入院2


「しのぶちゃん、柚充ちゃん日に日に元気が
 なくなってる気がするんだけど大丈夫かしら…」

見舞いに訪れていた蜜璃は不安を口にした。治療は三週間目に入っていた。
「私も少し気になってはいました。
 怪我の方はもう少しで絶対安静を解いても良いと
 思っているのですが…」
しのぶもまたそこが気がかりで、傷は徐々に回復して行くのに対して、柚充の元気が戻ってこないのである。
「……。」

しのぶに心当たりが2つ。不死川が一切見舞いに来ていないことと、隠から聞いた少年とのやりとり。
その少年は不死川玄弥。柚充は彼が何者かを知らない。
きっと柚充は無意識に玄弥に実弥の姿を重ねてしまったのだろう。

ーー……不死川さん。このままでは柚充ちゃんが
  潰れてしまうかもしれませんよ

しのぶは窓から空を見上げ柚充の心までは癒せない事を悔しく思うのだった。


ーーーーーー

翌日蝶屋敷に変わった尋ね人がやってきた。
鬼殺隊の命と言える日輪刀が出来上がり刀鍛冶が届けにきたのである。
柚充が入院していることも既に把握されており、絶対安静で動けない柚充の事を考え、病室でカナヲと二人ともに受け取ることとなった。

室内にはしのぶ、カナヲ、刀匠、そして刀完成を祝いたいと蜜璃も訪れていた。

日輪刀は色変わりの刀とも呼ばれており、持つ人によってその色を変える。

「さぁ、抜いてみなさい」

カナヲと柚充は揃って刀を抜く。

カナヲの刀の頭身が薄紅色に染まって行く。それはまるで刀に命が宿って行く様で、「全てどうでもいい」と口にするカナヲも目を離さなかった。



「………な、んで?」

カナヲの刀が薄紅色に染まるのに対し、柚充の刀に変化は訪れなかった…。

柚充の手から刀が滑り落ち、布団の上に転がる。届けに来た刀匠が刀を拾い上げ確認するが罰が悪そうに首を横に振った。


   柚充の刀は色が変わらなかったのだ…。


目から大粒の涙が溢れ出す。
からになった手を見つめてポロポロと。
その痛々しい姿にしのぶは柚充の涙を隠す様にきつく抱きしめた。
堰を切った様に柚充の口から溜め込んでいたものが溢れ出す

「わ、私はっ…実弥様だけじゃなくっ、、刀にまで、
 見捨てられてしまった、、もう、私には、
 帰る場所もない、、。実弥様にも嫌われたっ、
 私は、、わたしは、、あぁぁぁあぁー」

眠るまで泣き続けた。擦った目元は赤く眠る姿も魂がどこかへ抜けてしまった様だった。
 




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