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「実弥!ほら任務に行くぞ!
久しぶりに一緒の任務か!
よーし!頑張るぞー」
「匡近。お前は餓鬼か。」
隣を歩くのはやっぱり心地いい。
ーーなのにどうしていなくなってしまったんだ?
「さねが見捨てたからでしょう?」
後ろにひいろが立っていた。
「私の大切な人を奪った。
返して!匡近を返してよ!!」
ひいろの言葉にたじろぐ実弥を呼ぶ匡近の声。
その声へ振り向くと、血がべったりとついた姿。
ーーああ。
生きていたのが俺じゃなければ、
アイツも、、
こんな"夢"早く覚めてしまえ。
覚醒して大きなため息を一つ。
まだ部屋の中は薄暗い。
夜明けはまだ先のようだ。
髪をくしゃっと握った。
分かっていても気持ちのいい夢ではない。
気怠い体を起こして顔を洗いに部屋を出ると、同じタイミングで後藤が姿を見せた。
膝をつき頭を下げる姿を見て、どこかホッとする自分がいた。
「外套の鬼を確認することができました。場所は、、
前下弦の陸を貴方と粂野さんが討ったあの町です。
やはり群れるはずのない鬼が集まっています。」
「アイツも悪趣味だな」
「今晩はその数も多く、
風柱が遣わしていた隊士も負傷者が出たようです。
避難は進められていましたが、
被害が出ているのは確実です。」
半月ほど前からあの村で、鬼の出現が相次ぎ、数名の隊士が駐留する形となっていた。
同時に避難もできる限り進めていた。
しかし、そう簡単に鬼の存在を信じてもらえるわけもなく、また、おかしなことが続いても"私は大丈夫"と思っていたり、年配の人達は住み慣れた場所から離れる事を嫌がり思っていた以上に避難は厳しいものだった。
そこに今晩はここ数日よりも多くの鬼が現れてしまった。
なんでも、先に鴉が狙われ伝達が上手くいかなくなってしまったそうだ。
「あそこに向かう事になった隊士の数は?」
「階級は様々6名ほどです」
「後藤。そいつらに言っておけ。
下弦の陸には手ェ出すんじゃねぇってな
俺も直ぐに出る」
ーーーーーー
夜が明け、その日は朝靄が酷かった。
陽光がしっかり届いていないため、首の切られた鬼がまだ燻っていたり、鬼からも人からもうめき声が聞こえる。残念ながら逃げるのに間に合わなかった人もあちこちで倒れているのだ。見た事はないが、地獄と言うのはこういうものではないかと思ってしまう。
生き残った者を探しながら、生きている鬼も切り伏せる。
「……助け、て…。誰か、、」
一人の青年が女性を抱きしめて震えていた。
「大丈夫か。
そっちは、、」
「あの時の、、、鬼殺隊の人、。」
"あの時"の言葉に実弥は記憶を辿ると、心当たりがあった。
ひいろの過去を告げに来た爺さんを背負っていた青年だ。
確か、刀を持つ勇気は無いながらも、医者を目指してあの爺さんの家に婿養子になったはず。
「妻が!!子どもがお腹にいるんです!!
やっと授かった命なのに
助けて下さい!大切な人なんです!!」
青年が抱く女性の腹は確かに大きく、しかし、あちこち出血が多い。頭部にも血が付いている。なまじ医学の知識が有るだけに彼は動けなくなってしまったのだろう。女性はもう、、、
実弥は青年の顔を正面から見つめ口を開く。
「駆けつけた俺たちに出来るのは応急処置ぐれぇだ。
鬼を狩る力はあっても命を救う力はない。
でも、お前はその知識と技術が有るはずだ。
ここで命を救えるのはアンタなんだよ」
「・・・・・・・・」
「やらなきゃ、両方手放す事になんぞ」
両方とは女性とお腹の子ども。
しかし青年は決断出来ずにいた。
その時、青年の腕の中から声がした。実弥も青年も目を向けると、女性が意識を取り戻していた。残念ながら彼女自身が一番今の状況をわかっていたのかもしれない。
「貴方は医者です。
救える命を一つでも多く救い出して…」
青年は隠の手を借りて、女性の処置をするべく移動していった。
それは処置と言うより別れになってしまう事だろう。
それでも命は繋がるのだ。
小さな1つだとしても
ーーーーーー
いつの間にか霧ははれ、被害の大きさに愕然とした。
報告を受けていたとはいえ、その町はもう人が住む事は出来ないだろう。
ーー匡近、、こんな事になって、、。
アイツにこんなことさせちまって、、
本当に、、すまねぇ。
アイツの、、ひいろの首は俺が必ず斬る。
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