ロクなことねぇな!


料理を食べ終えて休憩をしているときに、イギリスに呼ばれて席を外した。部屋を出たすぐの廊下の壁にもたれかかるイギリスは酷い顔をしていて嫌な予感しかしない。ふいに見た彼女の顔は何かを言いたそうな顔をしていたけれど、言葉がわからない今は聞きようがないと思った。もどかしいなぁ。


「で?わざわざ彼女を一人にしてまで話したいことって何?」
「…フランス…、お前、しばらくあいつを預かっててくれないか?」
「は?!え?!なんで俺?」
「少し調べたいことがあるからだ」
「いやいやいや、そんなのイギリスが預かりながらでもできるでしょ」
「…、できるだけあいつに近づきたくないんだ。今は」
「近づきたくないって、今まで一緒にいたくせに?」
「お前、何も感じないのか?」
「え?何が?」


何も感じないのかと聞かれて、何をどう答えればいいのか。感じるって何を?何を感じてしまう必要があるのだろうか。彼女は俺たちじゃない。ただの一般人なんだから。

いや、違うな。そう思いたいだけだ。そうであってほしいと、願ってるだけだ。では何なのか、と聞かれて、容易く答えられる存在ではないことは確かであって。


「俺はあいつがなんでイタリア兵に追われていたのか調べるのと、もし日本人なら日本に聞いたほうが早いだろうから連絡を取りたいんだ」
「まぁそれが妥当な判断だろうけど…俺が預かるの?マジで?」
「なんだよ。お前女の扱いは得意だろう?」
「いや、そうだけど…」
「お前は何も感じないんだろう?じゃあ普通の女として接するのと大差ないはずだ」
「イギリス…、お前…まさ「話は終わりだ。俺は行く」
「ちょ!待てって!イギリス!」
「せいぜいあいつが変なことしないか見張っとけよ?もし逃がしでもしたらお前んとこの領地貰うからな」
「はぁ?!納得いかねぇ!」


もっと怒鳴り散らしてやりたかったが、足早と去って行ったイギリスを追いかけることはできず。しょうがない、とため息をついてから、あの部屋に戻る足取りは重い。なんて言おう。イギリスが君を置いて行ったことを。なんて話せばいい?絵に描いて訴えるべき?言葉は、通じないのに。


「あー、せめてあの子が英語話せたらなぁ…」


ガチャリ、と開ける扉ですら重く感じるのは気のせいとして。入った瞬間、ビクリ、と俺の肩がはねたのは、彼女が目の前にいたからで。もしかして聞かれてた?と焦るも、そうだ、彼女に俺たちの会話は聞こえても理解できない。

それでも焦りは消えない。嫌な汗も流れてくる。彼女の表情が、苦しそうに歪められるのを見て、俺は無意識に一歩後ずさった。そして浴びせられる、予想外の言葉。


「話したいことがあります」


驚くだとか、慌てるだとか、そんな感情すらを通り越して納得してしまった。ったく。イギリスと関わるとほんとロクなことねぇな!

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