邂逅の先に4
「悲鳴嶼様!!どうしよう!
私、実弥様から逃げてたから、実弥様はここにいる事
知らない!って暗にあまり悲鳴嶼様の所に行くな的な事
言われてた気もするし!!またすっごい叱られる!!」
「逃げ??、は?、、お前一体、、」
「あ、玄弥!実弥様と被るから"お前"って呼ぶの禁止!!
私は柚充だから!」
「なっ!、、はあぁ??…」
「あいも変わらずだな。お館様も喜ばれるだろうよ」
悲鳴嶼はクツクツ笑った。
実弥の元には既に悲鳴嶼がカラスを飛ばしており、鍛錬して返す旨が伝えられていたという。
悲鳴嶼が柱の在位歴が長く、実力も有るのは言わずもがななので、その返事は【了】との事だ。
「でも、悲鳴嶼様。
玄弥の事だけで私ここに連れてこられたわけじゃ
ないんですよね?」
「身に覚えでも有るのか?」
「全く検討も付きません、、」
「では、これが何か分かるか?」
目の前に差し出されたのは紅の液体の入った小さな小瓶。柚充は手に取り火にかざしてみたり、ひっくり返してみたり手の中で転がす。
「それは、君の血だ」
「はぁ。で、これ血……私の、、…ん?血?
えっ?…私の血?!な、な、なんで!!」
「正しくは君の血を元に胡蝶が手を加えたもの
では有るのだが、君の血液だな。」
悲鳴嶼の説明によればこうだ。
隠しの里の一件が柱の間にも情報解禁され、足の手術の際にしのぶによって改めて血液検査がなされた。すると柚充の血中にわずかでは有るが明らかに鬼の血と重なるものが確認された。
しかし、鬼への変化が見られていないことと、稀血である不死川に対しても、今までとなんら変わりなく過ごしている為、今は見過ごされているのだという。
そして、この小瓶の存在理由……
「玄弥は呼吸を使えない。鬼を喰らい、その力を
己に取り込み戦う力としている。
しかしそれは諸刃の剣なのだ。鬼を取り込み過ぎれば
戻る事はできなくなってしまう
これは喰らった鬼の力を増幅するが、
反対に体への影響は減らすらしい」
本来は鬼喰いそのものを辞めさせたい。しかしそれが困難であるからせめて危険を極力減らしたい。そんな思いから見つけ出された物。
この形状からして、戦闘中に注射するとは考えられない。鬼化と言えば傷口に血がかかる、でもその為に傷をつけている様には見えない。ではこれをどう使うのか、、思い当たるのは一つしかない。当たってほしくはないが、聞かずにはいられない。
「もしかして、それ、、飲むの……?」
悲鳴嶼が頷く姿が目に映る。
柚充の顔がみるみる赤くなる。自分から切り離されたものであっても、凄い勢いで恥ずかしく、顔を隠して丸くなってしまった。
ーーいや、玄弥だって飲みたくて飲んだわけじゃ無いし、
こんな反応するのは失礼なんじゃ……
柚充は恐る恐る玄弥の方に視線を向けた。
頬を染めた柚充に見上げられた玄弥はつられて顔を真っ赤にして視線を逸らしてしまった。
ーー何でそんな反応するの!?!
頭が混乱してぐるぐるする中、落ち着く為にも当たり障りのない質問を口にした。
「あ、あの、実弥様はこの事知ってるんですか?」
「いや、お館様、胡蝶、私、玄弥そして
柚充だけが知っている」
「それは鬼殺隊にとって為になることですか?」
「少なくとも、玄弥が鬼を討つために使われている」
「……じゃあ良いです。
正直私は自分が何者か分かりません。
でも、血に何かが起きてる事はしのぶ様の検査結果が
確かなんだろうからその事をどうこう
いうつもりはないです。
鬼殺隊の為になる事ならば血液は好きに使って貰えば
いいしですし、必要ならば提供もします。
私は鬼殺隊にそれだけ恩がありますから」
「でも……。」と、そう言って視線を悲鳴嶼から玄弥へと移動する。
「その代わり、もしも鬼の血が濃くなって、
誰かに襲いかかる様な時は、玄弥。私を撃って欲しい」
玄弥の持っている銃を柚充は指差していた。
その目は本気だった。
ーーきっと実弥様は優しいから、
刀は抜けないだろう。
玄弥は困った表情をしていたが、意を決したように頷いた。
「ごめんね。」
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