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潔言
潔さん:ヤトウモリ♂
⇒「ヒヨっ子」、「あいつ」、「こいつ」、「腐女子」→「こと」、「言咲」
言咲(ことのさき)
:クワガノン♀
⇒「一茶さん」、「潔さん」→「潔」
結婚記念日
2017年7月7日
関連作品
幸せな未来を描いて
愛しさに溶け込み、心地良さに身を委ね
表面:人柄の好い大物俳優一茶さん×清純派中堅女優言ノ咲さん
裏面:俺様大魔王様潔様×名医もお手上げ末期腐女子言咲
優しい、明るい、人が好い。困ったときはフォローもしてくれる。大御所として下の子の育成にも手を抜かない。完璧とも言える一茶さん。実ゲイビ男優の仕事にも手をだし、可愛らしい受けとしても大好評。というところまでが表の顔。実は天上天下唯我独尊、何様俺様大魔王様の潔様。絶対口にはしないが、下手な演技を見ていると「引っ込んでいろ」と、内心罵倒が続いていることがある。根は優しいのは変わりはない。
Fake主催のオーディションにでグランプリを受賞して以降、女優として大活躍。CM女王の冠も得て、仕事は順調。清純派女優として名を売り。理想の彼女象としても雑誌に取り上げられるようになった。というのは芸能人として活動するようになってから身に着けた表の顔。芸能界に入った本音は「イケメン同士の絡みを間近で見たい」というふざけたもの。そう、生モノだっていける末期症状を拗らせた腐女子である。
公にできない顔を持っている2匹であるが、言咲の腐女子を知っても潔さんは受け入れて、そのうえネタ提供に惜しみがない。そして言咲はというとゲイビももちろん嗜んでおり、実は一茶さんの大ファンで出演作品全部持っている。趣味と性癖が噛み合っている2匹だからこそ、個性と我が強すぎても上手くいっているのだろう。
乱れた関係から始まった2匹
同じ芸能界で活躍する者として相手のことは認識していた。しかし、深い交流を持っていたわけでもないため、言咲は一茶さんのことを誰にでも優しい天使のような俳優として見ていたし、潔さんも言ノ咲のことをメディアで持ち上げられている通りの清純派女優としえ見ていた。
関係が始まったのは言咲が忘れ物を取りに楽屋に戻った際、電話中の潔さんを発見してしまったことがきっかけである。電話する潔さんの姿は口が悪く、日頃の天使のように優しい姿の面影がなかった。見てはいけないものを見てしまった言咲はその場から去ろうとしたが、潔さんに見つかる。言咲は誰にも話さないからと訴えるも、信用されるはずがなく、口止めのためにその場で犯された。
その日を境に、遭遇すれば所かまわず犯されるようになる。局のトイレ、楽屋、ロケバス時にはスタジオでも。見つかって困るのは言咲だけではないため、当然バレないようにはされていたが、外で鳴かされ犯されたなど言咲からしたらたまったものではない。ということを恋人になってから改めて文句を言ったら「顔が好みだから手を出した」と返されてしまうので、未だあの時の一件を本気で怒れずにいる。潔さんにべた惚れとなった今、そのことで怒る日も来ないだろう。
性行為を交えることが当然となった2匹の関係。最低だと罵ったこともあったが、それでも潔さんのことを知っていくにつれて惹かれるようになった言咲。我ながらなんて単純なのだろうと頭を抱え、潔さんが求めるのは身体だけだろうからこの気持ちはばれてはいけないと隠していた。しかし、どうも潔さんにはばれていたらしい。
根はただの演技馬鹿
芸能人なのだから仮面をかぶって当たり前。素が大魔王様であろうといいのではないだろうか。それよりも問題は口止めに犯し、そこから会うたびにシてくること! と、怒りや最低だと軽蔑する気持ちはあれど尊敬する役者に違いはない。人前でならば手を出してくることもないであろうとドラマの収録で演技の指導をお願いするようになった。関係をもったからにはせめて役者として何かを吸収しようと思ったのだ。演技に関しては中途半端を許さない潔さんは真剣に教えてくれた。言咲が台本にある空白を読み込んで思ったことを伝えることもあり、最初の頃はヒヨっ子が生意気にと返すこともあったが、言咲の演技に対する真摯な姿勢を認めたのか聞き入れてくれるようになった。恋人となり、夫婦となり。共に過ごす時間が増えてもそのやりとりは続き、台本の読み合わせをする機会が増えていった。
実は言咲、清純派を売りにしているだけあって濡れ場のある役を演じたことがなかった。そのため、仕事を受けたとき、どうにも上手くいかずにいたところ、ベッドシーンである相手役の潔さんにカメラの前で本気で鳴かされた。日頃から潔さんに犯されてきた言咲が感じるのは簡単なことであり、だからこそ役を演じる余裕を残っていたため、本当にシていたと周囲に思われることはなく大好評であった。しかし、言咲はというと感じていたのは演技ではなく素であったこと、ああでもしないと演じられなかったことが悔しくて潔さんに八つ当たりをして本気で泣いたことがある。2匹の関係が大きく動いたきっかけである。
憧れの恋人象から鴛鴦夫婦へ
付き合い始めた当初は仕事のこともあり、恋人であることを隠していた時期もあった。主に言咲の方が最近調子良く仕事が増えているのは彼氏の伝手があってのことと思われることを嫌がったからである。演技力が向上したのは潔さんに教えてもらうようになったからなので、その点で何か言われるのは良いが、実力主義者の彼が恋人のために仕事を斡旋するような人と思われることが許せなかった。
それでも今話題の芸能人2匹が仲睦まじくしていればマスコミが放っておくはずもなく、話題として取り上げられることに。一茶さんの恋人・彼女と言われる度に狼狽え、顔を赤らめる姿は2匹の恋人関係を決定的なものとした。初々しい言ノ咲とそれを穏やかに見守る一茶の姿は若い子たちの理想的な恋人象として憧れていた。
恋人として連れそい、潔さんは当然のように結婚を考えてくれており、テレビでは「ゆっくり2人で決めていけたらいいなって、思います」と言っていたのに、言咲には「さっさと結婚するか」と、結婚の話題を振っている。ちなみに言咲はというと結婚して家族になれたら幸せだけれどそういう話題を振って嫌がられないだろうかと足踏みをしていた。そうしたら潔さんの方が先に言うものだから動揺したという。
そして7月7日に籍を入れ、一緒に暮らすようになる。バラエティ番組で夫婦として出演する姿も増え、番組では控えているつもりなのにいつの間にかいちゃついている様子はお茶の間の癒しとなり、理想の鴛鴦夫婦とされている。
砂糖菓子も蕩かす相思相愛
ゲイビ男優の仕事も重度の腐女子であることも暴露した2匹の間に隠し事は一切なく、手を出したいときに手を出し、不満があるときは直球で言う。愛情と尊敬を持って相手に接しているし、愛されていることも理解しているからか喧嘩をすることも少ない。言い争うことがあったとしても、最終的にはじゃれあいで終わることになる。
日頃は言咲の方が潔さんに甘えており、BLネタの話しを長々としては更に掘り下げてもらうこともあり、今までの恋人には絶対見せてなかったであろう腐女子の一面をネジが緩んで壊れた蛇口のように全開にしている。それを引かず、嫌悪感も抱かず、好きなことを話し活き活きとした言咲を優しい顔して見ている潔さん。受け入れてくれると知っていて言咲も隠すことをしないのだろう。
普段は甘やかしてくれる潔さんだが、実はお酒に弱く、酔っぱらうと言咲にべったりとくっつき甘えん坊になる。大魔王様の面影すら見えない、隙だらけのでれでれな姿は外の人たちは見せられないため、酒豪の言咲はお酒を控えめにし、潔さんの介抱に徹している。
どういう方面から話を始めても、最終的にはひっついていちゃつく落ちとなる。身内に愚痴を言っているのかと思いきや、中身はただの惚気だということは常。あまりにも甘すぎる2匹である。
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ユア紅
ユアさん:昼ルガルガン♂
⇒「紅羽くん」
紅羽:ファイアロー♂
⇒「あんた」、「ユア」
CP成立日
2017年5月8日
関連作品
色褪せぬ愛を隠して
天然たらしのフェロモン系モデル×口の悪い我儘暴君
片や、表社会でスポットライトに照らされる人気モデル。かの大御所俳優一茶と交友関係を築いているだけあって、彼もまた素晴らしい功績を納めている。複数人の女の子に囲われて行動している光景は度々見られ、中にはワンナイトラブをする子もいるとかなんとか。それでも彼が好かれるのは甘やかし上手の天然たらしさん。どれだけ気を張った人でもゆるっとした微笑みと優しい声色で絆されるだろう。そう、ユアさんには愛される才能があるのだ!
片や、後ろ暗い組織の研究所に生まれて同胞殺しを繰り広げ、片割れを目の前で殺され、姉を惨殺。そして、脱走してから闇医師に拾われて裏社会で息を潜めて生きている危険人物。自分を拾った闇医師の護衛として雇われた紅羽は必要あらば殺すこともできるし、命を奪うことにも躊躇いはない。そして、その生い立ちから心を閉ざし、他人に対して距離を置いたうえで鉄壁を作っている。相手への侮辱や罵倒するような口の悪さや気に入らない奴は焼き払う暴君の振る舞いは相手を信用しておらず、どうでもいい奴が傷つこうが死のうが気にならない。というか、自分や妹を助けてくれなかった世界なんて死ねばいいのにって思っている。
顔面偏差値が高いという共通点以外は性格も生い立ちも住んでいる世界も正反対の2匹。運命の悪戯でもなければ出会うことすらなかったであろうというのは想像に容易い。出会ったところで噛み合わなかっただろう。そんな2匹が一緒にいれるのは紅羽の我儘を可愛いの一言で片付けられるユアさんの心の広さと紅羽がユアさんの匂いに安心感を覚えたからだろう。あと、何よりこの2匹は身体の相性がとても良いのだ。
酒が結んだ縁
凄惨な生い立ちを歩んできた紅羽は周囲への警戒心が強く、他人に対して距離を置いた上で鉄壁を挟む。それくらい他人と関わることを嫌い、無関心であった。そんな紅羽は自分が酒を飲めば張り詰めている警戒心が弛むタイプである。なので、基本的には外で飲酒することをしない。だが、その日は雨藍と大喧嘩をして「今日は晩御飯作ってあげない!」と。不貞腐れた紅羽は珍しく気に入っているバーでヤケ酒を呷っていた。余談だが、このときの紅羽と雨藍の喧嘩の理由は
一方、今日も女の子に囲まれているユアさん。話に花を咲かせて楽しくお酒を飲んでいるとカウンター席で1人酒を呷る紅羽を見つけた。最初、紅羽のことを女の子だと勘違いして声をかけた。見知らぬ男に声をかけられた紅羽は舌打ちをし、露骨に嫌そうな顔して対応。女に勘違いされて声をかけられて機嫌は最底辺に。その態度にユアさんは気を悪くするのではなくヤケ酒をする紅羽に危ないと忠告してくれたり、店員に出すお酒を薄めるようにこっそり言ったりとまるで神のような気遣いをしてくれる。本当にいい男だなあ。だが、紅羽は水を差されたことを不快に思いユアさんに余計なことをするなと掴みかかったという。微笑みを絶やさず対応してくれたユアさんだが……顔が近づいたときに軽い口付けをしているという。ユアさん曰く、酔ってるのもあるかもしれないがいけると思ったとのこと。まあ、最初は女の子と勘違いした顔立ちだものね……。
ユアさんの忠告を無視して飲み続けた紅羽は最終的に寝落ちをした。ユアさんの取り巻きの女の子が紅羽に声をかけようとしたのだが、なんとユアさんが「この子は俺が介抱するから」などと言って持ち帰ったという。しかもお姫様抱っこで。持ち帰ったからといって何かあったわけではなく、ユアさんは紅羽をベッドに寝かせたら自分はソファで寝る。そして、朝起こすことせず書き置きをして仕事に出ていくという。頭痛薬まで用意してくれるという完璧な気遣い。だが、紅羽は夜になってユアさんが帰ってくるまで熟睡していたという。人の気遣いをとことん無駄にする男だ。しかも紅羽は起きるなりユアさんに警戒して攻撃的な姿勢を向けたという。炎を出して威嚇したところで追い出されたのだが、そこで愛用しているチョーカーを落としていくというベタなことを。落とし主である紅羽の情報を何1つ知らないユアさんは探すため、テレビ番組に出演する際に身に着けて知らせてくれた。それを見た紅羽はチョーカーを身につけられたことを怒り、ユアさんを見つけるなり掴みかかった。これにはさすがのユアさんも少し冷たい雰囲気を醸し出すのだが、それも一瞬のこと。お礼に紅羽が酒を飲むときに横にいてもいい券を要求している。
