遊郭9
妓夫太郎は宇髄に向かって言った。
お前は生まれた時から特別で選ばれた才能だと。しかしそれに宇髄は明らかにイラッとしていた。
「俺の手の平から今まで
どれだけの命がこぼれたとおもってんだ」
『だったらどう説明する?
お前が死んでない理由は何だ?
俺の"血鎌"は猛毒があるのに』
柚充はハッとして宇髄を見上げた。
額から流れる血と汗が妓夫太郎の言葉が真実である事を物語っていた。しかし、宇髄は柚充の視線にニィと笑ってみせた。虚勢なのは分かったが柚充も笑って返す。
「いけるな。」
「はいっ!!」
宇髄が刀を振り回し始める。鎖で繋がった二振りの刀はその手によって命を灯し堕姫が放つ帯を斬り伏せ向かっていく。その姿は荒々しくも美しい。妓夫太郎の鎌を受けつつ堕姫を蹴りあげた。
『俺の妹を蹴んじゃねぇよなあ』
『この糞野郎!!』
その瞬間宇髄の手から火薬玉が放たれた。
堕姫向かった火薬玉は帯にすれ爆ぜ、妓夫太郎へ向かった火薬玉は鎌から逸れた、、しかしそれはすぐ後ろで爆ぜる
ーー避けたはず?!
煙の中から現れるのは宇髄の日輪刀。
妓夫太郎の首を目掛けて飛んでいく。しかしその刀は妓夫太郎の鎌によって弾き返された。
『お兄ちゃん!!後ろっ!』
妓夫太郎が視線をやるとそこには柚充の刀。
頸に向かって切先が横に走る
『チッ』
その瞬間妓夫太郎の体は人間ではありえない角度で曲がり柚充の刀を避け致命傷を免れた。
つーと流れ落ちる血と小さな柚充の姿を見て瞬時に察する。
柱による連撃とその動きに気を取られチビ隊士を見逃してしまっていた。すぐ後ろで火薬玉が爆ぜたのもチビによるもの。堕姫が気づかなければもう少し深く切り込まれていたかもしれない。
「柚充足、短えー。後一歩足りねーじゃん」
「あ、、足が短いのは仕方ないじゃないですか!
3尺8寸3分(約145cm)ですよ!
天元様より短いに決まってるじゃないですか!
それを埋められなかった私が悪いですけどっ!」
『また頸きられたぁ!!糞野郎!
なんでアタシばっかり!!
そこの女が斬られれば良いでしょ!!何で!!
何でなのよ!!』
緊張感の無い宇髄と柚充の会話は堕姫の喚き声にかき消される。
「そんなん許す訳ねーじゃん。
コイツは鬼殺隊のお気に入りだからよ」
「天元様。軽口叩かず少しは緊張感持ってください」
『お前ら気付いてるなぁ。
気付いたところで意味はねぇけどなぁ
その柱は段々と死んでいくだろうし、
そのチビは柱ほどは強くねぇしなぁ』
こうして時間をかけていれば俺たちが勝つと妓夫太郎は口にする。
柚充の口元に笑みが浮かぶ。
ーー来た。
「それはどうかな!!俺を忘れちゃいけねぇぜ!
この伊之助様とその手下がいるんだぜ!」
シャキーン!と効果音でも付きそうな体勢で現れた伊之助と善逸。現状にはあまりに不相応で、その場の空気が凍りつく。
・・・・・・・・。
『何だコイツら、、』
ーーごもっともです。
その変な空気を壊すが如く炭治郎もまた戦場に舞い戻る。天井の穴から宇髄と柚充の前に降り立った。
「炭治郎!」
「ありがとう柚充」
それは宇髄の常ならぬ様子を見て、その補佐として支え続けていた事に対する礼。
柚充は炭治郎に微笑み返す。
「俺たち鬼殺隊は勝つぜ!!」
宇髄の言葉に各々が頷く。
ここからが本当の戦いの始まりーー
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