鬼の血
ーーここはどこ、、
遠くで声がする……
「…いた、、、こ、、だ!!、、柱を、、べ」
「……鬼。、、、風、、止め、、」
ーーああ、両腕折れてたのに、、直ってしまった、、
人間ではなくなっていくことを柚充は察した。
体が熱くてたまらない。地面に転がり
身体に起きる変化に涙が溢れる
爪は鋭く、そして牙が伸びてきたのだろう口の中にも違和感を感じる。
気道がきゅっと閉まる感覚があり、突然苦しくなり身を丸めた。
ーー実弥さま。助けて…。
、、あ、だめだ。見つけないで、、。
生きていたい、、死にたく無い、、
でも、鬼になんてなりたくない。
「こわいよぉ……」
「柚充!」
「…こ、ない、で、、見、ない、で……」
実弥が走り寄ってくる気配がする。
それと共に「風柱は近づけさせるな!」と言う声も聞こえてきた。しかし柱を止めることなど平隊士にはできないのだろう足音は近づいて来る。
気配と共に甘い匂いを感じた、、、
柚充の意思とは関係なく体が動き出す。
「実弥さ、ま……殺し、て、」
実弥に鋭い爪を向けて飛び上がる……
目の前なんて涙で滲んで何も見えなかった。
パンッーーー
しかしその爪は実弥には届かず、柚充の身体は肩に銃弾を浴び、実弥の前にバサリと落ちた。
実弥の目には青い顔をして肩で息をする玄弥が映る。
その手には銃が握られていた。
「ーーっのやろ!!」
拳を振り上げ玄弥の方へ。しかし足に何か絡みつく。視線を向けるとやはりそれは柚充だった。苦し気な身体を抱き上げると、彼女は肩で息をしながら笑みを浮かべた。こんな時でも柚充は笑うのだ。
「…. 柚充、、」
「…さねみさま。玄弥は、間違って、ないよ。
刀、抜けなかった…でしょう……守ったんだよ、、
だから……玄弥を咎めちゃ、、ダメ」
柚充は牙も爪も目も鬼に変わってしまった。それでも実弥は刀を抜けなかったのだ。
「…でも、、」
「、、、らしくない、ですよ。
それに、、私が、頼んでおいたの……
大丈夫。。すぐ治り、、ますから」
自ら鬼である事を認める言葉を口にした。
柚充の目からまた一筋涙が溢れた。
目元を実弥が拭うと柚充は今度はくすぐったそうに笑った。
柚充は実弥の襟首をつかむと、自身も少し身体を起こしつつ力一杯引き寄せた。
柚充の唇が実弥の唇に触れる。
「……実弥様。ただいま、、です…」
柚充はその言葉を最後に意識を失った。
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