このような印象最悪な紅羽との出会いだというにも関わらず、ユアさんの中で紅羽の印象はなんかわがままでも可愛いとなっているし、警戒心の塊である紅羽が人様のベッドで熟睡できている時点で最初から相性が良かったのだろう。
溺れたのは酒にではなく
口を開けばあれやだこれやだああしろこれしろ。かの有名な物語の冒頭で語られるかの邪知暴虐の王も驚く暴君の振る舞いをする紅羽。出会ってから散々我儘を言われているユアさんは怒っても良いというのに、彼は我儘なところが可愛らしいと笑顔で受け入れる。当時、弟のアサヒさんが兄離れをして寂しい時期であったらしい。だから赤の他人である紅羽を弟みたいだと言って可愛がっていたらしい。そして、一緒にいるうちにその気持ちは加速し続け、いつしか事あるごとに可愛いと言っては甘やかすようになっていた。警戒心が強い紅羽は最初こそユアさんを頭のおかしいやばいやつだと威嚇し、拒絶してたのだが……ここまででれでれに甘やかそうとされると毒気も抜かれるというもの。ここまで隙だらけならば何かされようものなら燃やせばいいし、気に障ることをされない限りは使い勝手もいいしと放置するようになった。空気の読めるユアさんが好きは分かりにくいが嫌いは露骨すぎる紅羽の地雷を踏むことはなく、関係は良好に続いていった。
ユアさんに甘やかされ続けた紅羽にとってユアさんの家は居心地の良い空間になっていた。いつしか酔っていなくても暇で時間が合えばお邪魔をして、くつろいで昼寝をすることも。紅羽を可愛いと言っては写真を撮ろうとするユアさんに抵抗し、写真を見つけては燃やそうとする紅羽の炎から逃れ、唯一残っているのはこういう昼寝をしているときの紅羽の寝顔の写真である。
そこまでするようになった時点でユアさんはもう手遅れだったのではないだろうか。紅羽の寝顔を見て、触りたい衝動に駆られたり、触れたら寝惚けて擦り寄る紅羽の姿に胸の内をくすぐられていたのだから……。そして、ある日酔った紅羽をいつものように持ち帰り、そしてユアさんも酔ったふりをして紅羽に手を出し、最後まで致した。素面の紅羽ならば抵抗したのかもしれないが、酔った紅羽は警戒心が緩い。触れられるがままに受け入れ、ユアさんの温もりが心地良くて素直に可愛らしく求めたことだろう。……当然、翌朝覚醒したときには記憶が残っておらず、明らかに事後である現状に困惑してユアさんを問い詰めることになるわけだ。そして、ここで発覚する衝撃的な事実。紅羽の身体は性行為を致しているそのときよりも、余韻を残す翌朝の方が敏感であることが判明した。しかも、ただでさえ少ない体力や弱い腕力が更に落ちている。それに気付いけば逃す手はない。動揺の勢いで怒る紅羽に触れ、ユアさんはナチュラルに第二ラウンドへ突入した。酒が抜けた後の行為はしっかりと記憶に残ることになり、しばらくの間はユアさんに近寄らないことにしていただろう。しかし、毎度あの手この手と上手く言いくるめられて一緒にいる流れになっている。抱かれる側は主導権を握られるようで大変不愉快で拒絶一択のだが、ユアさんにはいつも抱かれることになっているのでよほど身体の相性が良いのだろう。次第に2匹が性行為を致す回数が増えていった。
別れと自覚
