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「すいません。
お邪魔するつもりはなかったんですが」
「問題ない。今日は俺もコイツら連れてきたしな」
昼時間を前に、一人ではどうにも食べきれない試作パンに首を捻っていると、恋雪が一緒にと声をかけてきた。流石に弁当持参の学園で、自前の弁当プラスでパンを食べるなど、迷惑だと思い、そう告げると、恋雪はコソコソ菫の耳元で「実は狛治さんが竈門くんのうちのパン好きなんです」と頬を染めて言うものだからキュンとしてしまった。
そして、蓋を開けてみれば菫、恋雪、狛治、妓夫太郎、梅と賑やかな昼休憩となろうとしていた。
炭治郎が試食会でもと言ったとおり、最初から全てのパンが試食仕様に5、6切れに切ってあった。
「姫ちゃん!狛治殿酷いのよー
私と居ると姫ちゃんは疲れちゃうからっていつも合わせてくれないんだから。
それに菫と私の扱いも違うし」
梅は恋雪に抱きついて狛治にニコリと邪念を飛ばす。別に仲が悪いと言うわけではないのだが、狛治の中では恋雪が一番で、生粋の妹の梅としてはもう少しそういう扱いをして欲しいだけ。
「当たり前だろ。
菫は俺が見てられない間
恋雪の事を気にかけてくれているんだから
扱いも変えるだろ」
いそいそと試食会の準備を進めていた菫だったが、思わずやりとりに口を挟む。
「あの、狛治先輩、梅先輩、恋雪ちゃんが真っ赤です」
そんなこんなもありつつ食べ始め、一人ではどうしようかと思った試食パンはすっかり皆のお腹へと収まっていった。
狛治は引き続き恋雪お手製の弁当箱開け食べ始め、それを見た菫と恋雪は顔を見合わせる。
「お腹いっぱい。今日はお弁当持ち帰りです」
「私も。」
「えーっ!二人ともアレでお腹いっぱいなの?
って、狛治殿のお弁当すごく美味しそうだし、
見てるだけでお腹空いてきた。
ね?お兄ちゃんもまだ足りないわよね」
「しゃぁねぇなぁ。食堂でにでも行ってくっか。
この時間だから、作ってくれっかわかんねぇけどな」
恋雪が小さな弁当箱を梅に差し出した。
「あの。よかったら、これどうぞ。
持ち帰って痛むより、食べてもらった方が良いですから」
「本当?!!やったー!
いいでしょう狛治殿。」
「いや、俺は俺用に作ってもらったのがある」
「んじゃあ、俺は食堂に、、
「え?お兄ちゃんは菫のもらったら良いじゃん」
「……ん?」
ーー………えーと。恋雪ちゃんと私はお腹いっぱい。
まだ空腹の梅先輩に恋雪ちゃんのお弁当。
同じく謝花先輩は空腹。
私のお弁当はある。
……確かに。ある。
「流石に物乞いみてぇな真似はしねぇよ」
「えーだって、持ち帰って食べて痛んじゃってたら
大変なのは菫なのよ?!
ね?菫。持ち帰るつもりならお兄ちゃんにそれ頂戴」
「おい、コラ梅!」
「ね?お兄ちゃんにあげちゃお?
だって今から食堂行って、作ってもらえなかったら無駄骨よ。さらに、購買部で買えたとしても、今度は食べる時間が無くなって午後の授業出られなくなっちゃう
お兄ちゃん困っちゃうなぁ。だから、菫、お願い!」
「あ、、はい。恋雪ちゃん程上手じゃない、、ですけど、、
良かったらどうぞ。謝花先輩。」
妓夫太郎は差し出されたお弁当箱と菫の顔を交互に見た後、梅が何やら嬉しそうに笑っている。
「妓夫太郎。謝花じゃ、俺か梅かすぐ分かんねぇだろ」
「あ、そうですよね。すいません。
では、妓夫太郎先輩。どうぞ。」
「…おう。」
ーーーーーー
昼食後、それぞれの教室へと戻っていく。同じ学年の狛治と妓夫太郎はクラスは違えど方向は同じ。
「やっぱり菫は覚えてないんだな」
「アイツは思い出さねぇ方がいい
鬼だったなんて、そんな罪は、、
覚えてなくていいんだ」
ーー人を殺し、喰っていたなんてそんな事
「それじゃ約束は無かったことになってしまうんだぞ」
「それでも、、傷つく姿なんて見たくねぇんだよ」
分かるだろ?
覚えてないって事はあいつの罪は晴れてる。
もう忘れて生きて良いってそういう意味だろ。
「弁当は…」
「……美味かった」
それは菫の知らない二人の会話。
そしてこちらでも
「じゃあまたねー」
手を振る梅に何度かペコっと頭を下げて菫と恋雪は教室へと向かっていった。
その後ろ姿を見て梅はつぶやいた。
お兄ちゃんはずっと覚えているのに、、と。
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