柱の柱稽古


大暴れの一件で実弥の柱稽古は中止となった。
確かにあれは、もはや稽古ではなく乱闘で、鬼がいつ動き出すか分からない今、怪我人が出るような事はあってはならないためであった。
隊士たちの中でも柱稽古を終える者も現れ始め、柱達にも余裕が現れたこともあり、今度は柱同士の稽古も始まっていた。
柚充は見ることも大事な稽古であり、ついでに自分も手合わせをしてもらえることもあるため、実弥に付き添って柱同士の手合わせに同席していた。
「これも日輪刀なんですか?」
悲鳴嶼と実弥の稽古の際、柚充は初めて悲鳴嶼の日輪刀を見た。
ーーこれは刀の部類に入るのかな?
鎖の先の片側には棘のついた鉄球、反対側には斧の刃のようなものが付き、刀の形とは違うその姿に驚いた。
木刀での手合わせはできない為、日輪刀同士で稽古が始まる。鉄球に気を取られれば斧が鎖が飛んでくる。目まぐるしく飛び交い実弥もまた殺傷能力の高そうな悲鳴嶼の武器を掻い潜り打ち込みにかかる。

ーー私だったらどう戦える?
実弥の動きを予想し、同じ動きなのか違うのかを比べながら思案を続ける。

ーー何にしても、、早すぎるんですけど!!
  目では追えるけど、実際動くことはでき無い気がする…

柚充は二人の柱の動きを必死で分析、記憶し続けた。その後、更に組手の稽古をして本日の悲鳴嶼と実弥の稽古は終わった。



ーーーーーー

「柱の皆さんはいったいどうして
 あんな瞬時に動けるんですか?」
「中には相手の筋肉の動きが見えるっていう奴もいたな」
「実弥様も?」
「俺はまた違う感覚」
次の稽古の為、伊黒の元へ向かっていた。

「なんだか実弥様が柱稽古受けてるみたいですね」
「しゃーねーだろ。
 俺の所は中止になったが他はまだ隊士を見てるからな。
 俺が回るしかねぇーんだよ」
「仕方ないですよね。向き不向きがありますもんね」
「どぉーゆー意味だ!あ"あ"ぁ"??」
「だから、そういう所ですって!!」

なんだかんだと言い合いしつつ、伊黒が担当する道場に着き、戸を開けると相変わらず縛られた隊士の青い顔がこちらを向いた。

「すげぇ事になってんな」
「伊黒様の所大変だったんですから」

「因みにどうやって通過した?」
「あの縛られてる角材って意外と乗っても
 びくともしなかったので、私はあれを足場として上から
 ですかね。でも、実弥様が同じことしようとすると
 折れると思いますよ」
「俺は伊黒と手合わせに来たのであって、
 平隊士と同じ稽古を受けにきたんじゃねェ」
「分かってますって。」

まだ少々手が開かないようなので、道場の外で実弥と柚充は手合わせを始めるのであった。

その後、伊黒の手が空いたのに気付かずに手合わせを続け、伊黒にねちねちと文句を言われ続けたのはまた別のお話。
 




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