とても短い話
1000文字に満たない話、ネタなどを置いています。
名前変換はありません。

巻き込まれた高虎
「ぐすん」
「……」
何故こうなったか知らないが、自分は今、見知らぬ子供に襟の端を掴まれていた。しかも子供は泣き腫らしている。
「うぅっ、は、はう、え……」
どうやら迷子らしい。母と町へ来たはいいが、おおかたこの混みように思わず手を離したかしてはぐれたのだろう。かと言って、何故見ず知らずの男の衣を掴むことになるんだ。
「おい」
「ひっ!」
声をかけただけというのに、子供は小さな肩を大袈裟に震わせた。大きな目が白黒し、瞬くことによって大粒の涙がこぼれ落ちる。大人が怖いのなら尚のこと何故自分を巻き込んだ。
「怖がらせるつもりはない」
息をつき、とりあえず目線を合わせてみる。以前、おねね様が目線が高いと子供は怯えると言っていたのを思い出したからだ。子供もとい娘は、齢を六ないし八つくらいに見えた。
「馴染みの団子屋に連れて行ってやる。そこでお前の母の情報を伝えろ。助けてくれるだろう」
立ち上がって歩き出そうとしたところ、再び襟の端を掴まれて今度はくいくいと軽く引っ張られた。
「言いたいことがあるなら言葉にしろ」
窘めれば、娘は静かに手を離し、一言。
「…………お腹空いた」
知るか、と片付けてしまいたかったが、周囲の目線がちらほら自分に投げられていたので、やむなしと母親探しを引き受けることにした。
Merry me?*荀ケ
こちらを受け取ってほしい、と言われて渡されたのはいつも彼が腰から提げていた佩玉だった。四角いそれは二つに分けられていて、手の上で翡翠の色が輝きを増す。
「どうしたんです?急に贈り物なんて」
心当たりがないので素直に訊ねると、彼は恥ずかしそうにはにかんで頬を染めた。
「待たせてしまって申し訳ありません。―――ですが、私も覚悟を決めました」
「覚悟?」
やけに真剣みを帯びる声だったので肩に力が入る。
「はい。あなたと一生を添い遂げる覚悟です」
息を呑む。驚きに目を見開いて硬直する自分に、彼は柔らかく微笑んだ。
「私の妻になっていただけませんか?」
笑みの中に不安を見つけた私は、手のひらの玉佩をぎゅっと握りしめ、男性にしてはやや細身な彼の腰に両手を回して抱き着く。
「喜んで!」
一拍遅れて自分の体が抱きしめられる。安堵にあきらか脱力した肩を見て、何があってもこの人の傍を離れたくないと強く思った。
「140文字で書くお題ったー」様より引用
浮気したら?*馬岱
「浮気したらどうするか?そりゃ別れる一択でしょ」
「即答だね」
「えー、当たり前だよー。浮気、駄目、絶対がポリシーだもん」
(浮気できないってわかってるからこそ、私にはどうしようもできないじゃん)
(とか思ってるんだろうね。そんなことあるはずがないのに、可愛いなぁ)
司馬懿でドレミの歌
「仲達のちゅーはちゅーのちゅー」
「なんだその歌は」
「私の時代にある歌だよ。名前の頭文字を何かに喩えるの」
「また面妖なことを始めたか……。手持ち無沙汰であれば他所へ行け。蔡文姫殿であれば相手してくれるだろう」
「仲達のたつは達人のたつー」
「聞け」
「……ということは仲達はちゅーの達人ってこと?きゃー」
「ええい、叫ぶな!そもそも何だ、そのちゅーとやらは」
「えー?それ聞くの?仲達って結構積極的なんだね。知ってたけど」
「そうか。それほど暇と言うならそこに直れ。直々に練武の手解きを授けてやろう」
「冗談だって!ごめんなさい!」
「ふん。わかればよいのだ」
「話を戻すとね。ちゅーって言うのは口付けのことだよ」
「……何年経っても気性が抜けんようだなお前は」
「顔真っ赤だ」
「黙れ。それに聞かずとも達人であるかどうかはお前が一番知っているだろう」
「司馬懿も考えてみたんだ。しは諸葛亮を想う。ばは場所を問わず。いはいつまでもずっと。言い得て妙じゃない?褒めてもいいよ」
「それだとまるで私が通年あやつに懸想しておるようではないか!」
「あら、怒っちゃった……」
嫁の初めて見る一面に固まる荀攸
「さて。間者を捕まえたはいいが、どう吐き出させるかねえ。そっちは門外漢なんだが」
