仲間の為に


ーーああ、血が減り過ぎたね。
  造血剤を飲まなきゃ、もう動けないや……
  大丈夫。
  刀を振れるようになるくらいなら薬はまだある。
  無惨を倒さなきゃ、、
  まだ、日が登るには時間があるんだ。

  私は風柱の継子なんだから。
  鬼殺隊の一員なんだから。


いつの間にか柚充は地上に倒れていた。何らかの力で無限城から吐き出されたようだ。
玄弥の体は柚充とは別の所に上がってしまったらしい。玄弥の傷が塞がった後に鬼柚充が血鬼術を掛け直していたため、少なくとも今は大丈夫であると信じていられる。
錠剤を口に含むが、喉はカラカラで、呑み込んだはずの薬は喉の奥に張り付いて流れてくれない。
「柚充ちゃん!!」
「、、ぜ、、、つ」
ヒューヒューと鳴る喉の音に気付き、善逸は水を飲ませようとするが、こんな時でも、抱き起こして良いのかあわあわしている。
善逸の背後からカナヲが柚充の存在に気付き善逸から水を奪い取ると柚充を少し抱き上げ口元に水を運ぶ。

コク、コク、コク、コク……

「……あり、がと、う、、」
「大丈夫?」
「…うん。、、すぐに、動けるように、なるよ。
 善逸も、、気づいてくれて、ありがとう」

「オイ!!鴉言ってた紙、あっちにたくさん落ちてたぞ!
 でも、こんなんほんとに役に立つのかぁ??」

伊之助の手から紙と言われた愈史郎のお札が一枚ひらりと飛ばされる。その札はふわり風に乗ってカナヲに抱えられた柚充の頭に落ちた。
「で。お前ら何でこんなところに座り込んでんだ」
「は?何言ってんの?
 どう見ても柚充ちゃん見つけたから
 水飲ませてた所でしょ。」
「あ"あ"??」
しかしどう見ても伊之助の目には柚充の姿など何処にも見当たらない。
「いくら胡麻子が小さくても、
 見えねぇ位小さくはねぇだろ」
「何言ってんの、、ねぇカナヲ、柚充ちゃん」
善逸が目を向けたさきに、明らかに驚いた顔をしたカナヲ。更に視線を下げるも、カナヲに抱えられているはずの柚充の姿はない。
「みんな、、どうしたの、、、?」
「カナヲ?そこに柚充ちゃん居るんだよね?」
「居る、、見えないけど、、、」
ーー伊之助が来て、柚充が消えた、、
  何か飛んできて……っ!!

「伊之助!その紙頂戴!!」
カナヲが伸ばす手に伊之助は驚きながらも紙を載せる。

ーー確か、飛んで来た紙は柚充の頭の方に、、
カナヲが受け取った紙を額へと押し付ける。不思議と紙は手を離しても落ちずにそこにある。
そして、腕の中に今さっきまで見えなかった柚充の姿。

ーー良かった。ちゃんと居る

「いやあぁぁぁああーーー!!
 カナヲまで消えたんですけど!!
 人が消える紙とか、意味わかんないんですけど!!」
「何だ今の、、すげぇ!!俺もやりてぇ!!
 カナヲ!!これどうすんだ!!」

「頭、、額に押し付けて」
聞いた通りに伊之助が紙を額に押し付けると、善逸の前で伊之助の姿が消える。
「すげぇなこれ!!持ってるやつは見えんのか!!
 これ使えるぜ!!」

紙を外すと善逸の目に3人が戻って来た。
「使えるって、、」
「もちろん鬼の親玉倒しに行くんだろ」
善逸の喉がゴクリと音を立てる。
カナヲの目も、起き上がって自分の力で座っていた柚充の目も真っ直ぐ善逸を見ていた。
「………ああもう!!!
 分かっては居るさ!!もちろん行くさ!!」

伊之助が、数枚ずつ適当に紙を渡していく。

「今夜で終わりにしようね……」

「てめぇら、、死ぬんじゃねーぞ……」
それぞれお互いの顔を見合って頷く。

紙を額に貼り付け、4人は走り出した。
 




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