「「砂藤/くん/さん/ちゃん!バレンタインのチョコ受け取って!!」」
1-Aの女子全員で、同時に砂藤くんにチョコを渡す。
砂藤くんは「お、おう」と驚いてから、ん?と何かに気づいたらしく。
「おまえら〜〜さてはお返しが目当てだな!」
その言葉に私たちはそろってエヘヘと笑った。
「だって、砂藤くんが作るお菓子すっごくおいしいから!」
透ちゃん。
「ええ、まさにほっぺたが落ちてしまいますわ…」
うっとりする八百万さん。
「砂藤くんの作るお菓子はどれも絶品やし」
うんうんと納得するお茶子ちゃん。
「誰にチョコをあげるって聞いた時に満場一致で砂藤ちゃんだったわ」
ケロッと笑う梅雨ちゃん。
「ウチのお返しはチョコケーキでいいよ」
ちゃっかり要望を言う耳郎ちゃん。
「あっ私も!」
それに便乗する私。
「ってなわけでー!砂藤、お返し楽しみにしてるから!」
最後ににししっと笑って、三奈ちゃんが言うと「しょうがねーなぁ」と砂藤くんは照れ臭そうに頭をかいてから、順番にチョコを受け取る。
「お返しは三倍にしてやるから覚悟しとけよ!」
その言葉にきゃ〜と黄色い悲鳴が飛び交った。砂藤くんっ素敵!!
「「……………………………」」
その様子を恨めしそうに見ている視線たち。
「砂藤ずりぃぞーー!!オイラにもそのチョコ寄越せーー!!」
「やめろ峰田!!理由はどうあれこれは俺がもらったんだ!渡さねぇ!!」
「おぉい女子ーー!!俺らには一つもないっておかしいだろ!?」
「そーだそーだ!」
「チョコくれぇ!!」
「さすがに何もないっていうのは…」
「期待してたってわけじゃないけど…」
「僕にないなんておかしくない?」
「踏陰も欲しいよナ?」
「…俺は、興味ないな」
峰田くんからチョコを必死に守る砂藤くん。
上鳴くんを筆頭に、瀬呂くん、切島くん、尾白くん、でっくん、青山くん――。(常闇くん、興味がなさそうなフリをしているけど興味がありそうだ)
男子から起こるチョコくれブーイング。
女子みんなで顔を見合わせ、呆れ顔や苦笑いを浮かべる。
「やめたまえ!バレンタインのチョコは感謝の気持ちを込めて相手に贈るもであって、強要して貰うものではなかろう!」
「「貰ってん奴が口を挟むなぁ!!」」
口を開いたと同時に、一斉につっこまれた天哉くん。
その手にはちゃっかりチョコが。
「天哉くん、誰から貰ったの?」
私が聞くと、もしや本命か!?と食いつく三奈ちゃんたち。
「これはB組の拳藤くんが……」
『いつも物間がそっちに迷惑かけてごめんな。同じ委員長だし、これからもよろしく頼むよ』
「…と、先程貰ったものだ」
「「(あ、もはや義理というより菓子折りに近い)」」
お返しを考えなくてはならないと真剣に考える天哉くんの横で、再びブーイング。
「皆さんにもちゃんと用意してありますわ」
困った笑みを浮かべながら言った八百万さんの言葉に、打って変わって「よっしゃあああ!!」と喜びの雄叫びがその場に上がった。
静かだった障子くんや口田くんも笑顔を見せて、嬉しそう。
「はーい!女子みんなの手作りだよー!」
透ちゃんがじゃーんとカゴを取り出す。
その中にあるのは人数分に袋に小分けしたハート型のチョコ。
おお!と彼らが喜んだのも一瞬で、
「なんだよ…たとえ義理でももっと他にあんだろ〜」こう箱とか…
口を尖らせ不満を漏らす上鳴くん。
「なら上鳴は食わんでいい」
耳郎ちゃんがぴしゃりと言うと「食べます食べます!」と慌てて上鳴くんは自分の分を確保した。
「はい、障子くん」
「…ありがとう」
「常闇くんは……」
「…興味がないとは言ったが、いらないとは言っていない」
「素直じゃないナ踏陰は」
「あはは、ちゃんと常闇くんの分だから受け取ってね」
「…ありがたく貰おう」
爆豪くんも含め、全員にチョコが渡ったようだ。
それとは別に。
私は本命チョコをこっそり渡しているので、じつはちょっとドキドキしている――……
【本命チョコをあげたのは?】
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緑谷出久
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爆豪勝己
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轟焦凍
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心操人使