藤襲山2
近くに人の気配を感じても動かず様子を伺っていた。腕の痛みは当初よりかなり抑えられていた。少しなら動けるかもしれない。
「……っ!お前、、不死川様の継子!」
目の前に現れたのは蝶屋敷で青ざめていた隠の人。柚充は横になったまま身動き一つせず返事をする事にした。
「、、お久しぶりです?。隠さんはお仕事ですか?」
「え、ああ。最終選別の不合格者の回収だ。」
隠が視線を向けた先に伸びて倒れている人がいた。
「私も回収されるんですか?」
「いや、今のところ柚充様の回収は
指示されてないです。でもひどい怪我ですよね」
回収して欲しいならしますけど。と付け加えられた。
「動けずにいる様に見えるんですけど、
私が手を貸した時点で柚充様は
不合格になってしまうので……」
「嫌です!」
「でももう限界じゃないですか。
死んでしまったらもう終わりですよ。
そんな状態で放置したとなれば、
私が不死川様に殺されます!」
「絶っ対に!私に触らないでっ!!」
その言い方、ちょっと傷つきます…。と隠は苦笑する。
その時柚充は一つの気配を察知した。
動かないはずの体を急いで起こし、そのまま隠を体当たりで突き飛ばした。
「柚充様!何するんで、、、ひぃっ!!」
隠が顔を上げると、柚充が涎を垂れ流した鬼に
刀を片手で構え爪をうけとめていた。
刀を振り払うと鬼は距離を取る様に後ろへ飛ぶ。
『ボロボロが相手で運がいい!久方ぶりの肉っ!』
ーー使えるのは片手。一発で確実に頸を落とさなきゃ!。
鬼が柚充目掛けて飛びかかってくる
「風の呼吸、肆ノ型昇上砂塵嵐っ!!」
ーーーーーー
ーー片手でダメかと思ったけど……
なんとかなってよかった、、。
「あ、突き飛ばしてごめんなさい」
柚充は木に寄りかかって座っている。
「あ、いや、、助かりました。」
「………隠さん。
絶対に私の死体を運ばせたりしないから、お願い。
回収しないで」
隠ははっとして柚充に背中を向けると、何かを地面に置いてから離れていく
「あ!私は鬼に襲われて、
その時うっかり痛み止めを落としてしまいました。
任務をこなしつつ鬼から逃げるのに必死で
拾うこともできません。仕方ないです。
不合格者の回収が私の任務ですから」
ーー大きな独り言です。
「ありがとう…。」
遠ざかる背に小さく感謝した。
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