触れる肩と並木道−1


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よく晴れた真冬の月曜日、バーソロミューもしっかり家事やカフェの手伝いを不慣れながらにするようになった頃のことだった。

別邸の冷蔵庫の様子からそろそろ買い物に行く時期かと思い立ち、ふと今日はギャラハッドが家にいることを思い出した。サンソンやバーソロミューは東京にも慣れて、一人でいろいろと出かけるようになったため、休みを利用してそれぞれどこかに行っている。当然、一緒に行動はしていない。

普段は車で住宅街の中に買い物に出ているが、今日は晴れているから歩こうと考えた唯斗は、2階のギャラハッドの部屋に上がった。


「ギャラハッド、ちょっといいか」

「はい、今行きます」


扉をノックするとすぐに出てくる。中はきちんと整頓されていて、かつて唯斗が使っていた部屋だったがまったく違う趣になっていた。性格がよく出ている。
ちなみに向かいのサンソンの部屋も綺麗に整理されているが、本邸の唯斗とバーソロミューの部屋は散らかっている。あくまで唯斗は唯斗のルールに沿ってモノを置いているだけだと主張しているが、サンソンたちに聞き入れられた試しはない。


「どうかしました?」

「買い物行くんだけど、ついてきてもらってもいいか?」

「分かりました、すぐ用意します」


これがバーソロミューなら支度にあれこれ時間がかかるところだが、常に身なりを整えているギャラハッドはすぐに支度が済む。数分もしないうちに着替えて部屋を出てきたため、唯斗もリビングでコートを着てから玄関を出た。


「さっむ…悪いな寒い中」

「そんなに寒いですか?欧州にいたなら慣れてるでしょう」

「まぁ東京のが全然暖かいのは確かだけど…部屋の心地よさと比べての話な」

「隣にあなたがいるなら、寒さも暑さも気になりません」


当然のように言ったギャラハッドに面くらい、唯斗はもごもごと「そっか…」としか返せなかった。分かっていたギャラハッドは小さく笑ってから、「どこのスーパーに行きますか」と尋ねてくる。

こういうところに色男で知られる父親の片鱗を見るのだが、それを言うと怒るので黙っておくことにする。


「駅前まで行く」

「分かりました」


普段は住宅地の中にある普通のスーパーだが、今日はエキナカの生鮮食品を買いに行く。
そこでなければならない理由はない。

歩き始めると、ギャラハッドは自然に道路側を歩いた。街路樹が並ぶ大通りに沿った歩道は広いのだが、人も多いためわりと道路側を歩いており、ギャラハッドが唯斗の左に立って最も道路側の歩道を歩いていた。
大学の話などを聞きながら歩いていると、たまに肩が触れ合う。ギャラハッドとは身長差が10センチほどになり、体格差もあって肩が触れるとそれらを実感してしまう。
もうさすがに、年下の学生にそういうところで負けていることには諦めを感じているが。

やがて駅前に着くと、平日の昼過ぎだというのにそれなりに人で混み合う駅の中の商業施設へと入り、目当ての高級スーパーに入る。買うものは普段と変わらないものだが、単価がやはり少しいつものスーパーより高かった。

一通り買い物を済ませレジに向かうと、アイスコーナーに差し掛かる。足を止めた唯斗に、隣に立ったギャラハッドから咳払いが落ちてきた。


「だめですよ唯斗さん」

「…まだ何も言ってねぇだろ……」

「ここのところ常にアイスをストックしてますよね。食べ過ぎです」

「運動してっからいいだろ」

「そういう問題ではないです」


やはり生真面目なギャラハッドらしい。バーソロミューは「食べ過ぎじゃないかい?」と一応言うが止めないのだが、サンソンとギャラハッドは厳しいのだ。特にサンソンは医者なので論破はまず無理だし、ギャラハッドも「だめなものはだめです」くらい言いそうだ。



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