宇髄合同遊郭潜入!? 8


京極屋の店が開くなりドタバタと慌ただしい客が訪ねてきた。その男は入り口で「女将を出せ!」と騒ぎ立てるものだから、店の男手達に羽交締めにされ、引っ張り出されようとしていた

これ以上騒ぎ立てられては店の品位に関わるとじぶしぶ男の前に女将が現れると、それは夏椿を化け物扱いしたあの太客。

「女将!!夏椿はどこに行った!!!うちにアイツに
 つぎ込んだ金の殆どが投げ込まれたんだよ!!」

「……はぁ?良かったじゃあありませんか。」
「よかねぇよ!!女房にこれは何だと鬼の形相で
 迫られて大変なことになったんだ!!」

女将は太客の"鬼"の言葉にフッと笑う。
笑い事じゃねぇと言う男に女将はなおも笑った。

「旦那さま。

 狐に化かされたのではありませんか?」
 


ーーーーーー


「すごい!!実弥さま元通り!!
 やっぱりこの方が実弥様って感じですね」
「言ってる意味が分かんねェよ」

そういう柚充もほぼ3日ぶりに隊服に袖を通していた。しかし、柚充にはまだ足りないものがある。

「ほらよ、柚充!!
 速攻でヘドロ落として綺麗さっぱりピカピカだ
 これでこのまま不死川との任務に出れるぞ」
柚充の羽織を持って現れたのは、潜入任務を付き合わせた宇髄天元。
羽織を受け取ると宇髄は何らや笑いを堪えている。嫌な予感がして羽織を広げてみるとあちこちに螺鈿細工(らでんざいく)が散りばめられていた。

「良いだろう?派手派手だ!」
「良いわけあるかいっ!!」
柚充は思いっきり受け取った羽織を床に叩きつけた。
「てんげんさまぁ??私の大切な羽織に
 なぁんて事をしてくれやがりましたぁ??」
鞘に収めたままとはいえ、柚充は宇髄に日輪刀を突きつけ、笑みのない顔で宇髄の顔を凝視した。
「不死川は助けてくんねぇのかよ」
「それは流石にお前が悪いだろ」
「ほんと、洒落の気かねぇ奴らだなぁ
 こっちが本物だ。」

再び差し出された羽織を奪い取ると、まるで鏑丸のように「しゃーー」と威嚇してから確認のため柚充は羽織を大きく広げた。流石に実弥も不安に思ったのか柚充の掴む羽織を覗き込む。

今度こそ、綺麗さっぱり洗われた柚充の羽織がそこにはあった。

「最初から、こっちを出してくれれば良いんですよ!!

 全く!

 でも、、

 天元様。ありがとうございます」


柚充は淡い黄緑色の羽織をはおって宇髄に笑いかけた。
「さぁ!実弥様。今度こそ次の任務に行きますよ」
「お前が話をややこしくしたんだろが」

柚充は実弥の言葉などお構いなしに先に歩き出す。宇髄と実弥は顔を合わせ苦笑した後、僅かな挨拶をして背を向けた。


「で、実弥様?どっちに向かうんでしたっけ?」
「……お前はアホか」
そうして、実弥と柚充は遠方の任務へと旅立っていった。


ーーーーーー

「女将さん!!」
「騒がしいねぇ!今度は何だい!!」
再び京極屋に騒がしい足音が鳴り響いていた。


「女将さん!!菊華がどこを探しても居りませんのです」
柚充が去ったのち、菊華花魁が姿を消した。
知らせを聞いた女将の顔は青ざめ口からは「…また」と一言だけこぼれ落ちた。
部屋に残されていたという菊華花魁の手紙。そこには、思い人と一緒になりたい。女将さんには申し訳ないけれど足抜けするという言葉がしたためられていた。
そして、夏椿へ一緒に琴の稽古をして楽しかった。貴女は身請けされる日まで頑張ってと。

「なぁ、、
 菊華は夏椿が2日だけの働きと知らなかったかい?」
「嫌ですわぁ、あの子が転がり込んできた日、女将さんと
 一緒に夏椿の支度をしていたじゃないですか。

 知らんはずが無いでしょう?」

女将、お美津の手は菊華が遺したと"見せかけられた"手紙を握りしめていた。


夏椿が京極屋に再び現れるのは少し先のお話。
 



***********
あとがき

番外編は結局8ページになりました。
お付き合いいただきありがとうございます。
まず先に言いたいのは、「狐の嫁入りの話は昔話であり、私の創作ではありません!!」声を大にして言います。昔話です!諸説あるようで作者など詳しい事は見つかりませんでした。興味を持たれた方は、探してみてくださいませ。
いくつかのサイト様に掲載されておりましたので、あえて一つを絞って紹介するという形にはいたしませんでした。

宇髄合同任務ではありましたが、不死川さんの継子ですので、不死川さんも登場させて、本編で夢主ちゃんが何故すんなり京極屋で働く事が出来たのか。そしてお美津さんが店の中でおかしな事が起きていると確信するという流れにさせていただきました。
本当はお美津さんが夢主の荷物に隊服を見つけるなんて案もありましたが、それは宇髄さんが持ち歩いたりさせないんじゃないかと没に。
鬼が人でなくヘドロまみれの妖怪化しているのは、御免なさい。完全に戦闘シーンを入れなきゃと思ったものの思い浮かずで、「鬼滅の鬼はこんなんじゃ無いよなぁ」と思いながらも進めました。
公式ではありませんのでご容赦いただけると助かります。
因みに夢主と宇髄が戦ってるのは不死川さん見てますね。もしもの時は出るつもりで。場数を踏ませる師匠心です。

とまぁ、あれこれと語らせていただきましたが、もしもこの辺の説明欲しいなどありましたら、お手紙箱に入れていただけましたら、喜んでお返事いたします。

では、お付き合い頂きありがとうございました!!(22.1.7)
 




ページ: