対上弦3
「炭治郎!!鎌の男よりまだこっちの方が弱い!
それに柚充が帯を切り焼いた!
だからまずこっちの頸を斬ろう!動けるか!」
善逸が叫んだ
「動ける!!
ただ宇髄さんも、その柚充も
敵の毒にやられているから危険な状態のはずだ!
一刻も早く決着をつけなければ…」
ーー柚充。少しだけ耐えてくれ
ーーーーーー
柚充は髪紐を解くと、宇髄の切り落とされてしまった腕に巻き付け縛る。
「……遅せぇや」
「出来るだけ頑張りますから、頼みましたよ。音柱。」
「……ぉぅ、、」
『お前が頑張った所で柱はもう死んだじゃねぇか
頑張るのが遅かったよなあ。
お前だって毒ですぐ後を追う事になるしなあ』
「弱い者程よく喋るらしいですよ。
妹さん見てると頷けますよね?」
倒れる宇髄を背に妓夫太郎と向き合う柚充。
不思議と恐怖は無かった。
「爪々・科戸風!」
妓夫太郎の鎌と対峙する風の爪。妓夫太郎に傷を与えるまではできていなかったが、鎌と共に飛んでくる血鎌も弍ノ型で薙ぎ払いつづける。
ーーせめて炭治郎達が堕姫の頸落とすまで耐えれば!!
堕姫の元には行かせない。
腰のポーチに手を伸ばす。そこには継子云々(うんぬん)の話の時に、宇髄から受け取っていた火薬玉。宇髄の様に狙って切れないので、下手な鉄砲数打ちゃ当たる方式である。
「晴嵐風樹!」
妓夫太郎の目の前で火薬玉が爆ぜた。
『チッ』
ーー妓夫太郎の不意はつけたはず。
体が小さい分、機動力には優れている。
爆発に身を隠し死角からの攻撃を狙う。
「爪々・科斗風!」
しかしやはり上弦の鬼ではそう簡単にな話ではない。風の爪を纏った刀は鎌に受け止められてしまった。すぐに飛び退きたいのに足場が確保できず間が開く。
柚充は鞭のように飛んできた妓夫太郎の足に蹴り飛ばされた。
体を捻って衝撃を逃し着地し、顔を上げる。
「やった伊之助!!」
「頸、頸、頸!!
くっつけらんねぇように持って遠くへ走るぞ!!」
炭治郎たちの歓喜の声が聞こえてきた。
妓夫太郎を睨む柚充の口の端がニィと上がり、足先に力を込めバネのように妓夫太郎に斬りかかる。
一瞬。
たった一瞬のはずなのに、その刃は妓夫太郎には届かなかった。
目の前に居たはずの妓夫太郎は堕姫の頸を持つ伊之助の後ろに居た。
鎌が振り下ろされる
その動きはゆっくりとして見えた。
弧を描き伊之助の背中へ。そして心臓の位置から鎌の刃先が現れた。
ーーそんな、、
伊之助の胸から鎌の刃が消えると共に血液が飛び散る。
「「伊之助ぇぇッーーーー!!」」
炭治郎と柚充の声が重なる。
二人の目にゆらりと伊之助の体が傾いていくのが見えた。
「嘘だ、、、私が足止め出来なかったから…」
「炭治郎危ない!!」
良くないことは重なっていく。
いつだって坂道を転がり落ちるのはあっという間なのだ。
堕姫の帯が善逸と炭治郎がいる廓を破壊していく。2人の足場は割れバラバラと崩れ、善逸と炭治郎もまた瓦礫と同じく地面に引っ張られていった。
柚充の足は2人に向かって動き出す。しかし辿り着くことは叶わなかった。
柚充の首をぬるりとつたうものがあった…。
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