続・初任務4
「痛いわー柚充。母様悲しくなっちゃう」
わざと切られたのか傷口から出た血を頬へと擦り付けてにっこり笑う。傷口はもう回復している。
「あはははーその顔!その顔!
みんな同じその顔をするのよ。ホント笑える」
ーー腹立つ!腹立つ!腹立つ!
「絶対に許さない…」
全身の血が沸騰する様に熱くなる。
床に転がっていた刃物が再び鬼の周りを囲む。今度は日輪刀だけではなかった。
鬼が手を前に出すと、刃物が柚充に向かって飛んでくる。刀で弾き飛ばすが、すぐに鬼の元へ飛んでいってしまう。
ーー動きは見えるのに…
「何を許さない?どうせ俺に勝てないだろ?
柚充。」
実弥の顔へと変化しその声で名前を呼ぶ。
その瞬間、プッンと何かが弾けた。
「その顔と声で喋るなあぁぁぁああー!」
飛んでくる刃物を飛んでかわす。柚充がいた場所には3本4本と刺さっていく。
柚充は鬼に斬りかかる。
「弐ノ型 爪々・科戸風!」
速さも勢いも突然変わり、焦った鬼は立て続けに刃物を飛ばす。しかし全て柚充に届く事はなく、薙ぎ払われていく。柚充は再び弐ノ型をくり出し、その爪は鬼の腕と足を切り落とした。仰向けに倒れた鬼の胸を足で踏み喉元に刀を突きつけた。
浮いていた刀がバラバラと落ちていく。
鬼は馬鹿なとでも言いたげに目を向いた
「お前の師の筈だろう!何故刃を向けられる!」
「………偽物に用はないっつってんだろ!
実弥様はめったに私を名前で呼ばないんだよ!」
鬼を睨み下ろす。
「それにお前は、日輪刀を踏んだ。
そんな事、鬼殺隊士は絶対にしない!!
よくも私の大切な人を、、馬鹿にしてくれたな!
お前が侮辱した分、切り刻んでやるよ。鬼は良いなぁ
人間と違って傷は短時間で回復するんだ」
それとも、日の光で焼き殺してやろうか?
みるみるうちに鬼の顔から血の気が引いて行く。人の顔を真似できず、本来の顔に戻っているのだろうもう柚充の知る人の姿では無かった。
柚充は鬼の喉元に刀を突きつけている。
ーーこの鬼が憎くて憎くてたまらない。
隊士達の魂と言って過言ではない日輪刀を穢し、
母の姿を見せた事も許せない。
あぁ。コイツにかける時間が無駄だ。
早く目の前から消えて欲しい。
柚充は鬼の頸を刺し切った。
鬼の頸を絶つと周りの景色も崩れて行く。見えた景色はごく普通の家の様だった。怒りの気持ちはまだ消えない。でも、それを向けるべき鬼はもういない。
「鬼は虚しい生き物だ、。」
呟きは誰にも届く事はなく消えていく。
和室には日輪刀が戦利品と言わんばかりに畳に突き刺さって鈍く光っていた。
窓辺には鏡が立てかけられていた。あまりの胸糞悪さに鏡を叩き割った。しかし思う。
佇む人形に見えたのは自分の姿だったのかもしれない。と。
屋根に飛び上がり、空を見上げると空が白み始めていた。
一羽の鴉が柚充の元へ飛んでくる。
手を出して止まらせると、心なしか羽がバサバサになっていた。
「……ごめんね。先輩達の刀、取り返してきたよ」
その後、隠と合流することが出来た。驚いた事に柚充は2日消息を経っていたらしい。鴉はその間ずっと柚充を、探して飛び続けていた。
柚充自身、体は大した怪我はなかった。ただ、体が重くて丸一日眠りつづけた。
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