夢の中より


不死川邸の屋根の上に柚充は隊服と羽織姿で座っていた。風が気持ちいい。

ーーそう言えば私が屋根の上にいた時、
  実弥様はどうやって上がってきていたんだろ?

梯子なんてかかっていなかった気がするけど…
と下を見下ろすために屋根の上を歩き始めた。

「そっちじゃないよ」
「…?、、ん?だれ?」
「こっちこっち!!」
「こっちだって!」
数人の子どもの声がするが、周りを見渡しても、屋根の上には誰もいない。
「どこー?」
「した!下だよ!」
声を頼りに下(庭)を見ると、5人の子どもが手を振ったり、飛び跳ねたりしながら柚充を呼んでいた。
柚充は屋根から子供たちの前に飛び降りた。
「かっけー!」
「いまのなに!」
「すごい!」
純粋な目を向けられなんだか少し照れてしまう。
「ねーちゃんはにいちゃん達と
 一緒に戦ってる人でしょ?」
「にいちゃん……たち?」
ーーはて?誰のことだろう?
「きさつたいってやつなんだろ?」
「……うん。そうだよ」
「鬼と戦うって怖くないの?」
「怖い時もあるけど、人を守れないことの方が怖いかな」

「でもなんでここにいるの?」
「ここにも鬼がいるの?」
えーやだ。怖いよ。など子供たちは不安を口にした。
「んー?鬼の気配はないけど?
 だってここは、、、あ、れ?ここ何処?」
「なんだ、ねーちゃんまいごなの?」
「まいご!まいご!」
周りを見渡しても何もない場所だった。
先程まで不死川邸の屋根に居たはずなのに訳がわからない。全てが消えてしまった。

「ここで迷子って言われても仕方なくない?
 何もないって流石に度が過ぎてるでしょ…」
子どもたちが声をあげて笑った。

「でもね、おねーちゃんのこと、
 にいちゃんたちみんな待ってるんだよ」
「そーだよね。早く行ってあげないと」
「にいちゃん泣いてたりして」
男の子がケラケラ笑う。
「でも、早くって言われても、どっちへ行けばいいのか
 分からないんだよ。」
柚充はもう一度あたりを見渡す。
やはり何もない。少し心細くなって、隊服の胸の辺りを握り締めた。


「おねーちゃん!大丈夫だよ!
 だってそれ持ってるでしょ?」
「…?それって?」
女の子がベルトのあたりを指差した。
柚充が羽織をめくるとそこには六枚羽の風ぐるま。

「風がおしえてくれるよ。だから大丈夫!」
「えー。もういっちゃうの?ぼくもっとお話したいよ」
「ダメだよ。にいちゃん本当に泣いちゃうだろ」
「う…んー。わかったよ、、我慢するよ」

子どもたちが風ぐるまを持った柚充の手に触れ、顔をみて笑った

「にいちゃんたちのことよろしくね」
「こんどあったらおにごっこしよう!」
「えーかくれんぼがいい!」
「ごはんもいっしょにたべよ」
「やくそく!」

気が済んだのか早く行けとばかりに後ろへ周り柚充の背を押し始めた。

「えっ、ちょっ、君たち名前は?」
思っていたより力が強くて柚充は前に倒れそうになってしまった。
体制を立て直し振り返ると子どもたちは消えていた……。

途端、ものすごい勢いの風が吹き柚充の体は浮き上がる。手足をバタバタさせてもあっという間に地面は遠く、なすすべなく吹き飛ばされた。
風ぐるまだけは離すまいと強く胸に引き寄せていた。


《……ねみに…ちゃんとげ…やに……ゃんを…おねがいね……》



ーーーーーー



「名前をっ!!」

ゴツン!!

「…はうっっ!」

布団から飛び起きた瞬間に額にものすごい痛みが襲ってきた。目尻に涙が湧き上がる中、額を押さえ前を見るとその光景に血が引いていくを感じた、、。


不死川実弥が、頭を押さえて柚充のベッドの足元でプルプルしていたから。

先程柚充の額に激突したのは実弥の頭だった。


「あ、えと、おはよう、、ござい、マス?」
「お前は、寝起き早々絞められたいらしいなァ?
 あ"ァ"?」
「ふっ!不可抗力です!私だって!
 物凄く痛かったですから!!」
「5日も寝たままの奴が飛び起きるか!!アホ!!」
「あ、アホって何ですか!!5日寝てようと、、、
 いつか、、、5日ぁ!??!」
すると病室の戸が開いた。
実弥と柚充のやりとりを聞きつけたのか、驚いた顔のしのぶと、笑いを堪えている宇髄がそこにはいた。
 




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