柱稽古2
「白胡麻ぁ!!抜かせるかぁ!!!」
「もう、良い加減にしてよ!!」
柚充は伊之助を追っていた。後はこのイノシシさえ追い越せば一番に到着することができる。
「伊之助は、一番じゃなくても
次の稽古に行けるでしょ!」
「白胡麻には負けねぇんだよ!!」
ーーああもう!!
ってか男子たちは良いよね!
暑けりゃ脱げば良いんだもんね!
木刀だって背負ってないし。
他の人を羨むだけではなにも手には入らない。最後は己の努力がモノを言う。柚充が使うのは風の呼吸。風を身に纏って動いて操って、それがもっとできるようになれば柚充はまだまだ強くなれる。
もっと早く動ける。
呼吸によって取り込んだ空気を足へ、それも足の筋肉を使う事に集中する。
《常中は常中でも質が全然違げぇんだよ》
いつか柚充が実弥に言われたこと。
ーー今ならその意味がわかる気がする。
深く深く息を吸う
「伊之助覚悟ぉおお!!!」
ーーーーーー
「もう!なんなんだこの木刀は!!
重いだけじゃなくて、速度上げればあげるほどバシバシ
背中に当たって痛いし、背負うための紐は紐で痛いし、
絶対文句言ってやる!!」
「柚充。まだそんな余裕あんのかよ。
嘴平もそこ転がってんぞ」
結構しんどかったのか、伊之助は地面に大の字で転がっていた。
「走る事は得意だって天元様も知ってますでしょ?
これくらいはなんとかなりますよ。」
「実は1回目で着けたんじゃねーの?」
「それは残念ながら。
コレのせいで!」
木刀を叩き折りそうな顔をして、背負っている木刀を指差していた。
「まぁ、何にせよ。柚充、嘴平、そして
ここまで到着してる奴ら、次、時透の稽古に行け」
「お"どばじら"ぁ"ー
お"れ"も"づぎに"い"っ"でい"い"でずがーー」
丁度今到着した隊士が、死にそうな顔をして宇髄に聞くが、その答えは「否」
その体はまるで砂になったようにサラサラと崩れていった。
ーーーーーー
昼を過ぎた頃時透のいる道場を訪ねる。
「時透様ー!稽古おねがいします」
「遅いよ柚充。君、継子でしょ?」
道場の中では、打ち負かされた隊士たちが隅の方に掃き溜めのように転がされていた。
柚充に遅いと言った時透であったが、背負っている木刀を見てそれ以上はつつこうとはしなかった。
「お前が次の柱か?!」
「コラ伊之助!!
柱に向かってお前なんて言っちゃダメでしょ!」
「なんでも良い!俺と勝負しろ!」
ベシッ!!
柚充が伊之助被り物を平手打ちする音が響く。
「何すんだ白胡麻!!勝負して何が悪い!」
「勝負じゃなくて、稽古!!
それにお願いする立場でしょうが!!」
「柚充。良いよ。
じゃあ君から始めようか。
他の人をたちはまず素振り、それが終わったら
打ち込み台で打ち込み稽古しておいて。」
「うぉっしゃあぁぁぁあああ!!
胡麻子より先に次の稽古に行ってやる!!」
間もなく伊之助も、掃き溜め行きとなった。
その後、他の隊士たちが次々と掃き溜めへと送られていく。
ーーーーーー
「次!柚充。、、柚充!
ちよっと柚充!!人の話聞いてる?!」
「あ、、時透様。ごめんなさい」
目の前にひょこっと現れた時透に柚充は驚く。
「コレ柚充がやったの?」
「え?うわっ!いつの間に?」
柚充が使っていた打ち込み台が壊れていた。
「ふーん。気にしなくて良いよ。
ささっ!稽古始めよう!」
道場の中央へ導かれ木刀を手渡された。今回は普通の木刀で良いらしい。柚充はホッと胸を撫で下ろした。
「柚充。
容赦なくって不死川さんから言われてるから
悪く思わないでね?」
その言葉と共に時透の姿は目の前から消えた。
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