2匹が出会って数ヶ月。紅羽がユアさんに抱かれるようになってからどれだけか。紅羽の中にはわだかまりのように解けない感情が芽生え始めた。胸の内に留まり、消える気配が微塵にもない謎の感情に不快感を覚え、それに思考が占められることに苛立つようになってきた。主導権を握られ自分の身体を好き勝手されることを非常に嫌がり、ユアさんに抱かれることに抵抗したり反撃していた紅羽が大人しくなってきたのは何も考えずに済む唯一の時間であったからだ。だが、それはその場凌ぎにしかならず。ユアさんに優しくされる度に胸の内がざわつき、他の奴に同じような優しさを与えている姿を見ると腹が立つ。それはユアさんに満たされたり嫉妬や独占欲を抱いていたりするのだとは……恋や愛に無縁な世界に生まれ、嫌悪と憎悪だけを抱いて育ってきた紅羽が自ら気付くなんてできるわけがなかった。そんな紅羽の感情の変化にいち早く気付いたのは雨藍である。彼女は一生クロユリ団への憎悪に縛られて生きていきそうな紅羽に恋心もしくは愛情に近い感情が芽生えたことを喜んだ。しかし、同時にその相手を知ったときは絶望をした。もしも同じ裏社会に生きる者であるならば、曖昧な関係も中途半端な距離も長い時間を経て変化していけばよい。けれど、実際の相手は表社会を生きる、しかも世間に顔を知られている有名人。いつか裏社会の事情に巻き込み、紅羽に対する人質として利用するのに都合の良い存在となるじゃないか。雨藍は2匹の行く末を見守っていたかった。しかし、もしもユアさんが巻き込まれ怪我をするようなことがあれば。怪我だけで済めば良い方で、命を落とすことがあれば。今度こそ紅羽は心を閉ざして復讐心に身を投じることになるだろう。そして、ユアさんほどの有名人が事件に巻き込まれてしまえば世間も騒ぎ、彼を経由して紅羽や雨藍の存在にクロユリ団が気付くかもしれない。ユアさんが紅羽にとってかけがえのない存在として本人が自覚しているのなら一緒に背負ってあげるつもりだが、中途半端な関係のまま自分にも火の粉が飛んでくるのは勘弁願いたい。雨藍だってできる限り、彼氏には自分が研究所で生まれて同胞殺しをさせられていた実験ポケモンだったことは知られたくないのだから。そして雨藍は紅羽に忠告した。「こちらに引きずり込んじゃいけない人だと思うよ。一緒にいるなら覚悟を持たないと」と。
忠告を受けて紅羽は最初、そんなわけがないと否定していた。まさか自分にそんな特別な存在ができるわけがないと信じられなかったのだ。……否、もしかしたら紅葉が自分の身代わりとなって死んでいるのに1人だけ幸せになるなんて許されるはずがないとどこかで思っていたのかもしれない。けれど、指摘されてしまうと意識せざる得ない。ユアさんに対して抱く感情を、ではなく。一緒にいることで自分の生きる裏社会の問題にユアさんが巻き込まれ、命を落とす可能性。そして、もしそうなった場合に自身がどうなるのかということを。どこまでも自分のことしか考えていないようだが、もしかしたら不器用で素直じゃない紅羽なりのユアさんを失いたくないという気持ちだったのかもしれない。そしだ出した答えはユアさんと決別すること。中途半端なやり方ではあいつは離れないだろうと思った紅羽は住む世界が違うことを徹底的に知らしめることにした。紅羽を狙っている殺し屋に自分の情報流し、ユアさんといるときに襲ってくるように誘導。ユアさんの目の前で殺し屋たちを必要以上に痛めつけて惨殺し、あたり一面を血の海にした。わざとユアさんを危険に晒し、紅羽の攻撃も巻き込むように派手にした。全てを片付けて、紅羽は「疲れたから帰る」の一言だけを残してユアさんの前から飛び去った。その直前、ユアさんに怪我がないかの確認をするために近寄り、そして掠れるような口付けをした。これが紅羽からした初めてのキスであった。紅羽は考えたのだ。いろいろな奴に求められる存在が俺みたいなのと一緒にいさせてはいけない、踏み込ませてはいけないと。……紅羽はユアさんを汚したくなかったのだ。
