藤の家紋の家2


炭治郎の前に仲良く鏡の位置にコブを作った伊之助と柚充が並んで正座させられていた。

一体何があったんだと問うお奉行様(炭治郎)に伊之助が俺は知らねーと騒ぎ出そうとしていた。すると、お奉行様に「そうか、座っていられないほ程コブが痛むのか。じゃあ仕方ない、横になってても構わないぞ」と優しく言われてしまうと、「俺はそんなヤワじゃねぇ」と大人しくなるのだった。

「……と言うわけです」
「伊之助一応、謝っておくんだ」
「……俺様は悪くねぇ」
「伊之助。」
「俺は悪くねぇ!」

言うなり縁側へ逃げていってしまった。
別に柚充も八つ当たり的な面があるので、これ以上伊之助をつつくつもりもなくなっていた。


ところでと声をかけてきたのは善逸だった。
「なんで柚充ちゃんは藤襲山に来た時から
 ボロボロだったの?」
そこまでして行きたいところじゃないじゃん。と。
「さねっ……師に反対されて、勝負挑んで、
 返り討ちにあって、黙って出て来た感じ?」
指折り数える様に経緯を説明し最後に小首を傾げた。

「…………は?

 見た目可愛いと思ってたけど、
 なにこの子?馬鹿なの?」
「善逸それは言い過ぎだ」
「炭治郎、その言い方は肯定してるよね?」
「あ、いや、そう言うつもりじゃなくて…」
「私だって、その事に関してはほぼ1ヶ月入院した間に
 反省したわけで、こうして任務にも出てきた訳ですよ」
「1ヶ月!?」
「この子の師匠どうなってるの?」
「ん?普通に人だよ?」

普通の人は弟子に1ヶ月入院させる怪我を負わせるだろうか………
炭治郎と善逸は口に出さずに思ったと言う。



「あの、私からも聞いていい?」
精一杯笑顔を貼り付けて口を開く。反射的に刀に手がいく。
「鬼が居るのは何故?」
炭治郎と善逸が部屋の隅の箱を庇う様に動いた。

「っ違うんだ柚充!って違くないけど。
 禰󠄀豆子は俺の妹で、禰󠄀豆子は人を襲わない!」
「本当だよ!俺も最初鬼?!って思ったけど、
 可愛い女の子だよ!だから刀から手を離して」

善逸は箱を庇っていたのではなく、炭治郎の後ろに隠れていただけだった。
炭治郎に縋り付き「炭治郎ぉーこの子可愛いけど、なんかこわいよぉ」とか言っている。

ーーしばらくここに滞在している様子なのに、
  ひささんは無事だし、3人に新しい傷は無い。
  これは炭治郎の言葉を信じるべきなのかもしれない。

柚充は刀から手を離した。

「ありがとう柚充。」



その夜、あまりにもドタバタと跳ね回る音がするものだから苦情を言いに炭治郎達の部屋を訪ねた。
「善逸!うるさい!これじゃ ひささんが寝れないよ!」
襖を開けた途端に桃色の着物少女が走ってくると思ったら、柚充の後ろにかくれた。
「禰󠄀豆子ちゃぁん。どうして逃げるのぉ
 って柚充ちゃん!寝巻き姿可愛いねぇ。
 やっぱり女の子は良いなぁ」
「炭治郎…善逸に一発お願い出来る?」
「柚充、顔が本気過ぎ」
「あれ?伊之助は?」
「ん?さっきまで居たのに、
 アイツまた怒られると思って逃げたんじゃね?」
「俺は逃げてねーよ!廁だ!廁!
 紋逸ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!!」
そうは言うものの、部屋に入るなり柚充に背を向けるように布団を被ってしまった。

なんだかんだで善逸もおとなしくなったので、背に隠れる子を見ると、本当に可愛い子が居た。
「貴女が禰󠄀豆子ちゃん?」
うんと大きく頷いて抱きしめられた。
「あ!柚充ちゃんずるい!
 禰󠄀豆子ちゃん俺のこともだきしめてぇー」
両手を広げて近づく善逸の衿を炭治郎が捕まえ、それ以上近づけないようにしていた。
「きっと柚充が女の子だし
 同い年位だから喜んでるんだよ」
確かに今まで遭遇した鬼とは感じが違う。頭を撫でるとすごく喜んでいる。

「でも、可愛い女の子が二人できゃっきゃって
 仲良くしてる姿もなんか良いよねぇ」

善逸の言葉に炭治郎と柚充の冷たい視線。

そんな目でみないでぇぇーと走り去っていった。
 




ページ: