過去の余韻



直すことくらい出来るだろう
天女は少し焦っていた
確かに声はそして想像力も全て綺麗に
完璧にこなせていたのだ

なのに一曲目から昔の事を思い出したかの様に
嬉しくスッキリとした顔にイライラが募る



『(イライラしてるなぁ良い傾向かな?)』

五行の術が得意としている私にとっては好都合
思いっ切り怒って泣いて叫べばいいさ
それを掬いとるのは私なのだから

天女が五年生と六年生を人質にし始める
身動きが取れないのに焦る勘右衛門に都佑は大丈夫だと言う
三曲目が終わり全てが終わったのにも関わらず
四曲目を始めようとする天女に都佑は大丈夫だと繰り返す

『大丈夫、大丈夫だよ。
だって私が居る。私達が居る。』

困った様な笑顔で都佑は舞台に立った
直ぐに眼、耳、口、喉に手を隠す様に被せる
誰も傷付けないように

そう言って都佑は眼を開けて手を地面に置いた後
勢いよく上にあげる
すると文次郎が浮かび上がって来たではないか

それには文次郎本人も驚いた
都佑はニヤリと笑いながら歌を歌いだす


葵「この勝負、決まったね」

「え?どうしてですか?」

八雲「声質やテンポ全ては天女が勝っているがー」

葵「音楽への愛は都佑の方が数倍上だし
まず都佑のあの高性能な五年と六年生を
一気に形にしている処、想像力は都佑の方が豊かだよね」


そう言いながらも都佑が何時でも倒れてしまった時の為に
背後に回って様子を見る2人に敵わないなぁと
三木は思っていた



『さぁ!始まるよ!用意はいいかい?
いぇい!おっけまー!おほー!!』

葵「前言撤回都佑は只のノリのいい馬鹿だった」


拳を作り片方だけ上にあげる都佑に
ため息をつく葵に二年や一年の皆は半笑




文次郎の肩に手を付いた都佑はニヤリと笑う

『さぁ、何処からでもかかってきんしゃい
本物が勝つか、私の想いが勝つか、
どちらが勝つかは見ないでも分かる筈だけど?』

「うるさいうるさい!!
お前なんか死んでしまえばいいのよ!!」

文「うおっ、!?くっ!(身体が想う様に動かねぇ!!)」

既に正気に戻っている文次郎は
身体が乗っ取られている事に気付く

都佑は笑っていた
ニヤリと何処かの悪戯小僧の様に

目の前に居るのは少々肌を露出し過ぎている
ライバルである食満が率いている用具委員会の後輩だった
確かに昔はしれっとした顔持ちでそれなりの
成績者だとは聞いていたが・・・


文「(明らかに別人だろ)」

ワクワクとした様な眼つきは六年で言う
某暴君の眼に似ているし、きゃっきゃと
はしゃいだと思えば『行くぞ潮江!』と
苗字呼び捨てで背中を押し出していた

自信満々に押し出した後の姿も綺麗の一言だった
怖がっている様な素振りも関係ないです。
と言う様な素振りすらもない、只「これでいい」
と言った様な姿に一目おいてしまう
眼は澄んだ眼で、迷いも何もないと語っていた

