ハジマリノ
刺すような冷たい風が走る。
それは日輪刀から放たれた斬撃。
廊下から哀絶へと向かってくるその冷気を槍で薙ぐと、握り拳ほどの氷の礫(つぶて)がバラバラと室内に転がった。
「氷の呼吸 参ノ型ーーーー」
『来おったな、鬼殺隊。
哀絶避けぇ。吹き飛ばしてくれるわ』
窓枠に腰掛けていた可楽はカカっと笑い声を上げて扇を振る。隊士が起こした冷気と可楽の風がぶつかり相殺され、キラキラと氷の粒が舞う。
「4体?
鬼は群れないはずじゃ、、」
『何故じゃろうのう?
その顔、愉快、愉快。』
現れた隊士は再び刀を構える。
そしてそれと同時に室内に横たわる少女の存在に気づいた。
「っ!!」
その目は一気に鋭く、纏う空気が冷やりと変わる。
『ほぅ…お前、柱か?』
「氷の呼吸 陸ノ型ーーーー」
『聞く気も答える気も皆無らしい。
用は済んだ。行くぞ』
空喜、積怒、哀絶、可楽の4体の鬼はここで鬼殺の隊士を殺せないわけでは無いだろうが、窓から夜の闇へと姿を眩ました。それは少女の身の寄せ場所としては鬼殺隊は都合が良いと考えたから。きっと先程の疑問は彼女を何処ぞへ預けると言う選択肢を潰した事だろう。仮に、もしそんな愚行を働けば相応の代償を払わせるつもりだが。
『桜、8年後また会おうぞ 』
鬼が去った後の事
隠が訪れるまでは生き残りの彼女から離れるわけにはいかず、駆けつけた鬼殺隊士 凍柱 森景 詠(もりかげ よみ)は、4体の鬼が現れた現場で唯一の生き残りである少女の傍で応急処置をしていた。
ーー、、8年後?
確かにあの鬼はそう言った。
幸いな事に手のひらの切り傷以外目立った外傷はなく、一階の凄惨さを思えば奇跡としか言いようが無い。
「怖かっただろうに。
もっと早く辿り着けていれば、
君一人にしてしまう事はなかったかもしれない。
本当に申し訳ない」
髪の毛が顔にかかっていては呼吸がし難かろうと髪を避けて、異様なものを感じてしまった。
気絶した少女の下唇に血で紅が引かれていだからだった。
「あの鬼は一体、何なんだ、、」
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