「こちらとしても手荒い真似はできればしたくありません。言うつもりはありませんか」
「誰が貴様らなんぞにっ……!」
「ははあ、こりゃ駄目だな。鎮まるで繋げておくしかないかな?」
「それでは時間がかかってしまいます。一刻でも早く敵の情報を入手したい今、彼には早急に吐き出してもらわねばなりません」
「それはそうだがねえ。荀攸殿は拷問の経験がおありで?」
「……」
「なし、か。ちなみに俺もない。加減を間違えて情報源を潰すことだけは避けないとな」
「仕方ありません。この手は避けたかったのですが、ここは自分が―――」
「公達様、賈詡様」
「こりゃ意外なおでましだ。何故あんたがここに?」
「軍師様から二人の様子を窺ってきてほしいと任せられましたので。……ええと、なんと報告しましょう……?」
「すみません、情報は少し待ってください」
「荀攸殿が珍しくやる気になったところだと伝えてくれ」
「やる気……?」
「賈詡殿」
「おっと。あんたに血なまぐさいことは関わらせるなときつく言われてたこと忘れてたよ。そういうことで、あんたはさっさと戻りな」
「公達様、顔が硬いようですが大丈夫ですか?」
「問題ありません。郭嘉殿には今しばらく待つようお伝えください」
「…………わかりました」
「では―――」
「わたくしにお任せください」
「…………は?」
「賈詡様、公達様をお連れして退席をお願いしてもよろしいでしょうか。なにぶん人様にお見せできるものでもありませんので……」
「あんた、そっちの経験があるのか?」
「大丈夫です。父様が町医者をしていたので人体の手解きは受けています。死なせずに苦しめる手法は心得ていますので、どうぞお任せを」
「あっははあ!こりゃ面白い!正直荀攸殿を連れて行くよりあんたの手捌きを拝見したいところだが、ここは大人しくあんたに従うとするか。固まってる荀攸殿は任せてくれ、俺が無事送り届けるとしよう」
「ありがとうございます。一刻と経たずに戻りますのでそれまでお待ちください」
「―――戻りました」
「おかえり。情報は手に入れられたのかい?」
「はい。……あの、後始末はわたくしにさせていただけないでしょうか」
「駄目です」
「お、やっと荀攸殿が動いた」
「そのような青白い顔で無理をしないでください」
「公達様……」
「やはり俺がやるべきでした。すみません、自分が不甲斐ないばかりにあなたに心労を―――」
「いえ……!わたくしは全然大丈夫です。……ただ、失敗してしまって……」
「失敗?」
「最中に新しく考案した止血方法を試したのですが……、却って血の量を増やしてしまい……。その、…………うっかり殺めてしまいました」
「止血方法?なんでまたそんなことを」
「………………誰も引き受けてくださらないので」
「……常々何処か満寵殿の影を感じさせるとは思っていたが、いやはや荀攸殿も心強い妻を貰ったもんだな」
「荀攸殿、固まってしまってるね」
可愛すぎてしんどい*姜維
何気なしに視線を遣ると、遠くに彼女を見つけた。しゃがみ込み、懐には何かが抱えられている。片方の手が地面と懐とを行き来する。目を凝らしてそれが花であることに気づいた。地に咲く花々を摘んでいるらしい。彼女のやりそうなことだと胸が綻び、図らずも口元が緩んだ。熱心に花摘みをしていた彼女だったが、ふいに顔が上がる。立ち上がってみせたので何処かへ行くのだろうと動向を眺めていたら、くるりと回った彼女の双眸が自分を捉えた。予想していなかったことに驚くも、それは彼女も同様だったらしく、一瞬目を丸くした。しかし目を細め、満面の笑みをゆっくり浮かべる。遠くから「伯約ー!伯約ー!」と自分の名前を呼びながら駆けてくる。それは何処かあどけない稚児を想起させた。
「顔に出てるぜ、姜維」
「……失礼」
他の人を褒めたら?
嫌いな人だったりそうじゃなかったり。他人を褒めた時、彼らはどんな反応をするんでしょうか。
※「→◯◯」に褒める相手が入ります。
・李典
・荀攸
・趙雲
・法正
・凌統
・朱然
・鍾会
・司馬師
・司馬昭
・呂布
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