元はと言えば
目の前にいるのは苦笑いを浮かべたフランスとやたらと俺を警戒してる女が一人。その姿がなんだか懐かない猫のようで少し笑えたが、よく考えると殺されかけたんだった。あぶねぇあぶねぇ笑ってる場合じゃねぇ。
「あーっと…なんでお前ここにいるの?」
「なんでって約束してたじゃねーか」
「いや、ほら。ちゃんと待ち合わせ場所指定したよね?それはここじゃなかったはずだけど?」
「お前がおせーから俺様が迎えに来てやったんだろうが」
「遅いって…俺遅れてないけど。時間丁度に行ったし」
「お前んちに向かって歩いてたらばったり出会うかなーって思ってたら家についちまった」
「………はぁ、とりあえず言いたいことは山ほどあるけどその前にちゃんと説明しないと」
「何がだよ?」
くしゃり、と長い前髪をかきあげて着ていたジャケットを脱ぐフランスの後ろから俺をじーっと見ている女がいることを思い出した。バチリ、と目が合うとふい、と逸らされて、何故かそこからこちらを見ようとしない。あんなあからさまに避けなくてもよくね?ま、まぁそういうのには慣れてるからいいんだけどな!
「ナマエ、こいつは俺の友達でね。今日はこいつと会う約束だったわけなんだけど…まさか俺の家でナマエと騒動起こしてるなんて思いもしなかったっていうか…」
「う…ご、ごめんなさい…」
「いやいや、ナマエは悪くないから。悪いのは全部こいつだから」
「なんでだよ!」
「俺はナマエに誰が来ても開けるなって言ったしこの子がそれを破るとは思えないし。でもここにお前がいるってことはまたどっかから忍びこんで入ってきたんだろう。誰だって急に知らない男が入ってきたら驚くに決まってる」
「だからって窒息させるのはどうかと思います!」
「し、死なない程度にやったもん!現に死んでないじゃん!よかったじゃん!」
「それくらいでこの俺様が死ぬかってんだ!っつーか国なんだから窒息死なんてあり得るかよ!」
「っ、え?国?」
「あ゙!この馬鹿っ!」
「あ?んだよ?」
あーあ、言っちゃったよこいつ…、と手で顔を覆いながら呆れたように言い放つフランスの隣で、あなた国なの?と驚いた表情でこちらを見る女。今度は逸らされることのないその視線に不覚にもドキリとしてしまった。
「もしかして…言っちゃまずかったか?」
「いや…うん、まぁ…もういいや…」
「えっと…フランシスさん?」
「まぁナマエには隠し通せないだろうし、本人がぶっちゃけたからもう言うけど…こいつも俺と同じ、国の化身ってわけ」
「えぇ?!」
「?(隠し通せないってどういうことだ?)」
「国名はプロイセン。人名はギルベルト・バイルシュミット」
「え?え?ぷ?プロテイン?ギ…?サミット?」
「だぁー!プロテインってなんだ!プ・ロ・イ・セ・ン!」
「う、うるさい!いきなり耳元で叫ばないでよ!そんな大声で言わなくたって聞こえてるっての!名前無駄に長いのよ!聞き取りにくいの!一回で聞けるわけないじゃんバカ!」
「ば?!こいつ!俺様に向かってバカ呼ばわりたぁ躾がなってねぇぞフランシス!」
「不法侵入するあんたのほうが躾がいるんじゃないの!」
「なんだとぉぉぉ!」
「ああもう!ケンカしない!ケンカしないで!しーずーかーにぃー!」
ぎゃあぎゃあと言い合いをする俺と女の間に入っては何かと女の肩をもつフランスに俺がつっかかるのも時間の問題で。またそれに対して女がフランシスさんを巻き込むなとかなんとかわめくのも想定内で。
前言撤回。フランシスの愛人だなんて言った俺がバカだった。ありえねー話だっつーの。っつかなんでこんなことになってんだ。元はと言えば…って、俺のせいかこのやろぉー…。
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