師弟任務2


「実弥様。流石に人が多いところでは前閉めるんですね。
 ってか閉めれたんですねー。
 ボタンが既に無いのかと思ってましたよ」

あまりにも新鮮で実弥の周りをクルクル回りながら眺めていた。

ーー背中の殺の字はそのままですけどね。
  きっと周りの人たち関わりたくないんだろうなー

「…うぜぇ。」
「何を言います!珍しくて楽しいじゃないですか!」

ゴツッ…。

「いったぁい!!なんで拳骨するんですか!
 ひどいです!暴力反対です!!」
「ちゃちゃ入れてくんじゃねーよ!」
「お茶なんて淹れてませんよ!
 あっ!ごめんなさい!!ごめんなさい!!
 ふざけすぎました。
 お茶のこと"ちゃちゃ"なんて可愛い言い方するとか
 言おうとして御免なさい!!」
「全部言ってんじゃねぇか!あぁ?!!」
「実弥様、お、落ち着いてください。
 私達にとってはお馴染みのやりとりでも
「馴染みじゃねぇよ!!」
 街の人が見たら、いたいけな子どもをいじめる
 大人みたいになっちゃいますよ!
 警官来ると何かと面倒じゃないですか!」
「そうなったらそうなったでお前がなんとかしやがれ」
「と、とにかく一旦落ち着きましょう」

ーーやはり心なしか人が避けて歩いていきます。
「うん。気持ちは分かるよ」
「お前、1人で何言ってんだぁ?」
「何ですかその呆れ顔は」
「いや、、別に」

「日が暮れる前に情報集めたいものですけど、、」

ーーこの状況無理だよなー。
  やっぱり避けられてるもんね。
  私が街の人でも傷だらけで殺の字背負った人は
  ヤバい人としか思えないもんなー。
  いや、良い人なんだよ。
  案外常識考えるみたいだし……

「お前さっきから………まぁいい。別行動だ。」
ーーため息混じりで言うものだから、
  考えがダダ漏れで、また拳骨でも飛んでくるかと
  心配で頭を隠しましたが、それはなく、
  何というか目的達成です。


ーーーーーー

鬼の気配はうっすら感じる事が出来るのに、有力な情報が掴めない。
日がだんだんと傾き始める。
「もー。一度実弥様と合流するしかないかな。」


「……ねぇお姉さん?」
振り返ると、自分より小さな男の子が不安そうな顔をして見上げていた。
「?どうしたの?お母さんとはぐれちゃったの?」
「うん、、
 道がわからなくなって、暗くなってきたからこわいの」
「そっか。じゃあお姉さんが守ってあげる」

突然、頭痛が押し寄せる。
しかしあっという間に消え、何事もない。

「お姉さんどうしたの?」
「何でもない。大丈夫だよ。」

なるべく人通りが多い方に歩くと、少年は「ここ知ってる。もう大丈夫」と走っていってしまった。大した迷子ではなかったらしいと柚充は一安心した。




日が完全に沈み夜が訪れた。
「これといって情報は掴めませんでした」
「が、必ず居る」
「そうなんですよね」

その時、ぬるりとした気持ちの悪い風を感じた。実弥も刀に手を伸ばしている。2人は走り出した。


ついた場所は街から少し離れた家。庭には二股に分かれた木が生えていた。
「お姉さん?」
「あなたはあの時の……」

「おい、アイツは鬼だぞーー」
少年の額にツノが現れた。その瞳は真紅に染まっていった。
そしてその顔は歪んだ笑顔で笑った。
 




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