セピア・スピカ




『黒木』

一年は組の前で私は庄ちゃんを呼ぶ
これもまた上級生の仕事だ
は組のシーンとした音に
私はいつぞやの記憶が頭の中を横切ってしまう
その頭がいっそ記憶事無くなればいいのにと
思っていた時に黒木が目の前に来ていた


黒木「なんでしょうか岡本先輩」

『授業が終わり次第なるべく五年の教室に来てほしい
午後は座学になっているし、あ、委員会は出なくていい。
委員会に出たくても遅れるかもしくは終わっている
可能性が高いが、それでもいいか?』

黒木「はい。構いません。」

きり丸「あの、岡本先輩」

ん?なんだ?
そう答えた時にはきり丸の眼を見ていた
その眼は「何故庄左エ門なのか」「どうして此処にお前が居るのか」
そんな問いが聞こえてくる

『・・単に黒木に用があるだけだ。
黒木が何かをしたわけじゃないし、
それにお前達もいずれ何処かで知る時が来る。
お前らは普通にいつもの様にすればいい。
私が言いたいことはそれだけだ。じゃあな黒木』


黒木「あ、はい!」



さっと外に逃げる様に見えない様にでる
きり丸の眼は何処かで見た事のある眼だったが、
はて、何時の記憶だったか

記憶の書庫を漁っている中、不破に会う
ううん、今日は五年生に会う予定はなかったんだが


不破「あれ?岡本どうして一年の方から来たんだい?」

『ちょっと用があってな。』

不破「ふーん」


ふーん。って何だよ怖いよ不破って怖いよなんだよ怖いってばよ

そう本心は良く考えたら男の子だと意識してしまい
何故かドキドキと心臓が鳴るのをひたすら隠す
そっか、と笑ったのを見て少しだけ安心した。

うん、それでも私はまだ君らに見せないぞ?










不破「第二運動場に行く前に図書室に寄っていたんだ
良かったら今から一緒に運動場まで行かないかい?」

『嗚呼、別にいいけど』

やまった、許可した。

いや、別に許可したくない事もないんだが・・・
さらりと素で反応してしまった。シニタイ


引き汗をかいていると不破がくすっと笑って来た
うん?私表情変えていない筈なんだが・・


不破「君は面白い子だよね」

『そういってくる君の方がもっと面白いと思うけど』

不破「そうかな?」

『そうだよ、なんだよ私が面白いっておかしいだろ』

不破「そうかなー、僕は面白い子だなって思っていたけど」

『待った何時の話だそれは。』

不破「一年の時から?」

『分かったその面白いは私じゃないな?
鉢屋だな?私の変装をした鉢屋三郎だな?』


そう腕を組んで歩きながら首を傾げていると
クスクスと手をグーの形にして口元に置いて
笑っている不破に何だよとふて腐れてみる



不破「いいや?案外話してみると面白いって分かったから
ねぇ、僕君と友達になってみたいんだけど、いいかな?」

『面白い連発されたの久しぶ・・いやなんでもない。
私と?面白いは置いておいてお前には鉢屋達が居るじゃないか
利益になる事など無いと思うが』

不破「利益不利益って言う事じゃないよ
ていうか君はその為だけに見て来たのかい?」

『うーん、そうだね。』




本当は不利益になったとしても友達が欲しい
でもそれは自分が傷ついて死んでしまうからしない。
無理にでも押さえつけないと全て甘えてしまいそうだから


君らにいくつもの嘘を既に数えきれない程ついている私は
君らの友達になる資格などとっくの昔に捨てているのだよ


そう思っていると鉢屋達がこっちに手を振っている
恐らく不破に向かってだろうけど、何だか気分は良いように感じる


『雷蔵って呼ばせてもらうぞ。』

雷蔵「え!?あ、」

『あ、私は名前呼びされたくないから
あだ名付けてほしいな。』

雷蔵「え!?あ、う、うん!!宜しくね!!えーと・・」


竹谷「おほ?雷蔵何悩んでいるんだ?」

『私と友達になる為のあだ名を考えてもらってる』

鉢屋「は!?」

『で、不破。お前犬にポチって付けるみたいな
適当な事でいいんだぞ?』

竹谷「お前そんなのでいいのか!?」

鉢屋は私と友達になりたい雷蔵の事に驚いて
ちょっと慌てふためいているが、
竹谷はちゃんと私の話しを聞いていたのか
突っ込んできた。うん、私そのノリ好きだぞ


『いいのいいの。呼びやすいので名前呼びされなければ』

鉢屋「都佑と呼ばれたくないのか?おっと」


呼ばれた後直ぐに足で蹴ろうとするが反られて避けられた
クソ、こいつ運動神経抜群に良かったんだった
・・股間蹴り落としたい



鉢屋「今さっき物騒な事を考えなかったか?」

『お前が直ぐに私の名前を呼ぶのがいけない
ったく、呼び慣れ・・んんっ!とにかく
いかんものはいかんのだ!!』

竹谷「今さっき呼び慣れていないから駄目って聞こえぐふっ」

竹谷ー!?

そんな声が何処からか聴こえたが気にしない
私がちゃんとお腹に手加減したけどグーパンしたので
はっはー何の事だか?都佑ちゃん知らない。


鉢屋「じゃあ呼び慣れる為にも
呼ばせてもらいましょうかね?都佑君?」

『嗚呼?つかお前俺と友達じゃねーだろしね』

不破「あ、それだ三郎!三郎達も
都佑と仲良くしたらいいんだよ!」

『あ?あのー雷蔵さん?
何を仰っていられるのでおられるんですか?
私日本語ワカリマセン』

不破「分かってるのに聞くだなんて
やっぱり都佑は面白い子だよね!」

いいや、君がおかしいだけだろ。
そう思ったのはちゃんと心の中に留めておきました
都佑ちゃん本当に偉い

というか何だって?
私は雷蔵達の友達枠に入ると?
うううううん!?


『(そうか必然的にううん、どうしよう)』

葵「何話しているんだ?」

竹谷「雷蔵が岡本と友達になるんだってよ」

それに葵がポカーンとして倒れるまで後三秒























葵「いやぁー驚いて思わず倒れたよ!」

『いやいや、私が友達承諾するのそんなに凄いわけじゃねーだろ』

葵「俺はまだ都佑を嫁に出す訳にはいけないんだよ!不破!!」

不破「都佑を僕にくれないんですか!お父さん!!」

『いやいや、まてお前、俺じゃなかった
私嫁に出るの?てか嫁じゃなくてそこ婿だろ。
つか不破も乗らなくていいから、な?え?私が
雷蔵って呼ばないと真顔になるの!?え!?ええ』


あわあわと慌てふためく私に鉢屋と竹谷もポカーンとしていた
ん?なんで驚いているんだ?


先生「おーい!始めるぞー!!」

鉢屋「おい、行くぞ!」



そう言って私の腕を掴んできた鉢屋に私はぎょっとした
いい!?私鉢屋の事も名前呼びしないといけないの!?
何その罰ゲームみたいなの!!嫌だって!!


三郎「都佑」

『っ・・分かったよ、三郎。これでいいだろ?』

そう言うと雷蔵みたいに目を開けた後に
嬉しそうに眉を寄せて笑ってくれた
それに私は目を開けて、少し後ろを振り返った

微かだが遠くの方に誰かが居る
ううん、誰だろう?
でも後ろを振り返って少し落ち着く



直ぐに葵の声が聞こえた
嗚呼、前を向くね


私はその日の授業は一番に集中が出来た気がした



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