初任務


「君はどこまでしってるの?」
「……モクテキチ」
「情報収集も私の仕事なのね」
了解と走る事に集中した



町に入った途端に嫌な感じが漂っている。
肌に纏わりつく様な湿気を孕んでいた。


「純斗!、、いったい何処いってたんだ!」
先ずは情報を集めなくては!と数歩歩いたところで肩を掴まれた。

ーー……すみと?、、。

「あの、、人違いだと思います」
振り返ると、明らかに顔色が悪い男性が立っていた。柚充の顔を見るなり「…女の子、、」と呟いた。男の子と間違える程、憔悴しているらしい。


「……あの、、話聞かせてもらえますか?」
「あ、いや、……君も気をつけなさい。」

男性はフラつきながらまた何処かへ行こうとした。しかし足がもつれたのか躓き膝をつく。
「だっ、、大丈夫ですか?!」
駆け寄ると男性は砂を掴み唇を噛んで震えている。



「あの。鬼狩りってきいたことないですか?」
反応がないままの男性の前に膝をついた。
「こんな子どもなので、
 信じてもらえるか分からないんですけど、私、
 子どもを攫う鬼を斬るために来たんです。
 だからお願いです。教えて下さい。」


顔を上げた男性と目が合う。柚充が視線で日輪刀を示すと男性は握った手を膝に移動させた。

「純斗と…息子と、広場の時計台で待ち合わせしたんだ。
 分かりやすくていい目印だろうって…でも、、
 約束の時間に俺が遅れてしまって、、
 そしたら…その場所には靴だけ残ってて……」

「指令で何人か消えてるって聞いたんですけど、
 他の子が何処で消えたとか知っていますか?」
「……いや、、あ、確か、、コマちゃんはお茶屋に
 お使いへ行ったまま帰ってないって、、
 門限になっても戻らないとか騒いでた。」
「そうですか。…あと、
 …この辺りはいつもこんなに湿気っぽいんですか?」
「……湿気?」

その反応に柚充は少し考える仕草をした。
この湿気は鬼関連なのかもしれない。

「ありがとうございます」
「純斗は……」
ーー確信が無いからはっきりした事も嘘も言えない。
「…助けたいです」
ポーチから傷薬を出して純斗の父の手に乗せた。


まずは時計台へ
 




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