残されたユアさんはその場に座り込み、地面を汚す血に触れた。察しの良いユアさんが紅羽が語らずに告げた住む世界が違うという言葉を汲み取った。しかし、ここまでの間に散々興味を持たせておいて今更さようならと受け入れることはできなかった。ユアさんが紅羽に向けている興味は好きという感情からくるものだと気付いたのは紅羽から初めてキスされたこの瞬間だったという。紅羽としては恐怖をたくさん味わい最悪な別れとすることで自分のことを忘れたい存在とさせたかったのだが、別れ際に見せた紅羽の表情がユアさんの中に根付いてしまったという。もし、キスをしなければユアさんに自覚させるきっかけを作らずに済んだかもしれないというのに……最初で最後に出た欲に身を任せてしまったのは、本当は忘れないでほしいという思いがどこかにあったのだろう。
再会と告白
紅羽の手により縁が途切れ、会う手段を失ったユアさんは気付く。あまりも紅羽のことを知らないということを。あの日初めて紅羽の背に赤い翼が生えることを知ったくらいだ。住処も連絡先も何も分からず、ユアさんから紅羽を見つける手段はほとんどなかった。対する紅羽は取り巻きに囲まれて人の好い笑みを浮かべているけれど実は性格が悪い一面があることも、ゆるくてどこか抜けていそうだけれど意外と料理が上手なこともはたくさん知っている。そして、雑誌を開けばユアさんの顔を見ることができる。一緒にいるときはユアさんの方が紅羽によく見ているようで、意外と紅羽の方がユアさんのことを知っている。しかし、肝心のユアさんの気持ちは知らず。まさか、忘れた方が楽に決まっているのに辛いからこそ覚えていようしているなんて。まさか、もう一度会えると信じて美味しいものを見つけては今度一緒に食べようとレシピをメモして再会の準備をしているなんて思いもしないだろう。ユアさんがそうしている間、紅羽は雨藍が買ってくる雑誌に載るユアさんの写真を撫でては「ぺったんこだな」と。寂寥感に襲われている。
紅羽に会えない間、ユアさんは取り巻きの子に紅羽の面影を重ねながら抱いた。求めている声ではないと思いながら「いなくならないで」と抱きしめて。いつも幸せそうに微笑んでキスしていたのに、するたびに辛い思いをして。そんなユアさんに本気になってしまう取り巻きも少なからずいたという大変やばいエピソードがある。
ユアさんとの遭遇を避けるため、紅羽は街に出るのを必要最低限にした。移動も空を飛んで偶然鉢合わせするということがないように徹底していた。ユアさんは最後に見た紅羽の姿が空を飛び立つ綺麗な姿であり、だから見つかるなら地上ではなく空なのではないかと見上げ、探していた。その間、ユアさんは寂しさだけを抱えているのではなく、いつか会える日を心待ちにしわくわくしていたという。紅羽と再会できることを本気で信じているわけだから純粋だ。そして、紅羽の努力をユアさんの純粋さが上回った。空から落ちてきた赤い羽が落ちてきた。拾った羽の匂いは紅羽のものであり、気付いたユアさんは匂いを辿って駆けだした。人間の二本足ではもどかしく思い、ルガルガンの姿に戻って必死に駆けた。日頃、あまり翼を出して飛ぶことのない紅羽は長期飛行に疲れてビルの屋上に降りて休憩をしていた。ゆっくりと街を見下ろして休んでいると1匹のルガルガンが近寄ってきたのに気付いた紅羽はその子がユアさんだとは気付かず、ただ同じ種族のポケモンだなと思い手招きをした。嬉しそうに擦り寄るユアさんを優しく撫でまわし、ひとしきり愛でたあと帰ろうと立ち上がる。ようやく見つけた紅羽をユアさんが黙って見送るわけもなく、人の姿に戻って飛び去ろうとする紅羽の名を呼んだ。久し振りにユアさんの声で呼ばれることが思っていた以上に心地良くて揺らいだ。けれど、受け入れるわけにいかず「アンタ、誰」と。射貫くように冷たい目で告げられた言葉にユアさんは当然傷つき、それを隠すことできず今にも泣きそうな顔をする。他人を傷つこうがどうでもよいのだが、紅羽にとってユアさんはもう他人ではない存在。伸ばしかけた手を隠し、すぐに背を向けて去ろうとしたのだ。
