旅支度


柚充は実弥と手合わせをしている。

先程からいろんな型を使っているのに全て片手であしらわれてしまうので悔しさばかりが積もっていく。
「肆ノ型 昇上砂塵嵐!」
柚充は躊躇うことなく木刀を振り続ける。

それを実弥は一振りで打ち消し柚充の間合いに入ると、首元へ木刀を突きつけた。

「……っ!」
「単純なんだよ」
「で、でも、体が小さい分、体を大きく使って振らないと
 威力が弱くなりますよね?」
「読まれちゃ意味ねーだろ」
「うぅ…」
「動きを素早く!
 あと、いざという時に呼吸を疎かにすんな。
 常中は常中でも質が全然違げぇんだよ」
「……冨岡様にも言われました」
実弥の眉間がピクリと動く。
「素早く振れるよう
 木刀に岩でも縛り付けて振っとけ!!」


ーーんな無茶なー!!!


那田蜘蛛山で大して負傷をしなかった柚充には指令が出た。少々遠方に行くことに。

そして今回は師である実弥と共に。

出発は明日。
明日の同じ時刻までは自由に時間を使っていいとの許しが出た。

気は進まないが、自分のためになるならとひかたを飛ばした。

【お手柔らかに鍛錬をお願いします】



「柚充ちゃん!!お呼び頂き光栄よ!」
「キラキラ笑顔が眩しいです蜜璃様!!
 でも、口元にみたらし付いてます!」

はっとして布巾で拭く姿はこの人が柱である事を忘れてしまいそうになる。

「柔軟も自分で気をつけてやってはいたんですけど、
 やっぱり苦手な分、自分を甘やかしてしまって、、」
だんだんと可動域が減った気がするのだ。
「でも、昔みたいに叫ばなくなったよね?」
「煉獄様の所の話ですよね……
 あの時は本当に引きちぎられるかと思いましたよ。」
「叫びながらも頑張る柚充ちゃん可愛かったわー」
「は、はぁ……」
柚充にそういう性癖はない。

「えい!」
「痛い、痛い、痛い。」



ーーーーーー

「この後どうするの?」
「時透様の所に行きます。
 明日、実弥様と任務に出るので」
「あの子のところは行かないの?」
「あの子?」
「ほら、竈門くんだっけ?」
私が実弥様の継子だってことは知られているだろう。だから妹にひどい事をした人の近しい者など会いたくはないだろうと思ってしまう。拒絶される事が怖い。

押し黙る柚充に蜜璃は微笑んだ。
「あの子はまっすぐな優しい子みたいだから
 きっと大丈夫よ」



ーーーーーー


「鍛錬願い出ておいて、集中できてないって
 どういうつもりなの?
 僕だって柚充に永遠に時間使っていられる
 わけじゃないんだけど。」
「……すいません、、。」
「いつもより動き遅いし、打ち込み弱いし、
 受けきれてもいない。……そんなんじゃ次は死ぬよ?」
「あの、、時透様も
 体格に恵まれている訳じゃないじゃないですか…」
「……そんな事考えてるの?
 だったらそれを生かす方法で戦うしかないでしょ。
 馬鹿なの?
 あと一本しか付き合えないよ。余計なこと考えない。」

木刀を握る手に力を込めた
 




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