遊郭7


額の汗を拭うと雛鶴が申し訳なさそうな顔をした。置いていかれたことを悔しく思う柚充の気持ちを察しているのだろう。
「雛鶴さんのせいじゃないですよ。全部無惨のせいです。
 鬼がいるのも、戦わなきゃいけないのも、
 置いていかれた事も全部」
ふと壁に磔にされた帯に目がいく。
「足手纏いなんですよね…。私じゃこれはできないもの」
「天元様は柚充ちゃんを私たちと同じ位大事に
 思ってるもの。天元様がああ言うのも無理ないわ」
「でもそんなの間違ってる。望んでない。
 守られたいんじゃない!守りたいの!
 力量知らない馬鹿でもないけど、
 出来ることを私はしたい」

雛鶴は柚充の頭を優しく撫でた。

ーーもう何も出来ずに失う事だけは嫌だ!!

「雛鶴さん、ごめんね。私、一緒に吉原出られない。
 やっぱり天元様のところにいく。
 私は鬼殺隊士だから雛鶴さんと一緒ではないから。
 逃げたくないの。

 天元様にはあとでしっかり怒られるよ。
 ってか、私天元様の継子じゃないし。
 そもそも聞き分けいいなんてそんなの私じゃない!」

上弦の鬼にどれだけ効果を発してくれるかは分からないが、藤の匂い袋を雛鶴に渡し、更にひかたに雛鶴についているよう頼んだ。何かあれば必ず知らせる様にと。ちょっと不満げではあったが了解してくれた。

そして柚充は戦場へ。




ーーーーーー

《兄ちゃん助けて!
 姉ちゃんが姉ちゃんじゃなくなる》

炭治郎は兄弟 竹雄に呼ばれ、炭治郎は目を覚まそうとしていた。

ーーこの匂いはっ!!鬼舞辻!?!

重い体を気力で刀を振る。刀を振り切った時点でその目は驚きの色で染まっていく。

刃の先は当たらなかった。
…………その切先にいたのは、、柚充。

柚充も目を丸くしてギリギリで避けていた。

「た、炭治郎??目が赤いよ大丈夫?見えてる?」
自分がした事の意味を理解できずに「匂いが、、」と炭治郎はつぶやいた。
その顔が罪悪感の色に染まっていく。

柚充はその一言で納得する。
「炭治郎の鼻は本当にすごいね!
 私、鬼舞辻に会っちゃってさ。そのせいだよ!
 それより!あそこで戦ってるの禰󠄀豆子ちゃんだよね…」
柚充の声が張り詰める。炭治郎は視線の先を見ると竹雄の声がよみがえる。

ーー鬼化が進んでいる、、。

炭治郎は弾かれた様に禰󠄀豆子の元へ走り出す。柚充が禰󠄀豆子と炭治郎のためにできる事。
蕨姫花魁が、鬼が2人に手を出さない様にする事。そう結論を出し鬼へ狙いを定める。
走り出した3歩目ほどに突然、派手な筈なのに今まで認識出来ていなかった姿が視界に映る。
「命令違反して、ただじゃ済まさねーからな!」
「もう見つかりましたか。でも、了解してませんから!!
 これが私ですからっ!」
「そこまで言うならなんとかしてみやがれ!!」


ーーーーーー



禰󠄀豆子に日輪刀を咬ませ、羽交い締めにする炭治郎の前にシャラリと音を立てて宇髄が降り立った。鬼、堕姫に思いっきり背を向け眼中にすらない。
「柱ね。そっちから来たの、手間が省けた」
「うるせぇな。お前と話してねーよ。
 お前弱すぎなんだよ。俺じゃなくても十分斬れる」
宇髄の言葉と共に上から柚充が堕姫の前に降り立つ。
「陸ノ型 黒風烟嵐」
「え?」

堕姫の頸がその腕の中にコロンと落ちていった。
 




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