいいかもしれない
でも人に見つかると直ぐに隠してしまう
確実に人が居ない時に行きたいし、
今日はやめておこう
そう走ってきた処はまさかの六年生長屋の方で
丁度そこには
『八雲先輩!!』
辻「ああ?都佑じゃないか!どうした?」
いきなり廊下で抱き付いたのはこれで二度目だろうか?
あの時も物凄い世話になってしまった
ふるふると「どうもしていません」と首を振ると
「どうかしているだろ」と言われた
あれま。先輩と同室には敵いませんか。
そう思っていると「そうだよ、都佑は分かりやすいからね」
と言われて少々いじけてしまう処まだまだ私は子供の様だ。
八雲「それで?今日はどうしたんだ?」
目の前で黒い髪をポニーテール並みのそう
肩まである馬のげふんげふん
とにかくその黒い髪に凛々しい顔に少しにやけてしまう私
にやけると直ぐに「笑って誤魔化すんじゃない」
と言われた。ううん、本当に誤魔化せない・・まぁいいや。
『えへへ、先輩には敵いませんね!』
八雲「全く、そうやってコロコロと
性格を変えているから
八方美人とか言われるんだぞ?」
『いいじゃないですか。』
そうおどけた様にカラカラ笑うとジッと半睨みされた
ううん、本当にどの姿を見せても駄目だな。
『・・相変わらずこの"顔"じゃないと駄目ですか?やぐさん』
八雲「嗚呼!それが"都佑"だな!」
ふぅ、とそわそわする身体にしっかりしなさいと鞭うつ
それに八雲は「そわそわしていていいんだがな」と言った
この人は私の考えている事全て筒抜けなのだろうか?
八雲「それで?大方何かがあって
今日も学級委員の鉢屋三郎に追いかけられているんだろう?」
うっ、と顔を歪めると「やはりか」と深いため息をつかれた
八雲「お前は根は正に多感多愁"たかんたしゅう"
なんだがなぁ、その姿をもっと皆に見せたらいいのに」
『物事に感じやすく物寂しく感じる事・・ですよね?
確かに私は物事に敏感でまぁ、寂しいのもありますが
私自身を嫌いになった事など一度もありませんしそれに・・』
と言ったらウソになるが、まぁ大体それも
嫌よ嫌よも好きのうちって奴で
『敏感になり過ぎるのはいけませんし
物寂しい姿を見せる訳にもいけません。
仮面を被りきるのは昔から慣れていましたので
あいつらに素を出す予定すらもないです』
そうきっぱりと言ってやると溜息をつかれた
ううん、そんなに困る事かな?
『どちらにせよ皆さん卒業なさったら敵じゃないですか
私は味方を余り作らない主義なんです。』
八雲「・・お前、その姿を私以外に誰に見せている?」
『恐らく同室の葵位です。
他は三重に壁を作っています。
五年生でも一つ壁を作っている位ですよ?
なのにあいつら私に相談事も聞けないのかと』
それに八雲は相談もしないのか!?と驚いた
そこに驚くかと逆に都佑は驚くがまぁそんな事はどうでもいい
『え?相談しないでしょう?』
八雲「な、何でだよ!?
お前不破みたいな奴だろ!?
何時も相談事は悩み過ぎの事ばかりで」
『確かに、やぐさんには
悩んだ事のご相談を頼んでいます。
同室には少し別の悩みを
頼んでいますが、それでいいんです』
そうすっとした正座に八雲も何も言わなくなる
何故其処までして人に壁を作りたいのか
五年生になったこの春
彼女の願いは恐らくもう
『私は多感多愁ですが、外に出す人間は
八方美人と温厚淡泊な人間と決めているんです。
幾つか人間を作っておかないとそれこそ此方が壊れてしまう』
そう言って都佑はゆっくりと正座を崩して溜息をついた
今日は本当に色々とある
八雲「私はもうすぐでこの学園を出るし、
お前の事が心配なんだ・・それにお前、
一年から"ち組"だろう?
