来訪者と
柚充は型の復習をしている。
刀を持たない期間があったり、身長が突然2寸7分(約10cm)ほど伸びたり体に変化はあったものの意外に身体は違和感なく動いていた。
むしろ軽い。
そんな柚充の耳に聞き馴染み名ある声が聞こえてきた。復習を中断して表に顔を出すとやはり彼らの姿があった。
「伊之助やめようよぉ。風のおっさんはおっかないよぉ」
「あんだけ傷だらけなんだ。強えーわけねぇ」
「二人とも何やってんの?」
「柚充ちゃん、この野生児止めてよぉ………
って、誰?…いや、柚充ちゃんだよね?」
「胡麻子ぉ??」
「どもー」
笑いながら手をひらひら振る。
見た目がすっかり変わっている事が衝撃だったらしく、伊之助が被り物をずらして柚充の姿を眺め始めた。
「え?善逸、……これ、伊之助??!」
指差しながら確認していく。
「なんか文句あんのか。まめ子」
「本当だ伊之助だー!」
「こんな出立(いでたち)、コイツしか居ないでしょ
ってか判断するとこソコなんだ……」
視線に凄く不満そうな顔を向けられたが、柚充の好奇心はそんな事、まったく気にならなかった。
そんな好奇心に従い手を伸ばす。その手は伊之助の両頬にたどり着き引き寄せ柚充はまじまじと見つめた。
知らない人が見たら口付け一歩手前のように見えていたかもしれない。
「柚充ちゃん!?…ちょっと何やってんの!!
そいつ危ないから!!イノシシ伊之助だから!!」
柚充の手は離れていったが、あまりに予想外のことをされて、伊之助はドキリとしていた。
「ごっ!胡麻子も髪の毛、真っ白じゃねーか。
玉手箱でも開けたか?」
「ん?少しの間、人間辞めてただけだよ」
「それ、事実なの?!笑って良いとこなの?!」
「そういう2人は炭治郎と一緒じゃ無いの?」
「ああー炭治郎は、、刀鍛冶の里に行ったよ」
「刀折りすぎて作ってもらえねーんだと」
「俺たちと会ってから3本ダメにしてるから
流石にブチ切れられたらしいよ」
「ありゃりゃだねー」
ーーーーーー
「そうだ!手合わせしよう!」
「おまえばかじゃねーの?
隊員同士のやり合いはご法度だろうが」
「……は?木刀だし。鍛錬の一環だし」
え?知らないの?とあからさまな視線を向けると伊之助があたふたし始める。
「ち、違げぇよ!
言ってたのは俺じゃねぇ!健太郎だ!!」
「って言ってますけど、善逸さん真実の程わぁ?」
「炭治郎が言ってたのは確かだけど、
勘違いしたのは伊之助ですよぉー」
「もっ!紋逸お前っ!!」
柚充は二人に向かって木刀を一本ずつ放った
「始めよう!、、ね?」
ーーーーーー
「えーもう善逸脱落なの?」
「お前、起きてると全然だな…」
「二人してバカなの?!馬鹿なんじゃないの!!」
善逸は砂埃まみれでべそかきながら地面に転がっていた。木刀を担いだ伊之助と地に付いて木刀に寄りかかる柚充が見下ろしている。
「もぅ俺は無理だよぉ。
2人で思う存分やり合えばいいさぁ。そもそも!!
左右から木刀飛んで来るなんてあり得ないでしょ!」
善逸は縁側に逃げていく。先に帰ると言う選択肢ではなかったようだ。
伊之助と柚充はニィッと笑い間合いを取る。
ほんとにやる気の2人に驚きを超えてため息が出る善逸だった。
ページ: