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長編心のままにの「実弥の継子」設定で"もしも"な番外編となります。
アンケートでリクエストいただいた設定ですので、夢主の名前が変換なしではリクエストしてくださった「けいこ様」のお名前を使わせていただいています。

相手は村田さんではありません。

それを踏まえまして、よろしいでしょうか?
行ってらっしゃいませ。
お気に召す夢でありますように。





神社の縁の下、丸くなって隠れているけいこを見つける人が居る。
彼女は少し前に風柱不死川実弥の継子に正式になった。しかしその継子、よく不死川の元から消え他の柱を訪ねていることが有名な話となっている。今日は普通に隠れていたわけだが。
「けいこは隠れるのが上手い」
「上手いと言いますけど、必ず見つけるじゃ無いですか。」
実弥様には見つからないのにっ!と不満げに頬を膨らましながらも差し出された手にけいこは手を重ねる。

縁の下から出ると暗い場所に目が慣れていたためか、はたまた目の前の人が輝いて見えるのかとても眩しい。

細めた目に映るその人の顔は柔らかく微笑んでいた。



ーーーーーー

時は流れけいこは鬼殺隊の一員として任務に当たっている。
「村田さん……。何故そんな事になってるんですか!」
「め、面目ない、、」
「刀を落とすって、死んでもおかしく無いでしょう?死んだのと一緒でしょう?それとも何ですか!継子が居るから今日の任務は任せておけば良いやとかそう言うやつですか?刀なんて必要ないってことですか?そもそも素手で戦うつもりだったんですか?
……まぁ、そんな器用な人とは思ってませんけど」
目を逸らしプルプルしている姿は先輩隊士の影もない。きっと、けいこの後ろに実弥の影でも見ているのだろう。いや、今回は伊黒か。
鍛錬で何度か面識があり見た目の小ささから世話を焼こうとした村田の事をけいこは認識していた。


急な斜面の崖の先、その狭い岩の隙間。小柄なけいこでなければ村田の日輪刀に手が届きそうになかった。
ため息をつき、村田を見るとしょぼくれて打ちひしがれている。流石に不憫に思いその肩を叩いた。ほとんどの隊士が刀を大切にしている。村田もその一人である事をけいこは知っていたからどうにかしてあげたい気持ちになった。
「ちょっと待っててください。」
けいこは何の躊躇いもなく斜面の下へ飛び降りた。正直、刀を取りに行く事は大した問題ではなかったから。上では突然けいこが崖を飛び降りたものだから村田が信じられないと言わんばかりに崖の下を涙目で覗き込んでいた。


「意外と深いけど、、届かないっ、、って事はなさそうねっ。」
村田の日輪刀に手を伸ばしながら独り言を並べる。大した問題もなくけいこの手に持ち主から離れてしまった日輪刀が収まる。変な歪みも刃こぼれもせず上手に落ちたらしい。これならば鬼が出ても直ぐにでも戦えるだろう。
「けいこー!大丈夫かぁー!!」
村田の涙声が頭上から聞こえる。
「村田さんの鴉をこちらに!!ひかた一人じゃ上がれないから!!」


ーーーーーー

「これでよしと」
腰のポーチから包帯を出し、紐として刀に結びつける。そして万が一カラスを傷つけることのないように刀身に包帯を巻き付け鴉たちに託す。

「頑張って登ってね。」

二羽のカラスが村田の元へ飛び立ったのを見送って呟く。

「私は

 鬼を斬ってから戻るから」


岩の隙間を覗き込むように上背のある鬼がけいこをぎらりと見つめていた……



「鬼が入ってこれないのは良かったけど、私も刀振れないじゃん」
この狭さでは型を使うことは不可能。降りてきた感じでは、岩の隙間を抜けたとて足場はわるい。でも、そんなこと言ってられない。ここで戦えるのはけいこ一人。やるしかないのだ。

刀を槍の様に鬼へ向かって突き立てる。ひとまずその場を退いてもらわなけば、刀を振れる場所には出られないのだ。
『ぐあわあああ』
鬼が叫び声を上げながらけいこの居る隙間の上から退いた。再び塞がれてしまう前にとけいこは飛び上がる。

ガシっッッ!!

しかし、今回ばかりは鬼の方が上手だった。
隙間から飛び上がったけいこの足が鬼の手に収まってしまった。ここを縄張りとしている鬼だったのかその動きに無駄はなかった。けいこは足を掴まれぶらりと吊られている。体を揺らして足掻いてみるが、鬼の手は緩むことがなかった。



「あ!成る程!!」
足をしっかりと掴まれて居るならば、足場の心配はしなくていい。そして刀さえ振れればこっちのものである。

深く深く身体に満遍なく空気を行き渡らせる
風はけいこの味方となる。

「陸ノ型 黒風烟嵐!」

風を纏った刃が鬼の首を引きちぎり吹き飛ばした。

「えっ!あっ!うそっ!!」

鬼は悪あがきなのか、最後の力を振り絞ってけいこの体を投げ飛ばした。
そもそも体の上下が反対だったことと、予想外の方向に足を持っていかれ、反応が遅れてしまった。その体は岩に打ち付けられ先程とは違う岩の隙間へ落ちて行った。

けいこは衝撃に意識を失った。




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