対上弦


『下っぱが何人来たところで
 幸せな未来なんてまってねぇからなぁ』
『頼みの柱が毒にやられてちゃ
 アンタらに勝ち目なんてないのよ!!』
毒と聞いて炭治郎は不安を覚え宇髄を見上げた。しかし、等の宇髄は生き生きと喋り出す。
「余裕で勝つわボケ雑魚がぁ!!
 毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ。
 人間様を舐めんじゃねぇ!!
 こいつら全員優秀な俺の"継子"だ!
 逃げねぇ根性がある。
 手足が千切れても喰らい付くぜ!!」
「私は天元様の継子じゃないけどね」

・・・・・・・。

柚充の首を宇髄の腕が締め上げる
「オイコラ!せっかく士気をあげようってんのに、
 話の腰を折るんじゃねーよ!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!
 ごめんなさい!許して下さいー。」
宇髄は力を入れていないものの首を締め上げる体制のまま話続ける。

「良いかお前ら!この鬼は二人同時に頸を斬る!!
 戦い方さえ分かればチョロいだろ!!」
伊之助のテンションがみるみる上がっていく
「簡単な事だぜ!俺たちが勝ったも同然だな!!」
『その"簡単なこと"ができねぇで
 鬼狩りたちは十五、七と死んで』
「煩い。それを私らが断ち斬るって言ってんの」
一声で空気が変わった。宇髄の腕から柚充が抜け出て妓夫太郎に向かって刀を構える。
『どいつもこいつも死になさいよ!!』
ギュルと帯の擦れる音と共に堕姫の帯が伸びる。それは宇髄の隣、明らかに柚充を狙って飛んできた。しかし帯が柚充に届く事は無い。柚充の前を掠めていくのは雷。善逸が堕姫に向かっていったのだった。
「おい胡麻子!
 先に頸落とした方が勝ちだ!分かったな!!」
「え?私一回首切ったよー?ねぇ炭治郎?」
「あ、ああ……」
「知らねーよ!
 くっついてんだから今からが勝負なんだつーの!
 わかったな!!」

気をつけろ!という炭治郎の言葉に意気揚々と返事をして伊之助は善逸を追っていった。

「負けらんねぇな柚充」
「勿論ですとも」

妓夫太郎がうごいた。その切先は炭治郎の喉元へ向かう。
「爪々・科戸風!」
反応できなかった炭治郎は宇髄によって上に放り投げられる。その代わりに鎌を迎え撃つ風の爪。
引き継ぐように宇髄が妓夫太郎の攻撃を迎え撃つ。二撃、三撃と続く中、炭治郎と柚充は上からの気配を察知した。

「っっ!!!

 晴嵐風樹!!」

咄嗟に動けたのは柚充。上から無数の帯が天井を突き破ってきた。それを防ぐべく肆ノ型を使ったのだが、予想より繰り出された帯の数は多く、全てを防ぎ斬る事が出来なかった。

「天元様っ!」
「大事無い!!遠慮すんな!!」

帯が更に伸び暴れ回る。妓夫太郎は帯に紛れるように血鎌をとばし、その攻撃は対峙している宇髄、炭治郎、柚充だけでなく、善逸、伊之助の元にまで飛んでいく。
柚充は宇髄へ向かう帯を刻み続けていた。
そして、見逃してしまった、、

宇髄の背に血鎌が迫る。

ーーやばい。天元様に鎌がっ!!
  届かないっ、、

ーー逃げ道がねえ

思わず手を伸ばした。
届くはずなんてないのに……。


幻かと思った。


宇髄の背と血鎌の間に炭治郎が体を滑り込ませ刀で受けた。押されているようで、ギャリリギャリリと聞いた事のない音が響く。炭治郎の表情も険しい。だが彼も諦めているわけではない。炭治郎の呼吸に合わせて刀が水を纏う。血鎌が流されるように宇髄の背から遠くへと飛んでいく。炭治郎は宇髄の背を守り切ったのだ。

ホッと柚充は息を吐く。


その一瞬の隙間が命とりとなる。そんな事を失念して……。


死角から飛んできた血鎌が柚充の左肩に傷をつけていった
 




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