手合わせ
柚充が継子になってから早いもので2年が経とうとしていた。
朝食を食べながら柚充が突然切り出す。
「実弥様!カナヲが最終選別に行くそうです!」
「……あぁ?」
「私も行きます!」
「はぁ?
おまえ俺の鍛錬毎日すっぽかしてるくせに、
よくそんな事が言える」
「え?ちゃんとやってますよ?
昨日は、冨岡様、その前は煉獄様、
あ、その前も煉獄様で……
あれ?時透様のとこに行ったのは、、」
ーー俺の所の継子の筈なのに、、
一体どうしてそうなった…。
連日消える柚充。実弥は最近に至っては稽古をつけた記憶すらない。
ーーそれ以前に栗花落が最終選別?
たしか胡蝶は栗花落を鬼殺隊に入れるつもりはない
と言っていた。
……気が変わったのか?
「じゃあ実弥様こうしましょう!手合わせお願いします!
かすりでもしたらカナヲと行きます!」
実弥は正直、今回ではなく次の選別を目指していた。しかし、柚充は言い出したら聞かない事も目に見えていた。今回を諦めさせるためには少々手荒にするしかない。
お館様からの託し子である柚充だからこそ、命を落とす危険性はだけは回避しなければいけない。
ーーーーーー
「……今回は諦める気になったか?」
柚充は実弥に蹴り飛ばされ地面に転がる。これが何回目なのかもう覚えていない。
刀で立ち向かう柚充に対して実弥は木刀。
しかも、片手一本しか使っておらず、型も一切使っていない。
全集中の呼吸常中ができるようになっていても、型ができるようになっていても、柚充と柱との力の差は歴然である。
最初は攻撃を避けることができても、そのうち持久力も尽きて、攻撃を受けてしまう。
「……あきらめません。」
受け身をとっても衝撃には晒される。体のあちこちから悲鳴が聞こえる気がする。それでも立ち上がり刀を構える。
「そんなんじゃ死にに行く様なもんだ」
「……肆ノ型 昇上砂塵嵐!」
何度繰り返したか分からない。それでも当たらなくても認めてもらわなければいけない。
「弐ノ型 爪々・科戸風!」
柚充はちゃんと鍛錬をこなしていたんだと実弥は思う。体力が尽きようとしている今でも、型をしっかり使えている。でも体が小さい為、力比べとなったら苦戦するだろう。しかし、そもそもまだまだ未熟。
「弱い!諦めろ!」
ーーこれ以上痛めつけてはいけない。
気絶させるしか…
「あきらめないっ!!」
柚充が刀を振り下ろす瞬間、柚充の目の色が変わったように見えその気配がいつもと違っていた。
ーーこれは、、鬼?
実弥は驚きのあまり一瞬動きが遅れた。
柚充の刀が腕をかする
お互い地に足がついたまま動かない。柚充と視線は合っておらず、先程の変化の確認ができない……。
ーー鬼ならば、殺さねばならない。
…… 柚充が?なぜ?
「……実弥様。、、、かすりましたよね?」
上げた顔には見慣れた色。
そしてニカッとしてやったり顔。
見間違いかとも思ったが、気のせいとも思えない。
ーーあの嫌な感じ…、、。
実弥は無言で歩み寄ると、その首に手刀を喰らわせた。
柚充は実弥の腕に倒れる様に気を失った。
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