最後のは苦笑い


とりあえず落ち着いて話し合った結果、あまり納得のいく答えはでず、曖昧なまま流れてしまった。何故かというと、このバカ弟がいるせいで話がすすまねーのが原因。


「ナマエは日本人?」
「あ。はい。日本人です」
「ヴェーやっぱりー。そんな気がしたんだよねー!初めて見たときは流石に驚いたけど!」
「それより私は此処がイタリアだってことのほうが驚きです」
「でも気付いたらお城にいたとか不思議だねー」
「そうですねぇ」
「なんか喋り方が俺の友達とそっくりだー。日本人ってみんなそんな喋り方なの?」
「えー?どうでしょう?違う人は違うんじゃないですか?方言とかもありますし」
「方言?」
「同じ日本語でも住んでる地域によって言葉の言い方が変わることですよ」
「へー?たとえばどんなのがあるのー?」
「ええ?た、例えば…そうですねぇ…」


思ったより順応が早いのか、それとも言葉が通じた安心からなのか、先程の強張った表情が嘘のように弟と楽しく喋ってやがる。いつもなら脱線する話を元に戻せと怒鳴るけれど、何故だか今はそんな気分じゃなかった。二人の話し声に耳を傾けながら、そういえばこいつこの後どうすんだ?と考えていた。


「あの、ふぇ、フェリシアーノさんロヴィーノさん。お願いがあるのですが…」
「フェリでいいよー?」
「なんだ?」
「…、えと、今晩だけでいいので泊まらせてもらえないでしょうか?あ!無理だったらいいんです!他あたりますから!」
「ヴェー、フェリでいいのにー」
「他あたるって…もう宿屋なんて開いてねーしお前追われてんだろ?無暗に外出て見つかったらヤバイんじゃねーの?」
「大丈夫です。もう暗いですし顔を隠せばなんとかなると思います。公園があるならそこで寝ても私は全然平気で「お前バカか?」
「え」
「それとも何だ。お前は俺たちがこんな夜に女を一人で追い出すような非情な奴に見えるのか?なら今すぐその目取り替えてもらえコノヤロー!」
「え?え?」
「ヴェー、泊まっていきなよ。俺はもちろん兄ちゃんだって元々そのつもりだったんだよ?」
「え…そうなんですか?」
「うん」
「迷惑じゃな「迷惑なら飯なんか食わせないで追い出してるっつーの」
「もー兄ちゃん!もっと他に言い方ないのー?」
「うるっせ!」


おかしい。男ならともかく女に優しくできないなんて。別に気に食わないわけじゃない。ただなんていうか、今更な感じがしてどうも演じきれない。

それでも少しやり過ぎただろうか、と思い、ナマエを盗み見ると、なんとも間抜けな顔をしていてイラッとした。


「なんだよその顔は」
「いや、えと、なんというか…本当すみません…」
「何で謝るん「ヴェー、何で謝るのさー。それこそ他に言い方あるのにー」
「俺が喋ってるのに言葉被せんじゃねーよちくしょー!」
「ちょ、兄ちゃん痛いよー!髪の毛引っ張らないでぇー!」


俺たちのやりとりにおろおろとしていたのも束の間、今度は小さく笑って。


「フェリシアーノさん、ロヴィーノさん。何から何まで本当にありがとうございます」
「もー!フェリでいいって言ってるのにー!」
「あはは…」


最後のは苦笑いだったが、なんだよ、ちゃんと笑えんじゃねーか。日本人らしい少し遠慮がちな笑い方が、バカ弟の友達にそっくりでなんだか笑えた。

腹抱えて笑えるような話をしたら、こいつどんな笑い方するんだろうな?

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