続・初任務3
「参ノ型 晴嵐風樹」
実弥は後ろへ飛び距離を取る。
柚充は自身のために風を起こしたのであって、目の前の実弥がどうしようと知ったことでは無かった。
「貴方に私の何がわかると言うのです?」
柚充は実弥に問う。
その問いに実弥は怪訝な顔をした。
「貴方にわかるはずもありませんよね」
「師に向かってなんて事言ってんだァ?」
「貴方は私の師なんかじゃない!!」
柚充は飛び、実弥との距離を一気に詰めた。
実弥の首元には柚充の刃があてがわれていた。
「これは隊律違反だぞ。分かってんのか?」
「黙れ」
「……… 柚充。」
「いいかげん!私の大切な人の顔で!大好きな声で!
これ以上しゃべるな!偽物が!!」
その瞬間相手は刃から逃げて後ろへと飛び、実弥の顔はぐにゃりと歪むと柚充の知らない顔へと姿をかえた。
「なんでバレたんだろうねー。
とても興味深い」
「興味持たれるなんて気持ちが悪い」
「つれないねー。
なかなか人形を壊してくれないものだから、
壊す様に誘導しなくてはいけないし。
予定外ばかりだよ」
「壊さなきゃ中の薬が舞わないって?
幻覚でも見せたかったとか?」
「おや、そこまで気付いていたとは。ますます面白い」
先程の"晴嵐風樹"は取り巻く薬剤を吹き飛ばし自らを守るため。だから相手が何処にいようがかまわなかったのだ。
刀を握りなおし今度は頸を落とすために走り出す。刃が鬼の頸を捉える刹那、その顔はまた別のものへと変化した。
「…… 柚充」
「っ!」
思わず刀を引いてしまった。その隙を逃してはくれず、柚充は鬼に蹴り飛ばされた。
その姿は隠の里で柚充の怪我を治療し、お館様のところに来るまで一緒に生活していた里での母。
「柚充。立派になりましたね。
私は嬉しいわ」
そう言ってくれるならどれだけ幸せだったことか。柚充の目から悔しさと共に涙が一筋溢れた。
怒りが沸々と込み上げる。
「柚充どうしたの?」
「黙れ。それ以上喋るな…」
「私はもっと柚充とお話がしたいわ」
「黙れって言ってるだろ!!」
刀を振り上げ母の顔をした鬼へ斬りかかる。しかしそれは鬼の手によって防がれた。
鬼の手には日輪刀が握られていた。
「いっぱいあるのよ。鬼殺の隊士も食ったからね。
流石に刀は食べられないから残っちゃうのよね」
日輪刀が鈍く光る。
「だから、使う事にしたの」
「なっ!…」
母の顔がニコッと笑う。
刀を振り下ろすのを受けて払うと、鬼の手から刀が弾き飛び部屋の端の方へ転がって行く。
しかし、鬼に動じる素振りは無い。
「あ、の、ね、いっぱいあるの!」
5本の刀が鬼を囲う様に刃を柚充に向けて浮いている。
あれは母様じゃない。
「風の呼吸 弐ノ型爪々・科戸風!」
鬼の周りに浮いていた刀を吹き飛ばした
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