紅羽が飛び去る前、ユアさんは「俺、好きな人ができたんだけどね」と。突然告げられたそれは、とある雑誌の取材で恋愛に関する質問で「猫みたいな人が好きです。強く噛みついてくる感じの」曖昧だが具体的な回答をしており、その記事を読んだ紅羽は既に知っていることだった。何も言わず、飛び去ることもできず立ち止まっているとユアさんは更に語る。猫のようにツンとして、でも可愛くて構いたくなる好きな人のことについて。そしてその人にさようならを言わせてしまったことについて。ここまで聞いておいて気付かない紅羽は「じゃあ油を売っていないでそいつのところに行けばいい」と返した。鳥ポケモンである自分が猫に例えられているとは思わなかったらしい。そんな態度を見て、必死に告白しているのに酷いなあと言われたときには驚きすぎて言葉を失ったらしい。せっかく突き放したのに。お人好しの彼が気の迷いを起こさないように受け入れがたい惨劇まで見せたのに。それでも自分に触れたいと、会いたかったと……あろうことか、好きだと言ってくるのだ。忠告も警告もしたというのに、もう知らないぞと紅羽はユアさんとの縁を切ることを諦めた。そして、返事の代わりに口付けをした。紅羽からしたのは2度目だという。この後、ユアさんにめちゃくちゃ舌を絡まされて、長期飛行で疲れていた紅羽は体力の限界でばてることとなった。そしてこのままお持ち帰りされたのは言うまでもない。
この告白以降、ユアさんは行動でも発言でも好きをたくさん伝えてくれる。紅羽が素直じゃないのは知っているけれど、たまには紅羽の口から聞きたくて「俺のことどう思っている?」とか「俺のこと好き?」とかいろいろ聞いてくる姿は大変可愛らしい。そして紅羽は告白の返事にも「嫌いではない」と返し、それ以降も言葉で示すことをしないという。素直じゃないにも限度があると思う。「なんとも思っていないやつにわざわざこんなことしない」が最大限の発言だ。
糖分100%と巣作り
2匹が付き合い始めてからというもの、ユアさんは紅羽をひたすら甘やかした。弟みたいという理由から甘やかされがちであったが、恋人という関係になってからはパワーアップした。紅羽の我儘は嬉しそうな顔して叶えてくれるし、どんな顔しても可愛いと言うし、紅羽からのユアさんへ触れようものならそれはもう幸せそうな顔をするしという溺愛具合。紅羽はというとそんなユアさんに対して距離が近いやら構いすぎやらと冷たいことを言っているが、それらが照れ隠しからきている発言なのは紅羽の表情と行動を見ていれば分かること。好いた相手でなければそういうことを言う前に殺しているか、それ以前に隣どころか傍にすら寄られるのを拒絶するはずだ。
一見、ユアさんの方が大きな矢印を向けて紅羽を溺愛しているように見える関係だが、実際は紅羽がユアさんに甘えきっているところがある。つれない態度も塩対応もこのくらいで自分から離れないと信頼しているのだ。ユアさんが紅羽を甘やかし続けた成果である。そのせいでユアさんが傍にいないと落ち着かない(
寂しい
)。お互いの仕事が忙しくて会える時間がないときやユアさんの家で1匹留守番しているとき、ユアさんの衣類をベッドに持ち込んでくるまって帰りを待つようになった。いわゆる巣作りと言われる行為。こういうときの紅羽は比較的素直に甘えるようになるらしい。
紅羽が我儘を言い、ユアさんが甘やかす。出会った頃から変わりのない関係に見える。しかし、他人への警戒心が強い紅羽がユアさんに髪や翼の手入れをすることを許したり、来る者拒まず去る者追わずのユアさんが紅羽に執着心や独占欲を抱くようになったりと恋人らしく変化している。2匹でいるところに絡むと火傷をするから注意だぞ。
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