25歳、初夏(22話)
25歳、初夏
― 25歳、初夏 ―
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と、言うわけで、二人のあいだには
取り立てて書き記すようなこともなく
あいかわらずなケンカ友達といった
ところで。私たちは、そんな高校時代を
送りました。
その頃の二人がどうだったかはともかく
私はその後も、ずっと神奈川に居るもの
だと思っていました。そこで大人になり
そこで歳をとり、そこで生涯を終える。
ずっとずっとそこで
生きていくものだと思っていました。
けれど、私たちの絆は
それほど強くはなかったのです。
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筆を走らせながら、思い出す。あんなことや、こんなこと。たくさんの、大切な思い出の数々。
湘北高校にバスケ部、友人や後輩。蘇る様々な記憶に自然と私も笑みが溢れた。懐かしいな……なんだか本当に私たち、喧嘩ばっかりだ。けど、本当に、楽しかったな——。
湘北に転校して来てからの約半年間。私の高校生活はバスケ部のみんなと桜木軍団、そして……寿、一色だったのだなと、あらためて実感する。
私は筆を置いて腕を伸ばし背伸びをした。そうして昔の記憶を思い返しながら不意に目を細める。私はふうと息を吐いて立ち上がり、バッグのファスナーを開けた。手に取ったのは自宅の鍵。そこにぶら下がっている小さく揺れ動く赤いバスケットボールのストラップにそっと触れてみた。
「……。」
無意識に出てしまった小さな溜め息。私は手に持っていたストラップの付いた鍵を、机にそっと置いてから、また床に座り込んだ。
『このあいだ、三井先輩も同じの付けてたわよ』
ふと思い出す、親友から言われたのあの台詞。記憶の中に残っている彼の面影が脳裏をよぎり、私は静かに瞼を閉じた。いまでも遠くから聞こえてくる——
『 名前!』
私を呼ぶ、大好きだった彼の声——。
記憶の中のあの人は、いつも笑っている……。
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