"り組"の私としては少々気がかりでな」
ち組
この学園には"いろは"組だけでなく
い組(り組)
ろ組(ち組)
は組(に組)
と、いろはの中でも特に突飛した人間が入るクラスが一つある
それは私達突飛した人間で噂されている
"自己犠牲の塊"だと
まさにその通りで、この目の前におられる辻八雲こそ
三年生に一度小平太を生死から助け出した事で有名になっているし
同室の秋月葵も四年の頃に久々知と竹谷の大喧嘩で
2人が危険に晒された処に全て己が被って生死を彷徨った事がある
その時はもう涙と土下座の連発で秋月が岡本に助けてくれと
色々頼み込んできた位である。
私?私は一年ごとに色々やらかしている。
八雲「一年はい組とろ組が喧嘩して
その中に入ってもまれて
虐められていて、
二年に上がると今度は尾浜と久々知が
盗賊に捕まったと言われて直ぐに走って
そのまま盗賊から助け出すと思いきやまさかの
背中に傷をおってしまうし」
『三年は両親に離縁されて、
四年に関しては、うん。もう思い出すだけで
私おかしいですよね?』
思わず大きなため息がお互いの口からこぼれ出る
『それにしても皆さん私の事を
少し心配し過ぎなんですよ。
もっとご自身を愛してほしいものです。』
八雲「いや、それはこっちのセリフだよ
お前外に出している人柄と中の抑える人の
事を聞いた時には俺もう"こいつは死ぬ"と思って
今もハラハラして生きているんだからな?」
ここで少し考える人に説明
に組
は組の裏の成績優秀者
変装が得意中の得意で
五年い組の秋月が主に居るクラスだ
私の素顔を隠す術を教えてくれたのも彼女だ
り組
体力・精神共に全ての教育が
一年から出来上がっている者のみ入れるクラス
二年に1人しかいない
理(ことわり)を重んじる人間が多い事で有名らしい
辻八雲先輩の事だが、今はり組に居る人は一年に1人と
彼女以外誰も居ないらしい。
因みにり組に入っているのはあの黒木庄左エ門だ
そして不安を持っているのが
ち組
その名の通り
血を好んでしまうある意味成績優秀者
心を病むものが良くあがってしまう
中でも一番厄介な人間らしい
八雲「裏委員会で話を聞いた時にはもう暗いのなんので・・・」
『嗚呼、裏委員会ですね。
アレは凄い人の集まりですからねぇ』
まぁ裏委員の話は単に用具なら裏・用具委員会と
委員会の中でも表立つ事はない人間の話だ
因みにこれは各委員会委員長しか知らない話だ
なので五年生である少なくともよくつるんでいる
あの五忍は知らないし、このまま知らない方向がいい
八雲「あ、そうそう。急だが明日定例会があるからな。
何時もの場所に五年を連れて来いよ。」
『マジですか、私一年ですよね?』
八雲「嗚呼、てか率先したな。黒木か?」
えへへ、と照れると本性か。と言われた。失敬な。
六年生は一年を五年は二年を四年は三年を誘うのがモットーなのだが
最近幼い頃のトラウマも思い出してしまった私はちょっと
庄左エ門が恋しくなったのだ。庄ちゃんだけじゃないけどね
八雲「まぁあの素を隠したがる都佑が素を自ら
晒そうとする努力をするのを見ては嬉しい限りだな」
『まるで私が人間じゃないかの良い方止めて下さい』
そう言って私はすぐに行動に移す事にした
何時までも六年生の方に居ると
直ぐに立花先輩や善法寺先輩辺りが
心配して抱きつきに来たらかなり厄介だ。
因みにそれが二回ほど会っているので困っている。
そんな積もる話もまた今度
そう思いながら私はやぐさんの部屋から出て
そのまま五年生の長屋
の前に二年と一年の部屋に向かう
今日は何故か午後もサボってしまったので
もうどうでも良い感じがしたので
というか三郎に会いたくないと言うのが本音なので
そのまま今日は一日何処かで過ごしてしまおうかと
思いながら今日も私は空を見て「蒼いなぁ」と呟いたのだ
仙蔵「八雲、都佑が此処にいたのか!?」
八雲「いたぞ、直ぐにあの勘のいい第六感で察して
今しがた出て行ったばかりだったがな。」
仙蔵「チッ」
八雲「そんな綺麗な顔で舌打ちしない
それよりも朗報だぞ。なんとあの都佑が
外に素を出そうとしているのだ。」
仙蔵「おお!それは良い事だな。
そのまま私にも見せてほしいものだが・・
良く聞く"幸せそうなのに泣きそうな顔"とやらが
みたくて見たくて仕方がない」
ワクワクとそわそわとする仙蔵に
焦るなよ、とだけ言ってやる八雲に
仙蔵は「分かっている」と言った
仙蔵「あと少し、か」
八雲「嗚呼、あいつの根は本当に優しいんだ。
それと同時に何時も心が泣いている。」
悲しそうな八雲に仙蔵が声をかける前に雨が降り出した
春雨に寂しそうな顔をした都佑の顔が思い浮かぶ
きっとこの空は都佑の本当の心の表れなのだろう
それならこの腕で抱きしめて「大丈夫」とあやしたい
だがそれは私ではなく別の人間なのだろうと
仙蔵と八雲は同じ事を考えていたのを
お互いもそして都佑も知らない事だった
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