蝶屋敷6


「カナヲは全集中の呼吸できるの?」
「……少し、、」

みせて!と言うと頷きやって見せてくれた。
カナヲの全集中…纏う空気が変わると言うのだろうか、言葉で表すには難しい。
でも確実に今私が目指すところが見えた気がした。


「……はじめ!」

カナヲと柚充の手がすごい速さで交わされ続ける。
いつの間に機能回復訓練をしに道場へきた回復隊士たちがその二人の勝敗を見守っていた。

ーー防ぐだけちゃダメ。
  このままじゃカナヲに負けてしまう。
  打って出ないと!!

  最悪止めきれなくても先に薬湯かけて仕舞えば良い。
  カナヲが一番遠い湯呑みに伸ばしたら
  その時勝負に出る!!


ーー今だっ!


バシャッ

「……っぷ!あはははー」

結果はお互いに薬湯をかぶり引き分け。
勝てはしなかったけど妙に満足感が湧き上がって。柚充は笑いが止まらない。
「あーお腹痛いっ。でも可笑しいー」

そんな柚充の様子を見て取り巻き隊士もやる気が出てきたのかそれぞれ席について訓練をはじめていく。


「はあぁーー。
 よし。アオイ、カナヲ。私、実弥様の所戻るね。
 しのぶ様にも挨拶していくよ。また相手してねー!」
突然思い立ったのだろう、柚充は大きく息をついた後ブンブン手を振って道場を出て行った。
アオイとカナヲが顔を合わせて小さく笑ったのは二人だけの秘密である。



しのぶに屋敷に戻る事を告げると、不死川さんにと傷薬を渡された。それと言伝を。




一目散に走る。実弥が居る屋敷へ。


「ーーあれ?」
不死川邸の門に人影が。

ーーあれはそう…

「……実弥様っ!」
走り寄ると、呆れた顔が帰ってきた。
「胡蝶から鴉が来たぞ。薬湯拭かずに帰ったって」
湯浴びてこい。臭いぞ。なんて言うものだから女の子にそんな事いうのはひどい人です。お嫁さんもらえませんよなんて、憎まれ口叩いて。

屋敷へと入って行った。


湯上がり後に実弥に傷薬を塗り、しのぶの言伝を伝えた。

《言い過ぎたかもしれませんが、私は謝りませんからね》


実弥が眉間に皺を寄せたように見えたが気にしてはいけないような気がして柚充は何も言わなかった。
 




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