終結
妓夫太郎が最期に放った円斬旋回・飛び血鎌はあたり一帯を瓦礫の山へと変えていった。
咄嗟に動いた柚充の晴嵐風樹は、宇髄を血鎌から守る盾となり、炭治郎を禰󠄀豆子が助け出す時間を作り出した。
そして体力の限界を迎えた小さな体は宇髄の目の前でゆっくりと崩れ落ちていった。
ーー不死川よぉ。お前の継子、
派手に格好いいじゃねぇか、、、
目の前で倒れている柚充に駆け寄ってやりたいが、宇髄の体は動かない。もう己の死さえ目前に見えるような気がしていた。
「いやあああ死なないでえ
死なないでくださぁぁい!天元様あーー
せっかく生き残ったのに!!せっかく勝ったのに!!
やだぁ!やだぁ!」
須磨が泣き叫ぶ中、まきをが柚充を抱き上げて須磨の隣に座り込んだ。自然と柚充はまきをの膝の上に寝る形となっていた。
「鬼の毒なんてどうしたらいいんですか
解毒薬が効かないよオ!!
柚充の呼吸も弱い、どうしたら、、」
まきをの涙声を聞き宇髄は覚悟を決めた。
「最期に言い残すことがある、、
俺は今までの人生…」
宇髄が、最期の言葉を残そうとすると、須磨は宇髄の言葉をかき消すが如く喋り始め、更にまきをと言い争いとなっていく。まきをの膝の上に寝かされていた柚充は激しくなる言葉の応酬のなか、膝からゴロゴロと転がり落ち天元の足にゴフッとぶつかった。止めに入った雛鶴も加わりしっちゃかめっちゃかになっていく。
ーー嘘だろ?何も言い残せずに死ぬのか俺?
柚充の扱いもひどくね。
さっき変な音したぜ?
呼吸が弱いって言ってたじゃねーか。
こいつらマジかよ。
宇髄が嫁衆の言い争いに絶望する中、雛鶴の隣にヒョコッと現れる影。宇髄の足元に転がる柚充を見た後、宇髄の顔をまん丸お目目で見つめる。
ーー竈門妹?!
禰󠄀豆子は宇髄の腕に結ばれ、包帯からチラリと見える柚充の髪紐の上に手を置く。すると、宇髄と柚充の体は禰󠄀豆子の着物と同じ桃色を帯びた炎に包まれる。
メラメラメラと。
嫁衆は言い争っていたことなど忘れて絶句した。
「ギャアアアッ!!何するんですか
誰ですか あなた!!」
須磨は禰󠄀豆子を宇髄から引き剥がすと禰󠄀豆子に向かって捲し立てる。
「まだ死んでないのに焼くなんて!
お尻叩きます!お姉さんは怒りました!!」
「ちょっと待て…
こりゃ一体どういう事だ?
……毒が消えた、、、柚充は…?」
尚も足元に転がっている柚充。しかし動く気配はない。まきをが柚充を抱き上げ、顔を寄せて呼吸を確認する。
「大丈夫。生きてる!さっきよりはしっかりしてるよ!」
まきをは宇髄の隣に柚充をおろした。
「派手にボロボロだが、良く頑張ったな」
宇髄は柚充を見てホッと笑みをこぼした。
ーーーーーー
血を運ぶ猫、茶々丸は柚充を見ていた。
肩に滲む血を。
少し考えるような仕草をして
にゃあと鳴く。
炭治郎から鬼の血は受け取った。
だから後は戻るだけ
報告は珠世様に……
ーーーーーー
「ふぅん、ふぅん、陸ね。一番下の上弦の。
陸とはいえ、上弦を倒したわけだ。
実にめでたいことだな。陸だがな。」
ーー伊黒様の声がする…。
鏑丸も居るかなぁ
「褒めてやってもいい」
「い、ぐ…、さまー」
意識が戻った柚充が掠れる声で名前を呼ぶと、伊黒の視線がこちらをむいた。動けないながら、笑顔で手を伸ばすと鏑丸が柚充のところへ降りてくると、嫁衆にシャーッ威嚇し、傷を避けつつ柚充の肩に落ち着く。無惨に首を絞められた跡が残っており、鏑丸はピロピロとその跡を舐め、柚充はくすぐったいと笑った。宇髄と嫁衆はその姿にゾッとしていた。
宇髄と伊黒の話は続いていたが、柚充は鏑丸と戯れて全く聞いていなかった。
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