心の在りか2
『桜!人間は食わねば生きられんのじゃろう?
ほら、これは食えるかぇ?』
目の前には、気絶しているらしいウサギやキジ、見た事の有る無し様々なきのこ、そして木の実や果実などが並んでいる。
「、、すごい、量ですね、」
『腹一杯食うは喜ばしいじゃろ?』
「、、そうですね。、、それは」
あぐらをかいてニコニコと笑う空喜につられるように桜は頬が緩む。
『桜が笑うも儂は喜ばしいぞ』
カカッと声を上げ、まるで尻尾を振る犬のように広げた羽がバサバサと哀絶にあたり、彼の顔はいつも以上に眉尻が下がっていた。
少し不憫な気がして話を進めるべく、桜は見間違えることのない果実に目をやった。
「、、、林檎、、」
『林檎?、、おおコレか!』
空喜は赤い実を掴み、桜へ差し出した。餌を運ぶ親鳥では無いが、手ずから集めた物が気に入られるのは素直に嬉しい。
桜は少し腰を上げ空喜の差し出す林檎に両手を差し出した。
『、、、如何した?』
桜の手を見て動きを止めた空喜に可楽が不思議そうな顔を向けると、少し慌てた様子で桜の手へと林檎を落とす。しかし赤い実は桜の手には乗らずに、気絶しているウサギの近くへと落ち、哀絶の近くへと転がって行った。
『傷んでは哀しいことぞ。』
そう言いながらも拾い上げた林檎を桜の手に哀絶はのせた。
空喜はそんな二人の姿をぼんやりと見つめていた。
ムクっ。
「、、、ウサギが、、」
林檎が落ちた衝撃で気絶していたウサギが目を覚ましたらしく、食材として集めた葉物を齧り始めた。何を考えているのかよく分からない目をして、ウサギははみはみ緑を頬張り続ける。
『あ"ーーーそれは儂が桜にと集めた物で、、いや、
寧ろウサギ(そち)も桜が食べればと狩られたのじゃぞ』
立ち上がりウサギに対して抗議の声を上げても、ウサギは何の気なしに食事を続け、そんな光景が面白くなってしまい桜は笑ってしまった。
鈴の転がるような笑い声に四鬼の視線が集まる。
「、、、、すいま、、せん、、」
居た堪れなくなった桜は、葉っぱを喰み続けるウサギを抱き上げ、空喜を見上げる。
「あの、、、私、ウサギは食べないので、、
せっかく捕まえてきて貰いましたが、、、
、、放してあげて、良いでしょうか?」
ウサギを抱き見上げる視線は可愛らしく、空喜は一瞬言葉に詰まった。
『、、桜が良いなら、良い。』
ーーーーーー
森にウサギとキジを放しに向かう。
と言ってもキジの方は外に出るなり暴れ勝手に何処かへ飛んでいった。そんなキジに向かって『この恩知らずめーー!』と叫ぶ空喜が可笑しくて桜はまたコロコロと笑い、空喜もまた目を細めて笑っていた。
空喜は時折桜の方を振り返りながら付かず離れず先を行く。
空喜以外の鬼たちは行方も語らずに何処かへ出かけて行った。きっと彼等も彼等で食事へでかけたのだろうと頭をよぎったが聞くような事はしない。
ウサギは安心しているのか鼻をひくひくさせるばかりで桜の腕の中で大人しい。
『この辺りで捕まえた、、と思う、、』
「、、ありがとうございます」
大人しかったウサギも地に下ろすとあっという間に跳ねて何処かへ行ってしまった。
虫が音を奏でている。ウサギを放す事だけを考えていた間は気にならなかったのに、今はそれがうるさい程に聞こえている気が空喜にはした。
「空喜さん、、何か気になる事、おありですか?」
突然かけられた言葉が思っていたよりも近い位置で発せられたモノだと気づいて空喜は2、3歩後ろへと体をひいた。
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