紙すら焼く視線
そうして来た当日
都佑は庄左エ門と彦四郎、八左、伊作を連れて行った
都佑「(三郎には悪いけどあっち側に付いてもらった
本人は"都佑がして欲しいなら償いも含めてしよう"
と言ってくれたけど心配だよね)」
伊作「(でも鉢屋も頭が悪いわけではない
きっと何か策があってあちら側にまだ居てくれるんだろうね)」
八左「(これで終わるんだよな
っていうかこの思い付きに何があるのか全く
見当もつかねぇ・・・)」
そりゃあそうだろう
なんせ私の晴れ舞台なのだから
そう想いながらも都佑は自分の顔を鏡で見る
その姿は真っ黒に塗りつぶされたクレヨンがもやもやと広がるのみ
ライの言葉を思い出しながら天女に近づいた
@@@@@@@
都佑「やっぱりそれなりの代償は付きますよね?
どんな代償なのか知りたいのですがーーー」
ライ「まぁ!天女と違って都佑は本当の天女様みたいな
思いやりの欠けない女の子ね!えっとね
とりあえず体の一部が黒く見えなくなるんだけど
適当に見えなくしたい場所は選べるわ。どこが良い?」
ライの言葉が一々変わるのに突っ込むかどうか
一瞬悩んだ都佑だがすぐに頭を切り替えて
何処にしようと首を段々左に傾げていく
ライ「足と手はオススメしないわ。
踊ったりするんだから見えないと困るでしょう?」
『あ、それならいい場所があります!
顔です!顔なら私感情を表すだけだし
元の顔を強く思い描くこと無ければ大丈夫でしょう?』
それにはライも一言何か言いかけたが
言っても無駄だと思ったのか「いいわよ」と一言言った
ライ「約束して。辛いと思ったら直ぐに止める事。
都佑が死んでしまったら今は沢山の人間が泣いてしまうわ。
都佑は人が大切なら分かるわよね?」
『うん、善処する』
ライ「都佑・・・」
『きっと大丈夫。嘘はつきたくないのでそう言わせて』
そう言うとライは分かったと困った表情で答えた
それに都佑は見て見ぬふりをした
@@@@@@@
夢を見た
淡い楽しい快楽しかない夢を
全て思い出したのに両親と自分の体温までも忘れてしまった
顔すらも思い出せずに上手く笑えなくなる顔を見るのはウンザリだった
丁度顔が見れなくなるのならなるべく笑っている様な仮面を先につけておいて
直ぐに魔法をかけてもらおうと思ったのだ
勿論顔が見れなくなって相手の顔はまぁ見えるのだけれど
どんな表情をしようか対応に困ってしまう
『(今迄色んな事があったなぁ)』
天女に虜になった事もあれば
天女を平手で叩いてしまうが都佑は只泣きそうな顔で否定を述べるも
まんまと策にハマってしまう五年に
都佑は崖から突き落とされたかの様に頭を打たれた事もあれば
帰り際都佑は知らない部屋に入り
そのまま気を失い倒れてしまって
三日三晩うなされる事もある
『(三郎と雷蔵を見間違えたりとかあったよなぁ)』
両親の笑顔は見えなかったが昔の離縁の出来事には
思わず大量の涙が出たのも今では良い想い出だ
そうして本番手前
保健室から出て来た都佑は作法委員会に
頼んでいた服を着て来た
上は五年生の制服だが一つ服を脱ぐと
ある程度引き締まった身体の上に
それなりにある胸を隠さずに晒す
ビギニみたいな形だが肩に少し紐が付いており
左右に伸びて和服の様にも見える
まぁ簡単に言って和服姿の踊り子と言った処だろう
これでも大分肌が出ない様に考慮した方だが
(因みにビギニを提案すると即座に却下された。解せぬぅ・・)
本当に大丈夫なのになぁと呟く都佑の顔は
未だ真っ黒で声は透き通った声に変わっていた
優しい声色に誰も聞いたことのない声
それに葵は問う「都佑なの?」と
それに都佑は応える「都佑だよ」と
哀しくも其処にいたのは前世の都佑の気持ち
葵はそこで気付いた
都佑の気持ちは今とある曲の様なのだと
それに不思議と変な空気が流れる
その元凶は都佑と言う事に気が付いた葵は言う
都佑は1人曲を歌っているのだと
始めは小さな物語、それが転調をして
別の曲に変わる言わばメドレー的な曲
その中でも一番苦しい歌詞が流れて来る
その時だった
負けたら私は出ていく
然し都佑が負けたら目の前で土下座をして
死んでもらうと言うのだ
それはあんまりだと言うのだが
都佑はいいよ。と声を出した
流石に一年や教師もいけないと手を出す
途端に殺気を出した都佑に本気なのだと知る教師
『君らが口を出すものではない。これは彼女と私の一騎打ちだよ。
私は負けないよ。誰にも負けないよ。学園長
彼女が男を虜に出来る様に、私も一つ幻術を使えるのですが
それを使ってもよいでしょうか?』
学園長「うむ、許可する」
『有難き幸せ』
本当に幸せだったらいいのにね。
そう心で呟きながら天女の前に行く
『私は死んでも構わない。それが人を傷付ける行為でも
私はいずれ死んでしまうし君だって死んでしまう。
君が死ぬ時間を早めるだけ。言い逃れは無しだよ。
今変えると言っても私は君に負けたら自害するつもりだからね』
「はっ、意見を変えるつもりはないわ!
さっさとやってしまいましょう」
そう言われて直ぐに舞台が用意された
この顔も黒く塗りつぶされたのに
でも私は負けないの
そう言う都佑に全員が黙る
そして決戦の火蓋が落とされた
すっと手首をさする
其処には確かに何もないのだが
昔在った印を心の中で思い返し前を見て歩き出した
迷い込んでいるの?
(迷っても意味ないよ)
(私はもう迷わない。)
(これだけは迷わないよ)
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