どうして泣くの



自分で回す歯車
留「都佑!!!」

小「天女、貴様・・」

「え、あ、わ、私、ちが」

ごぽりと血を吐いて崩れる様に倒れる都佑に
雷蔵は走って身体を受け止める

ヒューヒューと音を立てながらも息をする都佑に
伊作を呼び大急ぎで保健室に運ぶ事にした


「都佑ちゃ・・・なんで?」

三郎「??」

三郎の身体の中でふるふると震える幼少期の都佑
その眼は怒っていた
とても、怒っていた


「なんで皆なかよくしないの?
なんで皆"私"を見てくれないの!?
私悪い事していないのに!良い子でいたのに!
天女様も鉢屋君達も皆都佑ちゃんを傷付ける!!」

三郎「ちが、私達はそんな」

「うるさい!もう人間なんて知る物か!!
嫌だ!もううんざりだ!私は都佑ちゃんを助ける!」

そう言って少女は怒った顔で前に歩こうとする
その目の前には血まみれになっていく都佑が居て
葵は小さな声で名前を呼んだ

少女の名を
正しくは昔の少女の名前を


葵「都佑」

「離して!私が元に戻るの!ただそれだけなの!」

少女は暴れる
葵が手を取ると泣きそうな顔で睨もうとしたがすぐに止めた

だって葵が涙を流していたから


葵「都佑」

すっと流れる様に落ちる涙に少女の顔はどんどん崩れていく
そうして少女の眼から大きな涙が流れだした

「わた、わたしがっ、まもっ、嗚呼」

何かを察したのか、気付いてしまったのか
少女は頭を耳を両手で押さえて頭を横に振る
眼をぎゅっと瞑りわずかだが震えていた

それを見た葵はずずっと鼻水を啜った後
そっと膝をついて少女を見上げる様に座る


葵「十分に守ってあげたね偉いね良い子だね」

そう葵が言いながら抱きしめて背中をポンポンと叩くと
都佑はワンワンと声を上げて泣きだした
空に向かって葵に抱き付いて大声で


その姿を見ながら学園長は言った

「天女よ、お前のしたことは1人の女子を殺しそうにした
今迄の事も踏まえてお前さんはこの学園から出て言ってもらう」

「嘘、私は何もしていないわ!」

「ならこの少女の鳴き声はどう説明すると言うのじゃ。
都佑には"感情を実現化させることが出来る"能力を受け取った
此処で泣き喚く少女は正真正銘、都佑本人じゃ」

「それは・・・」

落ち込む天女に拍車をかける様に葵が言う「悪い女だからよ」と


葵「都佑は優しすぎる子供なんだよ
大人でいなければいけないのに子供で居たかった
子供で居て良かった筈が大人のフリをしなければならなかった
気持ちはお前にも私達にも分からない」

「・・・」

葵「目の前で人を殺さないのは都佑が人殺しが嫌だから
例え世界で一番嫌いでも、都佑は無かった事にしようとする
何度か人殺しの授業があった。その度に都佑は私や八雲先輩を頼った。」


三郎「・・なに?そんなのきいていないぞ」

葵「それはそうだよ。だって誰にも言っていないもの。
都佑は言った『誰にも知られてはいけない。きっと
知ってしまったら皆白い眼で見て来る。人の嫌な眼に
耐えられる私は今は居ないから時が来るまで黙ってて』ってね」

雷蔵「そんな、僕らは」

八雲「人が傷つく行為を避ける行動は今に始まった事じゃない
よくよく考えたらわかっただろうが、そんな時に天女が来て
お前らを惑わしたんだ。仕方がないだろ」

葵「まぁ都佑はそれ位人の死は嫌なの。
なのにお前はそれを踏みにじった」

「ごめ、なさ」

ぽろぽろと涙を流し崩れ落ちる天女に五年も六年も味方に付かない
もう目が覚めた今、本来は殺したくてたまらなかった

小平太「だが私は殺しても良いと思う」

勘「俺もです」

「ひっ!?」

「駄目!」

そう言って間に入って来たのは紛れもなく
都佑が創りだしてしまった少女だった

腫れた眼は泣いた証で、可愛いとは言い難かった


「私の眼が青かったり黒かったりしている間は
誰もコロスことはさせないんだから!」

勘「だけど都佑を苦しめたんだよ!?
そんなヤツを放っていいの!?」

「いいよめんどくさい」

留「めんどくさい!?」

驚くのも無理はない
急に真顔で直立立ちし始めたのだ
グチグチとそう、グチグチと

「だって都佑ちゃんが言ったんでしょう?みゆは関係ない。
みゆは殺してもいいけど、めんどうだから嫌だ。
それ以前に都佑ちゃんが殺さないでって言ってる」

それなら嫌な事はしない方がいい


「私は都佑ちゃんの処に行くよ
例え君らが殺そうとも、私は行くよ
来世になっても会いに行ってやる」


キラキラと天女がどんどんと
綺麗な光になって空に飛んでいくのに
三郎達は見ているだけ見てすぐにみゆは
都佑の方に向かった


走って行こうとしても前に誰かが降りて来た



「・・!」

ライ「君は本当に純粋な心を持っているよね
君らが2人になってしまったのには何かが原因に
なっている事は分かっているね?」

「・・・うん」

良い子だ
そう幼い子をあやす様に言うライに
みゆは涙目で都佑の居る方向をみている
仕方がないと思いながらもライは
都佑の前に少女を持っていく事にしたらしい

ひょいと軽々しくみゆを持ち上げ
三郎達に「ついてくるがいい」と
低い声でいいのける































ライ「善法寺伊作よ都佑の容態はどうだ?」

伊作「え!?あ、はい。・・少し悪い位ですね
今日を乗り越えたとしても普段の生活に戻れるかどうか」

そんな!
そう言ったのは葵だった
だから止めておけと言ったのに
そう自分で責めて拳を作っている中
少女は葵を抱きしめた

葵は正座をしていたので丁度みゆと目が合う処の位置で
みゆがしてきた事に頭が追いついてきていなかった


「だいじょうぶ」

葵「都佑・・・」

「もういーの私が速めてあげなくちゃ」


そう言ってみゆは都佑の前に座りこむ
女の子座りのまま両手を絡めるように
祈るように組んで目をつぶる

するとどうだろう
みゆの周りにキラキラと蒼い光が舞いだす
直ぐにその光を吸収してドンドンとみゆは
急成長を遂げていく


それには全員驚きただどうなるかを見届けるしかなかった



小さな少女は成長して女の身体になる
眼を開けて澄んだ瞳を都佑に向ける
微笑んだ顔に惚れない男は居ないだろう


「もう、大丈夫
ほら、同じ速度になった」


そう言った途端みゆが綺麗に光だして消えていく
それに葵は何かを言いかけるが何もないと
言って笑ってやる

みゆはただライの方に目を向けるとライは
いいよ。と言った


「皆さん今迄ありがとうございました。
私共々都佑は本当に愛されていたんだと
想う事が出来ました。」

伊作「え?」

八左「おい、都佑をどうするんだ」

「都佑は居なくなりません。
記憶も身体に残ってしまう傷も
何もかも残して行きます。」


答えになっている様でなっていない返答に
八左は首を傾げる


「大丈夫もう独りなんかじゃない
ただいま、わたし。おかえり、わたし。」




そう言うと綺麗に速度を上げて足から消えていく
頭まで来るとパーンと音を立てて四方に光が飛び散った



そうして都佑の分身は消えてなくなってしまった















天女との戦いがあっけなく終わってしまった日




少女は確かに愛していた人の為に身を投げたのだった














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