日輪刀
実弥と柚充は不死川邸に戻り向かい合って正座していた。
実弥の手には柚充の日輪刀。
「私の扱いって、今まで通りなんですか?」
「いや、基本任務は俺と。別だとしても必ず柱と共に
当たってもらう。今まで好きにさせていた事でも
これからは許されない事も多分にある。
所在が分からないことがないようにという事が一番だ」
2回遭遇し、攫われたことで鬼舞辻が柚充を気にしている事が明確になり、鬼化失敗に気づかれればますます狙われることが予想されるためこの策がとられることとなった。宇髄が遊郭出発前に言ったようにそもそも今までが自由すぎたわけなのだが。
「それでだ。柚充はこれからどうする」
「そんな難しい顔しないでくださいよ。
私は、今までを後悔してません。
これからも鬼殺隊士で、風柱の継子でいたい。
実弥様の片腕とまでは大きく出られませんけど
戦います」
日輪刀に手を伸ばす。
「絶対に死ぬんじゃねぇ」
「頑張ります」
再び柚充の手に日輪刀が戻った。
手の上の日輪刀の程よい重さに安心し、背筋が伸びる気がした。
日輪刀に目を落としていた
不意に包まれる感覚に顔を上げると、髪の毛がすこし当たってくすぐったい。
「実弥様?、、」
「隠から守ってやれなくて悪かった。
目の前に居たのにその手を掴んでやれなかった
危険な目に合わせて、、」
柚充は驚いたが、かろうじて返事をする。
「実弥様のせいじゃないですよ。母様絡みの清算です。
まぁ、鬼にされるとは予想もしませんでしたけどね。
でもおかげで助かったところもありますし、
私は運が強いのかも」
後半はいつもの調子を取り戻して、両腕バキバキに折られちゃったんですけどねと悪びれもせずに言うと、柚充は実弥にデコピンを食らわされた。
「だから、心配させられる身にもなれ…」
額を両手で覆いプルプルする柚充を見て実弥の口の端が緩む。
立ち上がり、去り際に真っ白に変わってしまった髪を実弥は撫でた。黒かった髪はやはり見る影もない。
髪の毛を一束触りながら柚充は実弥を見上げた。
「どうした?」
「なんていうか……
お揃い?」
実弥は一瞬固まると柚充に背を向けた。
耳が赤くなっているのを見逃さない。
愛しさが溢れて柚充は実弥の背を抱きしめた。
・・・・・・・・。
実弥は柚充の腕を掴むと、庭に向かって
放り投げた。
「ぬぅああぁぁぁああ!!!」
間抜けな叫び声を上げながら飛ばされたが、柚充は体勢立て直し地に足をつく。
頬を膨らませて実弥を睨むと。日輪刀が続いて投げてよこされしっかり受け取った。
「ほら、鍛錬始めんぞォ」
「………」
「やんねーのか?」
「やります!お願いします!!」
「お前、足拭いてから中に入れよ
足、汚ねぇかんな」
「庭に放り投げた人が何を言うんですか!」
何かが変わっても何も変わらない日常へと戻っていく…
悲しみを断ち切るその日に向かって。
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