風邪
『空喜が大人しくしているなど珍し過ぎて楽しいのぅ。
しかし、馬鹿は風邪をひかないのでは無かったか?』
『うるしゃいぞ、かやく(可楽)。
うし(ぬし)と違って儂は馬鹿では
にゃかったというわけじゃ。
ふぁ、、ハックチッ…ずびずび…。』
やはりあの格好では冷えたのか空喜は風邪をひいた。
今は布団に入って寝なさいと桜に言い渡され、渋々ではあったが布団をかぶっている。
そんな空喜を可楽は笑い飛ばしにやって来ていた。
『面白い事を言いよる。そもそも儂は馬鹿では無い故
比べられる事すら可笑しな話ではないか!』
『………可楽、、(自覚なしとは)哀しいぞ』
『?なんじゃ哀絶、儂は悲しく無いぞ』
『……(自覚なしとは)幸せそうで何よりじゃな、、、』
「みなさん仲良しですね。
空喜さんを心配して様子を見に来ているだなんて」
本当は桜が空喜の看病についているから、空喜の元に集まる形になっているのだったが、桜がそう思うならそう思わせておきたい。
桜には特にプラスに見てもらいたいものなのだ。
しかしそれをぶち壊そうとする者もいる。
『桜。そやつらは空喜を心配しているのでは無く
空喜の看病に桜が付いているからここに居るだけぞ。
考えが浅はかで、腹立たしい』
『積怒貴様!裏切るのか?!
・・・・…おやぁ?
そう言う積怒も実は桜目当てでここへ来たんじゃ
なかろうかのぅ?ほれ。人の事言えぬではないか。
カカカッ!』
『独り占め哀しい、、』
『黙れ可楽、哀絶!
主らの勝手な妄想に儂を当てはめるでない!
くだらん事を言われるなど苛々するわ』
「皆さん。空喜さん風邪なので、静かに出来ないなら
部屋から出ましょうね。」
『桜儂はっ!』
「出ましょうね?!」
笑っているのに、その雰囲気は有無を言わせないもので、ニ鬼は諦め、哀絶を引き摺って部屋を出て行ったのだった。
「……全く」
『桜には皆、勝てんのぅ…笑えてくるわ』
「さ、さ、空喜さんも薬飲んで休みましょうね。
鬼にも効果があるのかは分からないんですけど、、、」
『寝付くまでは、、、居てくれるかぇ、、』
「ふふっ、、仕方ないですねぇ。
風邪の子は優しくされると
相場が決まっておりますからね」
『ならば風邪も喜ばしいわ…』
「それでは困りますよ」
困ると言いながらも、目を細めて笑う桜は空喜の手を取って微笑んだ。その顔は美しく見えて仕方がなかった。
ーーーーーー
薄れ行く意識の中で、愛しい人が笑っている。
ーー、、櫻。
今度こそこの手、、離さぬ、から、、
絶対に、、渡しは、せぬ、、
◇◇◇
「、、えさま、、お前様?
どうかしましたか?ぼーっとして?」
「あ、いや、、」
ーー、、此処は、、
「それで!
今日はどんな話を聞かせてくれますか?」
目の前で娘が笑っていた。
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