ほんとうるさい
フランシスさんが何か軽い食べ物でも作ってくるからおとなしくしててね、と念を押して部屋から出ていってしまった。残された私とプロテインだかなんだか知らないけど変態が同じ部屋にいるわけで。とても気が気じゃない。
「おいお前なんでそんな離れて座るんだよ」
「話しかけんな変態」
「おま!いくらなんでもそりゃねぇだろ!泣くぞ!」
「泣くとか。きもい」
「きも?!」
俺様悲しすぎるぜぇーとかなんとか。一人でソファーのクッションに顔を埋め嘘泣きをする変態を見て、私もう自分の部屋へ戻ろうかと思った。だけど折角フランシスさんが何か作ってもってきてくれるっていうんだからそれは人として待っとかなきゃいけないよね。
出会いが出会いなだけに印象悪いけれど、もっとちゃんとした形で出会ってればもしかしたら少しは違った印象を持てたのかな。風に揺れる短い銀色の髪が、彼の白い肌に似合っていてすごく綺麗だと思ったのは事実だし。よく見たらあの赤い目もそんなに怖くないかもしれないし。
じーっと遠くから観察していると、唐突にクッションから顔をあげ、私を見た。急に顔をあげるものだから私もびっくりして思わず体に力が入る。
「っつーかお前、名前は?」
「は?」
「あのなぁ…女がは?とか言うんじゃねーよ。っつか名前!言えよ!」
「なんでそんなに偉そうなの」
「俺様はギルベルト・バイルシュミット。なんとでも呼べ!」
「じゃあ変態」
「せめて名前かすっていけよ!」
「………」
「そういえばフランシスがお前のことナマエっつってたっけ?ん?ナマエ?どっかで聞いたことある名前だな…」
「初対面のはずだけど…」
「いやいや!待て!マジでどっかで聞いた!しかも最近!どこで聞いたっけな…?」
人の話も聞かないでうんうんと唸りだした変態はほっといて。フランシスさんまだかなーって考えているとガチャ、とドアの開く音がした。お待たせーっていうフランシスさんの声をかき消すように、思い出した!とイラってするぐらい大きな声で変態が叫んだ。
「ヴェストから聞いたんだ!ナマエって女の名前!あースッキリしたぁー!」
「は?」
「ん?なに?」
ヴェストって誰だよ、っていう私のつっこみはまたもや彼のうるさい声でかき消された。ちょ、この人ほんとうるさいんだけど!
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