煉獄3
柚充は隠が来るまで、煉獄が息を引き取ったのは分かっていたが、止血をした状態から一切動こうとしなかった。
そんな柚充を煉獄から引き剥がしたのは伊之助だった。脇に抱えそのまま煉獄から離れていく
「…あっ!…やめて、、」
真っ赤に染まった手が行き場なく煉獄を求めて空を掴む。
「……行くぞ。。」
少し抵抗を見せたが、柚充は力なくそのまま運ばれた。
ーーーーーー
「これ、持ってきてやった。」
「ああ、、」
柚充が煉獄の最期に立ち合った事は鴉から報告を受けており、煉獄を師の一人として慕っていた事を知っている実弥は、まともに帰る事はないだろうと踏んではいた。自らも気持ちを落ち着けるために木刀を振り気を紛らわせていた程だ。柚充も相当滅入っている事だろうと。まさかイノシシに抱えられて戻るとは予想もしていなかったわけだが。
不死川の屋敷まで伊之助に脇に抱えられたままの柚充だったが動く気配がない。黄緑の羽織を着ていなかったため、小さな隊士は滅多にいないのは確かだが、実弥は本当に柚充なのか少し疑う。
しかし屋敷の主を前にしても伊之助は、実弥に柚充を渡そうとはしなかった。
「水は何処だ」
実弥は井戸へ向かわせると、伊之助はその小さな隊士を井戸にもたれるように座らせる。実弥はやっと柚充の顔を見ることができた。
手は血で赤黒くなっており、頬にもその手で触ったであろう血の跡がべっとり付いていた。
目は虚できっと何も写していないのだろう…。
「足以外ぎょろぎょろ目ん玉の血だ…」
伊之助はそう言うなり、井戸から汲んだ水を柚充へ頭から容赦なくかけた。
てっきり手ぬぐいか何かで拭き取るのかと思っていた実弥はその行動に目を疑った。
「ちょっ!お前!!」
聞こえないのか、聞く気がないのか伊之助はもう一度水を汲み柚充にかける。
「っ、、はっ!、、何?冷たっ!」
意識が戻った柚充は状況が分からなかった。
もうびちゃびちゃである。
見上げると実弥、そして伊之助の姿を捉えた途端、、、再び水をかけられた。
「伊之助!なにすんの!!」
ぎりッと睨みつけると、伊之助は目の前にしゃがみ込み頬を手で擦ってきた。
「血がとれねーんだよ」
「・・・・・は?」
手を見ると両手は赤く染まっていた。
「だっ!だからって頭から、
しかも井戸水かけるなんて、、、」
ふと記憶が戻ってきた。目の端からポロポロ涙が溢れてくる。
伊之助が予想外の展開にオロオロしていると、屋敷の中から肌掛けを持って現れた実弥が柚充を包むと肩に担いで回収した。
「今日のところは帰ってくれ、、」
庭に伊之助を残して実弥と柚充は屋敷の中へ消えて行った。
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