そう思っていると身体は動きだす
それと同時に都佑も動き出し踊りながら
"潮江"が動き出す

『乱れた呼吸 慌ただしく 
鼓動急かす under the moon
こぼれた悲鳴 怯えだす眼 
誘いざなう生死の運命 』


都佑が作りだしたもう一人の潮江文次郎は
任務等で行く黒い忍装束姿だった

勢いよく来た槍に文次郎も警戒しながら
天女が作りだした槍で応戦する
その間都佑はまた地面から人を1人創り出した


小「私か!?」

『君の身体 流れるblood 
まき散らす香り so mad
もう後戻りできない世界 
it begins! are you ready?』

天女も驚いたのか小平太の方に向かって行く私に
小平太を押し出す様に出して
足を前に出す様に攻撃を繰り出す

然しニヤリと悪戯するぞと言った様な
"七松"は華麗にかわして両手を付いて
両足を小平太の横顔にクリーンヒット


『本能は望む moreアクセンクトウ 
どんな症状さえ all you want 』

兵助「容赦しないつもりか!」

兵助や八左の方にも出てくるそれは正に"突撃"そのもの
都佑は全力で"久々知と竹谷"を創り出し攻撃をさせる
勿論自身の得意とする武器で遠慮もなく


『ホラ本能は望む moreヨソクフノウ 
It's your turn in this world ah...』

都佑は只管身体を動かし右へ左へ狂った様に踊る
嬉しそうに笑いながら踊っているので
思わずテンポを刻んでしまいそうになる

まぁ無理矢理動いてしまう身体はそんな事ないのだが

八左「寧ろそうしてもらえればこっちも、本気で行ける!」

そう言って微塵を投げた八左の後に都佑は
心ゆくまでと呟く

その後直ぐに世界は変わるように"潮江達"が
集まり都佑を守るように眼を閉じる

眼を開けた後ごくりと唾を飲み込んだ
眼が"赤い"のだ
血眼とかではなく、純粋に赤い

眼が赤い彼らは何かに憑りつかれた様に
都佑を守るように近くで攻撃を繰り出す様に攻撃をする
それに誘われているのかと気付いた後は既に遅く

都佑のニヤリとした顔が頭から離れない


『go ahead 限界はない
終わりなくtry again and again you gonna fight 
ありとあらゆる術で ah...
目の前を邪魔する全てをまとめてロックオン!』

そんな事を考えていると都佑が
パーンと銃の手を作って打った

すると四人の身体から透明な糸が
プツリと切れた音がした
それにナイス!と葵が叫ぶ

都佑は踊りながら歌いながら自分ら五年や六年を
創り出した上に何処に糸があるのかを見抜いて
切っていたらしい

八左は1人「すげぇ」としか言いようが無かった
手には確かに操られていた様な赤く蚯蚓腫れしてしまった
糸の後が付いていた


次に立花と言って眼を向ける
直ぐに天女は分かったわ!とニヤリと笑い
三郎、雷蔵、長次、伊作を前に行かせる

仙蔵の前には"立花"が立ち攻撃を繰り出そうとした
そのままかわして手を右へ左へ動かす

仙蔵「舞か?」

『イイナリのデイズ ありふれたGAME 
それはまるでit's like a slave
潔く 赤色のスープ 
飲み干してごらんよ さぁ 』

手を出した場所に雷蔵らしき人物が出てくる
その手を取る都佑はとても嬉しそうだ


『震えるその身体 be delight 
想像超えるくらい
it's your time be riding your high 
拒む理由なんてない』

半分程歌うと滑舌良く歌いながら"不破"の後ろから
出て来た半目の"鉢屋"を見つけ出しニヤリと
笑いかけると"鉢屋"はニヤリと笑っていた


『細胞が望む moreガシンショウタン 
鼓動激しく falling down 』

長次と伊作が出て来て同時に歌いながら踊り出す
その間都佑は三郎達の前に出て一つの槍を身体から取り出した

都佑が確かに使っている得意の槍だ

『ホラ細胞が望む moreクシンサンタン
you would be fuckin' crazy』


止めろとも言えずに只都佑の方に攻撃を繰り出してしまう
三郎達に都佑は眼をぱちくりと瞬きをしながら嬉しそうに笑う
何故そんな顔が出来るのかと問いたいほどに、嬉しそうに笑うのだ

目を閉じて距離を取る
声に集中したのだろうか

心ゆくまで

そう言って眼を開く
その眼はギラギラと紅く光る
いつの間にか都佑の後ろに来ていた"鉢屋"達が三郎達の
身体の近くに張っていた糸を切り取る

『go ahead 限界はない
終わりなくtry again and
again you gonna fight 
ありとあらゆる術で ah...
思いのまま蹴散らし it's FINE』


足を振り上げて都佑は背後に回る
すると都佑はそのまま2人を創り出す


尾浜と食満だ


眼は未だに赤いまま
それに葵は「止めないと」と目を開けて身体を身震いさせて言う


『目指すのはもっと上へ 懸命なLIVE
何度だってtry again and again until you die
弾け飛びそうな衝動を ah...
目の前に立ちはだかる全てに今解放』


ニヤリとまた笑う都佑の表情は優越感を感じている様な顔で
三郎達は都佑の背中を見ながら何故だと言う


何故攻撃をしないで守るのだと


「それはわたしだからだよ」

雷蔵「え!?あ、え、君は・・」

都佑がその声に振り返る
ふわふわと浮かび上がる黒髪の少女に眼を奪われた

少女は嬉しそうにきゃっきゃと笑っている

「どうしたん?やらんが?」

やるさ、やるけど、どうして、いや



君も私の"一部"だものね。
全員で攻撃しないと殺せるもんも、殺せない



『迎えてあげる COME ON   手加減はしないかも
期待以上の対応 かわいがってあげる 』


膝をつき都佑は少女の前で頭を下げる
その姿を少女はじっと見たまま
すぐに右手を前に出す


『君が手にした才能   閉じ込めている大脳 』

少女は都佑の頭を
都佑は少女の心臓部分に手を置く
其処から赤い花が咲いた


彼岸花に似たような花が

『弄ってあげましょう come on 本性 さぁ wake up now!』

都佑は後ろを振り返り三郎達の方を見て笑った
少女は1人前を歩いて黒い忍び装束の"鉢屋"達の元に歩いた


準備は整ったと言う様な口ぶりだった

都佑の口が開く
上級生しか知らない読唇術で


"たのしかったよ"

それだけを呟いて



『心ゆくまでgo ahead 限界はない 』

眼を赤く光らせる
心臓の近くに咲いた赤い花がどんどんと開いていく

『終わりなくtry again and again you gonna fight』

少女は鉢屋達の元に行き槍を構える
気付いてあげるべきだった
気付かない方がおかしかった筈だったのに

『ありとあらゆる術で ah... 』

少女は鉢屋と不破の身体にすっぽりと隠れ
離れた時には黒髪の細身である都佑と
瓜二つになった

眼は蒼く、キラキラと輝く

『想いのまま蹴散らし it's FINE 』

都佑は笑って三郎達の方で笑って舞う
後ろは任せたと言わんばかりに
只大丈夫だと三郎達に言い聞かせる様に

『目指すのはもっと上へ 懸命なLIVE』

上に手を上げ右足を後ろに引き一回転をする
そうして少女と入れ替わる
少女の微笑みは優しかった


その優しい顔に勘右衛門は察した

嗚呼、もうモドレナイのか。と

『何度だってtry again and again until you die』

「なによ!なんで私がこんな!」

『派手にかましちゃえばいいよ ah... 』

アと言う単語の度に手を交互に振り踊る
横に視線を置いていた都佑は天女の方に目を向ける
赤い目にドキリとしたのか天女は固まる

『目の前を邪魔する全てをまとめてロックオン! 』

銃の様な形を作り都佑はパーンと
銃声があったかのように動く
すると鉢屋と不破が前に走る

さっと走った姿はつい最近までの三郎達とは
違うキレのある動きで

『見てるだけの弱者共よ ファックオフ!』

そのまま中指を立てて睨みつけながらニヤリと笑う都佑
左右には竹谷と尾浜が背後には久々知が
不破と鉢屋の間からは黒髪の少女が出て来た

そのまま狙いを定めて一気に刃を投げ

ようとした処、寸止めで終わる



『どう?これでも君は私の全てを知ろうとする?
私と君だけでなく数人はこの世界では異人、
まぁエイリアンと言ってもいいけどなぁー』

ねぇ、都佑ちゃん

そう都佑が頭の後ろで手を組んでにやけると
少女はケラケラと笑っていた


三郎「・・あいつ、何時の間にあんな」

葵「都佑、お前」

『大丈夫だよ。あおちゃん。ほら都佑ちゃんだっている。
私は最初から忘れていたんだよ。都佑ちゃんが出て来たのは
三郎達が離れてからだった』


そっと黒髪の少女、前世の幼き頃の都佑本人の頭を撫でる
するときゃっきゃと嬉しそうに笑いながら腕を取る彼女に
都佑は眼を細めた

『こんな可愛い子を捨てる訳がない
己が一番愛おしいと知ったからね
天女様様かもしれないけどさ
私も色々とおかしい位感情が回ってるんだよね。てわけで』

そう言いながら三郎の前に都佑ちゃんを押し倒す
少女は泣きそうな顔でどうしてと言った

『どうしてもないよ。もう良いんだよ。
もう君は守ってくれる人達がいる、
私はもう用無しにならなければならない』

「いや!"私"が居なくならないといけないのに!
どうして!いやだ!いやだよ!!」

三郎「都佑、私もこいつが言う様に
素直に背中を押す事は出来ない。
何のつもりだ?・・・お前まさか!」

直ぐに都佑はシーと声に出しながら人差し指を立てる
ふっと振り返ると槍を持っていた天女が居て


都佑はそのまま左の脇腹に突き刺されてしまった






前ページ - return - 次ページ













/utakata3/novel/28/?index=1泡沫の白昼夢